フランスのルコルニュ首相が6日、辞任した。マクロン大統領が新内閣を指名してからわずか1日後の辞任となった。
新内閣は前内閣の重要閣僚の大半を留任させる陣容だったため、変化を期待していた野党は猛反発していた。再任されたルタイヨー内相すらも、過去と「決別」できていない人事だと批判していた。

フランスのルコルニュ首相が、新内閣指名から1日で辞任した
Source: Bloomberg
支持勢力が議会過半数に満たないルコルニュ氏が苦戦している様子は明らかだったが、辞任は予想外だった。マクロン氏が指名した新内閣は、野党の意向を無視して、盟友のルメール元経済・財務相を国防相に、レスキュール元産業担当相を経済・財務相に復帰させるなど自身に忠実な中道派で固める陣容だったが、すぐさま裏目に出た。
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ルコルニュ氏は6日、パリで記者団に対し、「首相として職務を果たせる状況ではもはやなくなった。わたしには妥協する用意があったが、各政党がそれぞれ、自らの政策を丸のみするよう要求した」と説明した。ユーロ圏最大の財政赤字を抑制するため、歳出削減や増税など不人気な措置を盛り込んだ予算案を、分裂した議会で通過させるという難題を前に、これまでの2人の首相同様、ルコルニュ氏も倒れた。
急落
首相辞任の発表を受け、フランスの資産は急落した。フランス10年債利回りは一時11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3.6%となった。これにより、ドイツ国債との利回り差(スプレッド)は89bpに拡大し、2024年後半以来の高水準となった。
フランスのCAC40種株価指数は一時2.1%下落し、銀行株が最も大きな打撃を受けた。ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、BNPパリバはいずれも5%以上下落した。ユーロは対ドルで一時0.7%下落した。
ブリュッセルを拠点とするINGの投資戦略責任者、ビンセント・ユビンス氏はルコルニュ氏辞任前のインタビューで、「現状は新たな選挙に近づいている。このシナリオでは、独仏債のスプレッドは拡大し、100bpを試すとみている」と述べていた。


マクロン仏大統領
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選択肢
ルコルニュ氏の辞任で、マクロン氏には3つの選択肢が残る。新首相の指名、議会の解散・総選挙、自らの辞任だ。自らの辞任について、マクロン氏はこれまで否定している。
通常の予算案の提出期限は13日に迫っており、政府はつなぎ予算に頼らざるを得なくなりそうだ。
極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏は、改めて国民議会(下院)の選挙を求めた。同党は、2022年の解散総選挙で得た議席をさらに伸ばす好機と見ている。ルペン氏は「もはや行き詰まっている。国民のもとに立ち返る必要がある。決めるのは有権者だ」と強調した。
フランスの歴史学者で政治専門家のジャン・ガリグ氏は、6日の「理解不能な政治的茶番」により、「マクロン氏自身は望んでいなくても、再び解散に踏み切らざるを得なくなる可能性がある」と語った。
原題:French Premier Quits After Macron’s Cabinet Gamble Backfires (1)、French Markets Sink Amid Growing Fears of Political Paralysis、French Assets Tumble, Euro Sinks as Prime Minister Lecornu Quits、French-German Spread Reaches Highest This Year as PM Resigns、France-Germany 10-Year Yield Gap Widens Most Since January(抜粋)
(最新情報を加え、第8段落にRNのルペン氏発言を加えます。更新前の記事で日付を訂正済みです)
