徳島県石井町と日立製作所は9月29日、顔認証による本人確認を活用し、自治体が提供する移動助成券のデジタル化に向けた運用実証を行うと発表した。実証期間は2025年10月1日から2026年2月16日までを予定している。
この実証では、石井町が高齢者の外出支援事業として発行している紙の移動助成券のうち、タクシー助成券を顔認証技術を用いたデジタルチケットに置き換えて発行する。これにより、助成券の紛失リスクを回避し、手ぶらで利用できる利便性が高まることで、高齢者の外出機会の創出と移動の促進を支援する。また、使用済み助成券の保管や管理の手間が省けるため、交通事業者および自治体の業務効率化にもつながる。
さらに、高齢者の外出機会が増えることで公共交通の利用が活性化され、地域経済の活性化や地域創生への貢献も期待されている。今後は、バス移動助成券への展開や近隣自治体とのサービスの共同化も視野に入れている。
近年、少子高齢化の進行に伴い、運転免許証の自主返納や身体的・環境的な制約により、公共交通を移動手段として利用する高齢者が増加している。一方で、全国的に公共交通の利用者数は減少傾向にあり、特に地方では路線の縮小や運行本数の減少が進んでいる。その結果、サービスレベルの維持が課題となっており、移動手段が限られる高齢者の外出が促されず、健康面などへの影響が懸念されている。
こうした課題に対応するため、多くの自治体では高齢者の移動支援策として、バスやタクシーの利用料を助成する取り組みを行っている。石井町でも、高齢者の外出支援を目的に、バス・タクシーの移動助成券を配布する施策を実施している。しかしながら、石井町を含む多くの自治体では、これらの助成券を紙のちぎり券(回数券型)として配布しているため、交通事業者や自治体にとっては台帳管理や使用済み券の保管・管理に手間がかかるほか、利用者にとっても紛失リスクや不正利用の懸念が課題となっている。
今回の実証では、石井町が配布しているバス・タクシー移動助成券のうち、タクシーを対象に実施される。利用に当たっては、従来の紙のちぎり券と同様に、事前に石井町役場での利用申請と顔認証登録が必要となる。利用時には、顔認証による本人確認を通じて、手ぶらでデジタルチケットを使用することが可能である。デジタルチケットの利用に際して料金の支払いは発生せず、乗車時に助成券の残額が不足している場合は、現金やクレジットカードでの支払いが求められる。利用者は、タクシー車内やウェブ上でチケットの残数を確認でき、利用後には登録されたメールアドレス宛に利用履歴が送付される仕組みとなっている。
このようなデジタル化により、移動手段に制約のある高齢者などが、より手軽に公共交通を利用できるようになり、外出機会の創出につながるという。また、利用時に本人確認が可能となることで不正利用の防止にも寄与する。さらに、交通事業者や自治体にとっても、利用状況の把握が容易になるほか、ペーパーレス化によって精算業務の効率化や運用負担の軽減が期待されている。
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