佐藤仁さん、オフィス兼私設図書館「みちくさ文庫」にて。
東京から沖縄本島の那覇まで南西に約1,600km、那覇からさらに南西に約400〜500km離れた場所に位置する八重山諸島は、石垣島を中心とした12の有人島と多くの無人島から構成されています。
この連載では、石垣島を中心に八重山諸島の島々に暮らす移住者から「島暮らし」のリアルな体験談や思いを紹介していきます。
今回は、大阪から石垣島に移住して9年目の佐藤 仁(さとう ひとし)さん 33歳をご紹介します。
目次:大阪から石垣島へ移住して9年目。地域に学びながら暮らす
石垣島に移住して9年目
Q:出身地はどこですか?移住して何年目になりますか?
A:大阪出身です。移住して、今年が9年目です。
佐藤さんの仕事場、「みちくさ文庫」の本棚
Q:家族構成を教えてください。
A:自分、妻のふたり暮らしです。
移住先で見つけた新しい働き方
「テイクフリードリンクス」は、ペイフォワードのアイディアを生かし、人と人をつなぐ仕組みを提案しています。(「みちくさ文庫」には、募金箱が設置してあり、この冷蔵庫の購入も募金の一部が使用されています。
Q:お仕事は何をしていますか?
A:自営業で、デザインの仕事をしています。主に、グラフィックデザインや、サービスデザインの仕事をしています。
「みちくさ文庫」にて、朝の読書会の様子。(写真・佐藤さん提供)
Q:お住まいはどうしていますか?
A:石垣市登野城にお家を借りて住んでいます。1階に大家さんのご両親、2階に大家さん一家、3階に貸家2世帯が住んでいる建物です。
目次:大阪から石垣島へ移住して9年目。地域に学びながら暮らす
風土と暮らし、社会が地続きになっている魅力的な場所
人と人がつながる小さな仕組みが、「みちくさ文庫」には散りばめられています。
Q:移住した理由を教えてください。
A:当時は、都市銀行に勤めていたのですが、「自分の夢を実現するには、やはり自分で仕事、事業をつくれるようになるしかない」と考え始めていたところで、大学時代の知人に起業に誘われて、石垣島に来たことがない状態で移住を決めました。
Q:島の魅力を教えてください、それはなぜですか?
A:この地の風土といまの暮らし、社会が地続きになっていること。それが”この場所らしさ”を生み出し、ここでだから生きていける人、輝ける人の居場所を作ってくれていると感じるから。
目次:大阪から石垣島へ移住して9年目。地域に学びながら暮らす
沖縄移住のメリット・デメリット
Q:移住してよかったことを教えてください。
A:たくさんあります!ですが、一番は、一生ここで生きていきたいと思える場所、貢献していきたいと思えるコミュニティに出会えたことだと思います。
また近年は、どんどん自分のことを好きになれる(正確には、自分の存在を許せる)ようになっているのですが、これもまた、移住あっての変化だと思います。
気さくで聡明な佐藤さん
Q:移住して困ったことはありますか?
A:正直あまり困ったことはないのですが、強いて言えば、起業に誘ってきた人が職務放棄&横領が常態化して一年余で島から逃げ出したこと、お金の計算をあまりせずに移住してきたので銀行の残高が百円台になったことの2つです。そこそこ歯を食いしばって耐えたなぁ、と思い出されます。
事業の立ち上げ期ということで、当然、収入は少ない。覚悟をしてきたことではありました。
ただし、自分の想定が甘かったのが、住民税の脅威でした。住民税は、前年の収入にかかるため、数カ月に一度、石垣に住む自分の月収を消し飛ばしてもあまりあるほどの住民税が請求される事態となりました。
Q:地域の行事に参加していますか?
A:はい、2年前に豊年祭の棒術に参加し、昨年からは登野城村の祭事係の役をお預かりしています。
目次:大阪から石垣島へ移住して9年目。地域に学びながら暮らす
石垣島のインフラ
「みちくさ文庫」で借りた本を石垣島内で読書し、その場所で写真を撮って佐藤さんに送ると、小さな写真がプリントアウトされ、石垣島の地図の上に貼られていきます。
Q:島の医療はどうですか?
A:移住してからほとんど大きなケガや病気をしておらず、一度だけスポーツでの怪我で1ヶ月ほど整形外科に通院しました。親切な病院で、特に不自由なく完治しました。
Q:本土に帰ることがあればどのくらいの頻度で帰りますか?
A:頻度にはばらつきがありますが、年末年始や内地で所属しているコミュニティの用事などで、年4、5回ほど帰ります。
Q:買い物はどうしていますか?
A:スーパーやコンビニが近所にあるため、どうしてもそこに頼りがちですが、少しずつ、地域の個人店や顔の見えるお店での買い物を増やそうと取り組んでいます。
目次:大阪から石垣島へ移住して9年目。地域に学びながら暮らす
移住者だからできることを模索しながら地域に貢献していきたい
ゆっくり歩くことで、普段見落としてしまうことも見えてくるかもしれません。
佐藤さんに、今後の目標や、やってみたいことを尋ねてみました。
「移住者としては、地域のコミュニティに対して、移住者だからできることを模索しながら貢献していきたいです。仕事面で、形あるもののデザインという視点では、この島に根付いてきた美意識や願いを自分の身にしっかりと吸収し、そのフィルターを通して形あるものをつくることで、この島らしい美意識の再生産に貢献していきたいです。
ライフワークとしては、私設図書館「みちくさ文庫」という場所をつくり、色々な実験をしています。私設図書館なので、もちろん本の貸し出しや読書スペースの提供といった、本に関わる活動も行っています。
そして、より大きなテーマとしては、『人と人、あるいは人と島をどのように”つなぎなおす”ことができるか』というものがあります。いろいろなモノやコトの助けを借りながら、”つなぎなおし”ができないかという実験室なので、本以外にも、AIと話せる古い電話機や、無料でジュースが飲める冷蔵庫など、いろいろなものがおいてあります。笑
この場所をしっかりと続けていくこと、いろんな”つなぎなおし”を試みつづけること、というのが、いちばん具体的な目標かもしれません」
佐藤さんの活動が地域に浸透していけば、地域やコミュニティにとって、佐藤さんはなくてはならない存在になっていくことでしょう。
佐藤さん、オフィス兼私設図書館「みちくさ文庫」の前にて。
