京都市京セラ美術館(京都市左京区)で特別展「民藝誕生100年-京都が紡いだ日常の美」が9月13日から開催されます。

思想家の柳宗悦やなぎむねよし(1889~1961)、陶工の河井寬次郎かわいかんじろう(1890~1966)、濱田庄司はまだしょうじ(1894~1978)が京都に集うことで始まった「民藝」運動。木喰仏もくじきぶつの調査旅行をするなかで議論を深め、1925年「民衆的なる工芸=民藝」という言葉が生まれました。このたび、「民藝」という言葉が誕生して100年を迎えるにあたり、京都市京セラ美術館にて特別展「民藝誕生100年-京都が紡いだ日常の美」を開催します。

特別展「民藝誕生100年-京都が紡いだ日常の美」

会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)

会期:2025年9月13日(土)~12月7日(日)

展示室:京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階

開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館)

観覧料:当日券:一般 2,000円/大学・高校生 1,500円
※中学生以下無料(要証明不要)※障がい者手帳等ご提示の方と介護者1名は無料(要証明)
※学生料金は学生証の提示が必要

アクセス:京都市営地下鉄東西線「東山駅」1番出口より徒歩約8分/名神高速道路「京都東IC」より車で約20分

詳細は、京都市京セラ美術館公式サイトまで。

本展の見どころ

「民藝」という言葉が誕生するきっかけとなった木喰仏をはじめ、上加茂民藝協団で活動した黒田辰秋くろだたつあき(1904~1982)、青田五良あおたごろう(1898~1935)の作品や、「民藝館」「三國荘」のために制作された河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチらの工芸作品、柳宗悦らによる日本全国の蒐集品や、芹沢銈介、棟方志功などの民藝関連作家の優品を展示します。また英文学者の寿岳文章、京菓子の鍵善良房、牛肉水炊きの祇園十二段家、民藝の建築を推し進めた上田恒次など京都における民藝運動の推進者や支援者をめぐる作品や資料などとあわせ、京都と民藝との関わりを総合的に紹介します。

展覧会構成
序章 「民藝」という言葉の誕生~木喰仏の発見

関東大震災の翌年、柳宗悦は木喰仏1体を得て京都に移りました。木喰仏への興味を契機に柳と濱田庄司、河井寬次郎は交友を深め、1925(大正14)年、彼らの木喰仏調査の旅中、「民藝」の語が生まれます。

木喰上人《地蔵菩薩像》1801年 日本民藝館蔵
第1章 上加茂民藝協団~新作民藝の制作集団

1927(昭和2)年に京都・上賀茂の地に青田五良、黒田辰秋等による制作集団・上加茂民藝協団が設立されます。民藝運動の目的の一つは、現代の生活用品を新たに産み出すことでした。

黒田辰秋《拭漆欅真鍮金具三段棚》1927年 河井寛次郎記念館蔵
第2章 三國荘~最初の「民藝館」

1928(昭和3)年の御大礼記念国産振興東京博覧会に出品した「民藝館」を契機に、柳宗悦は静岡・浜松に日本民藝美術館を設立。また、大阪・三国に移築した「民藝館」は、「三國荘」として民藝関係者のサロンとなりました。

《馬ノ目皿》19世紀 アサヒグループ大山崎山荘美術館蔵

 

三國荘(民藝館)
1928(昭和3)年に東京上野公園で開催された御大礼記念国際振興東京博覧会に柳宗悦、河井寬次郎、濱田庄司らによって出品された民藝の理念を示す建物であった。民藝館を博覧会閉会後に山本邸があった大阪・三国の地に移し、さらに柳がその地に因み三國荘と命名したころからその名が民藝の世界に定着したものである。

第3章 式場隆三郎しきばりゅうざぶろう(1898-1965)と自邸

精神科医としての医業の傍ら、木喰仏の調査などの運動の当初から関わった式場隆三郎。柳や濱田などが設計に関わった民藝の代表的建築とされる自邸を紹介します。

式場邸 一階応接間 撮影:川島智生
第4章 日本全国の蒐集品

柳宗悦らは京都の朝市で、人々が日常的に使用する道具類に美しさを見出し、蒐集を始めます。彼らの蒐集の旅は北海道から沖縄まで日本全土におよびました。

《水色治芒雁紋様紅型衣裳》19世紀 日本民藝館蔵
《霰釜》18世紀 日本民藝館蔵
第5章 民藝と「個人作家」

民藝運動は、河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、芹沢銈介、棟方志功ら、優れた個人作家の活躍により推進されました。民藝に個人作家が果たした意義を考えます。

富本憲吉《色絵「福貴」角筥》1936年 日本民藝館蔵
河井寬次郎《白地草花絵扁壺》1939年 京都国立近代美術館蔵
河井寬次郎《象嵌鉢》日本民藝館蔵
第6章 民藝と京都

柳宗悦は京都に足掛け9年住みました。その間に本格的な雑器の蒐集が開始され、京都の地、また人々との関わりから「民藝」の思想が紡ぎだされ、運動が展開していきます。

黒田辰秋《螺鈿くずきり用器/岡持ち》1932年 鍵善良房蔵 撮影:伊藤信
松乃鰻寮(旧松乃茶寮)一階応接室 写真提供:松乃鰻寮

本展は、京都で「民藝」が産声を上げてちょうど100年を迎える年に開催される記念碑的な展覧会。柳宗悦と彼の仲間たちが交流を深め、「用の美」という新たな美の概念を育んだ場所こそが、京都でした。本展では、民藝を代表する作家たちの珠玉の作品群に加え、京都での当時の熱気や思想の広がりを伝える貴重な資料の数々も展示。まさに、「民藝」誕生の地ならではの、力の入った展示となりそうです。(美術展ナビ)

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