公開日時 2025年07月07日 16:03更新日時 2025年07月07日 16:57
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3月、私立高校入試を巡り取材に応じる車いすの生徒(手前)と保護者=香川県内
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共同通信
電動車いすを使う男子生徒の今春の私立高受験に際し、保護者から相談を受けた香川県の所管課が「解決に向け、高校との話し合いが可能」と伝えていなかったことが7日、分かった。生徒は、国が障害者差別解消のために重要だと定める「直接対話」の機会がないまま入学を断られた。県は取材に、対応が不十分だったと認め「必要な情報を提供できず申し訳なかった」としている。
生徒が通っていた公立中の校長が、自身が窓口になると説明し、私立高と直接やりとりしないよう保護者に求めていたことも判明。「直接話し合っても折り合えるとは思わず、窓口を絞らないと混乱を招く恐れがあると考えた」と話した。
生徒と保護者は昨年夏、校長を通じて複数の私立高に受け入れ可否を尋ね、いずれの高校も設備や人的態勢から難しいと回答した。保護者が県総務学事課に相談したが進展せず、生徒は私立への進学を断念。公立志望に切り替えて合格した。
香川県は条例で、障害者からの相談に応じ、必要な助言や情報提供を行うことは県の責務だと規定。障害者政策に詳しい東洋大の菅原麻衣子教授は「条例に基づいた適切な対応がなされていない。相談窓口へ引き継ぐなどの関係者間の調整も不十分だ」と指摘する。
総務学事課は「直接話し合いたいという保護者の意図を酌み取ることができなかった」としている。
保護者は「仮に結果は同じだったとしても、受け入れできない事情を理解するために直接やりとりがしたかった。このままでは今後も同じ思いをする人が続いてしまう」と話す。
昨年4月施行の改正障害者差別解消法に基づき、文部科学省は対応指針を定めた。それによると、柔軟なルール変更などの「合理的配慮」を検討するためには当事者同士の対話が重要だとしている。
障害者差別解消法 障害の有無を問わず、分け隔てなく暮らせる社会の実現を目指し、2016年に施行された。障害を理由とした不当な差別を禁止し、障害者の申し出に応じて過重な負担にならない範囲で生活上の困り事や障壁を取り除く「合理的配慮」の提供を国や自治体に義務付けた。民間事業者は努力義務だったが、24年4月に義務化された。事業者の違反に直ちに罰則が科されることはないが、改善が困難な場合、国は報告を求めることができ、助言や指導、勧告の対象になる。