
アドバイザーを務めるサッカーJリーグ1部(J1)の鹿島アントラーズの練習場で、インタビューを受けるジーコ氏(2025年5月28日撮影)。(c)Richard A. Brooks/ AFP
(AFPBB News)
【AFP=時事】日本サッカーの発展に長年尽力し、日本代表監督も務めた元ブラジル代表のジーコ氏が、日本人選手が若いうちに欧州へ移籍する傾向に警鐘を鳴らし、母国ブラジルを反面教師としてほしいと訴えた。
ブラジル代表のレジェンドであるジーコ氏は、Jリーグ創設期に鹿島アントラーズでプレーし、キャリアを日本で終えた。引退後もコーチやテクニカルディレクターとしてクラブに関わり、鹿島をJリーグ屈指の強豪クラブへと導いた。2002年から2006年には日本代表の監督も務めた。
この30年間で、日本がサッカー後進国からW杯常連国へと成長し、選手たちが欧州の強豪クラブで活躍するまでになった変化を、ジーコ氏は間近で見てきた。
ジーコ氏は、日本の選手がJリーグの先を見据えるようになったことを「ポジティブ」な進化と評価する一方で、適切なタイミングで移籍することが重要だと語る。母国ブラジルと同様に、国内リーグでほとんどプレーせずに欧州に移籍する選手がいる現状に懸念を示す。
「ブラジルの選手は欧州に行くのが早すぎて、ルーツを失ってしまう。特に反骨心のない選手は、ポテンシャルを発揮できずに戻ってくる」と語った。
「早く行き過ぎて、出場機会が得られない。そうしたことが、ドイツやイタリアなど多くの場所で起こっている。日本の選手にも同じ状況の人が多い。早すぎて自信を失い、結果的に国内に帰ってくることになる」と指摘した。
それでもジーコ氏は、現在の流れは日本にとって全体としては良い傾向だとも考えている。かつて欧州クラブが日本人選手を「マーケティング目的」で獲得していた時代や、自身が代表監督を務めていた頃と比較し、現状は大きく進化したと語る。
「当時も欧州でプレーする選手はいたが、試合に出ても30分、5分、15分といった短い時間だった。今はスタメンで活躍する選手が多く、それが大きな違いだ。代表に戻ってくるときも、今の選手たちは当時と違って試合勘がある」
■アントラーズは「息子」
ジーコ氏は、Jリーグ創設と日本サッカーのプロ化を彩るために招かれた海外スターの一人だったが、現在はJリーグのクラブが有名選手を高額契約で獲得することはほとんどない。
数少ない例外が、2018年にヴィッセル神戸に加入したW杯優勝経験者の元スペイン代表アンドレス・イニエスタ。ジーコ氏は、2023年にイニエスタがクラブを去った後、神戸がJ1で連覇したのは「偶然ではない」と信じている。
「あれは投資だ。イニエスタほどの選手がいることで、全員の士気が上がる」とジーコ氏は言い、「勝者である彼から学び、他の選手のパフォーマンスが向上し、サポーターも盛り上がる。すべてが成長する」と話した。
鹿島がジョルジーニョやレオナルドのようなW杯優勝経験者のブラジル代表を獲得できた時代は過ぎ去ったが、それでもクラブはJ1最多の優勝8回、AFCアジアチャンピオンズリーグ制覇を経験し、今季もJ1首位に立っている。
Jリーグ創設前の日本リーグ2部時代に鹿島の前身チームに加入したジーコ氏は、現在も定期的に鹿島を訪れ、ファンやスポンサーと交流し、クラブのユース部門に関わっている。
ジーコ氏は鹿島について「息子のような存在」と表現する。
「クラブが生まれ、成長し、今の姿になるまでをずっと見守ってきた。自分のプロとしての経験をここで生かすことができた。息子というのはそういうもの。教え、育て、人生を見守る存在だ」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News
