公開日時 2025年06月07日 16:41更新日時 2025年06月07日 17:24
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色づき始めたサクランボを見つめる矢萩美智さん=6日、山形県天童市
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共同通信
全国収穫量の約7割を誇る「サクランボ県」の山形県は今年、サクランボ栽培開始から150年を迎えた。お祝いムードの一方、間もなく最盛期を迎える今年の収穫量の見込みは9100~1万200トンと、平年を下回り厳しい予想だ。気候変動や生産者の減少といった逆風に直面する中、産地日本一を守ろうと知恵を絞る。
県によると、記録的不作だった昨年の8590トンより増えるが、平成以降で最多だった1998年の1万5900トンを3割以上も下回る見込み。開花時期に当たる4月中旬~5月上旬の低温と強風が影響したという。
「高温だけは勘弁してほしい」。同県天童市で観光サクランボ園を営む矢萩美智さん(49)は今後の暑さを気にかける。収穫期に30度を超える日が続けば、収穫量のさらなる減少が避けられないためだ。「天気はどうしようもないが対策は必要」と、日光を受けにくい畑も用意する。
近年の山形のサクランボ栽培は気候変動との闘いだ。2021年は春先につぼみや芽に霜が降りる霜害で不作。逆に24年は6月に異例の猛暑となり品質低下が相次いだ。
農家の高齢化で担い手不足も進む。県によると、1農家当たりの栽培面積は増えているものの、県全体では08~10年の3180ヘクタールをピークに減少傾向にある。
県は、今後も温暖化が進む事態に備え、日光を遮る資材の活用やこまめな水まきといった栽培技術を農家に指導。暑さに弱い主力品種「佐藤錦」から、耐暑性のある品種への転換を探る。人手不足に対応した収穫作業の効率化も模索する。
県史によると、内務省が全国に配布したサクランボの苗木を1875年に県庁敷地内に試植したのが始まり。今年はさまざまな150年記念イベントを予定する。
6月中旬から7月にかけて県内各地で収穫作業が本格化し、今年も旬のサクランボが楽しめそうだ。矢萩さんは「こうして栽培できるのも150年間やってきた先達たちがいたからこそ。サクランボ畑が広がる山形の景色を守っていきたい」と力を込めた。