インドを生産・販売の拠点として強化する。日経BP 総合研究所の大規模調査プロジェクト「5年後の未来に関する調査」では、今後5年間におけるインドを生産拠点、販売拠点の両方で重要視する方針が見えてくる。(本記事は、「5年後の未来に関する調査」の結果をベースに、110を超えるテーマや産業の未来シナリオを分析した企業向けレポート、『未来調査2025-2029 全産業編』の「第4章 海外サプライチェーンとインドシフト」の内容を再構成した)
■世界1位の人口の多さが魅力
日本企業は今後5年間で、インドを生産拠点としても販売拠点としても注力していく。14億5000万人を超える世界1位の人口を背景にした労働力やIT系人材の多さが、生産や開発の拠点として注目を集めている。また、人口増と所得増による消費の拡大が続き、今後も市場が大きくなることから、販売拠点として強化は避けられない。
■インドのIT系人材を重要視
日経BP 総合研究所の調査では、今後5年間にインドを生産拠点および販売拠点とする一番の理由は、人口の多さに起因するものであった。しかしながら、経済の急成長を期待されているものの、1人当たりGDP(国内総生産)は依然として低く、若年層の失業率の上昇や所得格差が拡大しており、気候関連の災害リスクなど多くの課題がある。
日経BP 総合研究所が2024年8月に実施した「5年後の未来に関する調査」では、今後5年間でインドを生産拠点として注目する理由では「労働人口が多い」が81.5%と最も高く、「IT系人材が多い」が66.7%、「若年層比率が高い」が52.3%、「英語ができる人材が多い」が43.4%と続く。人口の多さに起因した人材確保がインドに生産拠点として魅力的な存在となる要因となっている。さらに、「中国の地政学リスクに対する代替拠点」との回答が41.6%と多く、生産拠点である中国からの代替地としての役割も担っていることが分かる(図1)。

図1 今後5年間にインドを生産拠点として注目する理由
出所:日経BP 総合研究所「5年後の未来に関する調査」、『未来調査2025-2029 全産業編』
一方、同調査では、今後5年間でインドを販売(営業)拠点として注目する理由も聞いた。「人口増による市場の拡大」が84.2%と最も高く、「所得増による消費の拡大」が62.7%、「IT系人材が多い」が41.7%と続く。人口増と所得増による市場の拡大を期待していることが分かる。さらに、生産拠点と同様に「中国の地政学リスクに対する代替拠点」との回答は38%で約4割と高い(図2)。

図2 今後5年間にインドを販売(営業)拠点として注目する理由
出所:日経BP 総合研究所「5年後の未来に関する調査」、『未来調査2025-2029 全産業編』
同調査では、今後5年間にインドの拠点での取り組みについても自由意見を聞いた(図3)。生産拠点としては、中国の代替地としてのサプライチェーン構築や、現地での生産や調達の拡大、現地企業との合弁などの取り組みが挙がったほか、ITやインフラ、医療といった分野での事業拡大を狙っていることが分かった。また、販売(営業)拠点としては、事業拡大のため、製品やサービスの拡充をはじめ、販売担当の増員や人材教育に力を入れている。また、半導体装置や化成品、食料加工品、医療機器などへの参入や販売拡大を目指しているとの回答を得た。

図3 今後5年間でのインド拠点における取り組み
出所:日経BP 総合研究所「5年後の未来に関する調査」、『未来調査2025-2029 全産業編』
◎調査概要
調査名:第45回調査 23業界の将来性/海外情勢と国内回帰
調査時期:2024年8月
有効回答数:512
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未来調査2025-2029 全産業編
日経BP 総合研究所の独自調査プロジェクト「5年後の未来に関する調査」では、経営者や次世代リーダー中心に4年半・46回・延べ3.5万人を調査しました。本レポートは、この調査データを基に、2024年問題、生成AI、超人化、インドシフト、GXなど110を超える話題のテーマを社会的な背景に基づく定量・客観的なアプローチで独自分析、400を超える豊富なビジュアルデータを組み合わせて、事業開発/商品企画/技術開発の戦略立案に役立つ「5年後の未来」を立体的に描き出します。
著者:日経BP 総合研究所 未来ビジネス調査チーム
A4判、538ページ、2024年12月25日発行
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