台湾の頼清徳総統は就任1年を迎え、台湾の安全保障を脅かす言動には結果が伴うと市民に警告を発している。
2024年5月の就任以来、頼総統は軍事面だけでなく社会全体に及ぶ安全保障政策を推進してきた。政府は、中国による併合を支持する動画をソーシャルメディアに投稿した中国人配偶者を国外退去にした。政府は今年に入って少なくとも3人の居住資格を剝奪。この措置は家族の分断を招くとして批判を受けた。

頼清徳総統
Photographer: An Rong Xu/Bloomberg
4月には台北で数万人に上る野党支持者が抗議デモに参加。頼総統を独裁者と批判し、民主主義における自由を奪っていると訴えた。さらに5月には野党・国民党の朱立倫主席が、頼総統率いる民主進歩党(民進党)をナチスになぞらえ、野党排除を図っていると批判した。
頼政権はまた、中国で活動する台湾の芸能人が中国の宣伝に利用されないよう注視しており、既に20人強の芸能人を調べた。こうした取り組みは、中国の浸透工作に対抗するため3月に打ち出された17の新措置の一環。新たな措置には現役軍人のスパイ活動に対応するため平時に軍事裁判制度を復活させることなどが盛り込まれている。

訓練を行う台湾の兵士(金門)
Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg
こうした動きに対し、人権団体や学術界は懸念を表明。台湾が中国の影響力に対抗する過程で、長らく中国と一線を画してきた個人の自由を損なう恐れがあると懸念する声も出ている。
学者75人は、頼政権の国外退去措置は台湾の民主主義を危うくすると訴える声明を発表。その1人であるフォン・ジエンサン氏は「台湾はもっと親中であるべきだと公然と語る人がいなくなった。これは言論の自由が失われつつあることを示しており、健全ではない」と指摘した。
頼氏の政策の柱に防衛強化がある。中国からの圧力が強まる中、域内総生産(GDP)の3%強への軍事費引き上げや訓練に参加する予備役拡大、台湾の主要な軍事演習期間の延長を推進してきた。政権は、中国との軍事衝突という最悪の事態に備えるために必要だと説明している。
総統府の李問報道官は19日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、政府には政治的信条に関係なく全市民を守る責任があると述べた。「台湾の民主主義は、人々が街頭で意見を表明できる環境を確保しており、独裁という指摘が明らかに間違っていることを示している」と表明した。

19日に日本テレビで放送されたインタビューで頼氏は、中国からの脅威は国際的な問題だと述べ、日本や米国など民主主義陣営に対し、中国による戦争を阻止するよう協力を求めた。
原題:Taiwan’s Lai Toughens China Stance, Stoking Debate on Democracy(抜粋)
