ジロ・デ・イタリア2025が5月9日から6月1日まで開催される。通算108回目となる今年のジロ・デ・イタリアは、グランツール3戦の初戦となる(他の2戦はツール・ド・フランス / ブエルタ・ア・エスパーニャ)。

アルバニア・ドゥラスからスタートし、イタリア・ローマでフィニッシュするこのロードレースでは、世界最強のサイクリストたちが栄光のマリア・ローザ(個人総合優勝)を目指して約3週間で3,413.3kmを走破する。息を呑む絶景、伝統の山岳ステージ、そして歴史ある古都を擁する今年のジロ・デ・イタリアは総獲得標高52,500mをゆうに超えるため、高難度になることが予想されている。

今回は、最も過酷なグランツールと評されるジロ・デ・イタリア2025を楽しむための基本情報・基礎知識をまとめてみた。

ファンの声援を受けながら走行するログリッチ

ファンの声援を受けながら走行するログリッチ

© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool

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ジロ・デ・イタリア2025:コース&ステージ

今や伝統になりつつあるが、ジロ・デ・イタリア2025もイタリア国外からスタートする。国外スタートは今年で15回目となり、アドリア海の対岸に位置するアルバニアが開幕3ステージを担う。

レースはその後イタリアに戻ってくるが、今年はイタリア国内15地域以上と3カ国(アルバニア / スロベニア / バチカン市国)を走行したあと、ローマで終了する。ローマでレースが終了するのは今年で7回目だ。

ジロ・デ・イタリア2025の全コース

ジロ・デ・イタリア2025の全コース

© RCS Sport

ジロ・デ・イタリアはその過酷さで知られてきたが、今年のルートは2024年と比較して総獲得標高が1万メートルも増加している。

ちなみに、2024年はタデイ・ポガチャルが圧倒的な強さを見せて優勝し、1998年以来となるジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのグランツールダブルを達成。ポガチャルは同年の世界選手権も制した。

2025年のステージ構成は、個人タイムトライアル2(合計42.3km)、平坦ステージ6、丘陵ステージ8、山岳ステージ5の全21ステージとなっている。

以下に全21ステージをリストアップした:

ドゥラス 〜 ティラーナ(164km)

ティラーナ 〜 ティラーナ(13.7km)

ヴローラ 〜 ヴローラ(160km)

アルベロベッロ 〜 レッチェ(187km)

チェーリエ・メッサ 〜 ピカ – マテラ(145km)

ポテンツァ 〜 ナポリ(211km)

カステル・ディ・サングロ 〜 タリアコッツォ(166km)

ジュリアノーヴァ 〜 カステルライモンド(193km)

グッビオ 〜 シエナ(181km)

ルッカ 〜 ピサ(28.6km)

ヴィアレッジョ 〜 カステルノーヴォ・ネ・モンティ(185km)

モデナ 〜 ヴィアダーナ(181km)

ロヴィーゴ 〜 ヴィチェンツァ

トレヴィーゾ 〜 ノヴァ・ゴリツ(186km)

フィウーメ・ヴェ 〜 ネト – アジアーゴ(210km)

ピアッツォーラ・スル・ブレンタ 〜 サン・ヴァレンティーノ(199km)

サン・ミケーレ・アッラ 〜 ディジェ – ボルミオ(154km)

モルベーニョ 〜 チェザーノ・マデルノ(146km)

ビエッラ 〜 シャンポルク(157km)

ベレス 〜 セストリエーレ(203km)

ローマ 〜 ローマ(141km)

開幕ハイライト:アルバニアの3ステージ

ジロ・デ・イタリア2025は、首都ティラーナでの個人タイムトライアルを含む高難度のアルバニア3ステージで幕を開ける。

斜度2桁が随所に待ち受けるハードクライム2本を擁する第1ステージが首都でフィニッシュしたあと、同地で個人タイムトライアルの第2ステージが行われる。アルバニア最後の第3ステージはヴローラでの周回ステージとなる。同ステージには今年初の標高1,000m超えとなるカーファとロガラでの厳しいクライムが含まれている。

第1週ハイライト:スプリントとストラーデ・ビアンケ

最初の休息日となる5月12日が終わると、プロトンはアドリア海を越えてイタリアに入り、スプリンターに適した3ステージを迎えるが、スプリント勝負になるとは限らない。

サイクリストたちは第7ステージのタリアコッツォで今年初のクライミングフィニッシュを迎えたあと、カステルライモンドまでクライムが連続する第8ステージを迎える。その後、ストラーデ・ビアンケで知られる白いグラベルを5セクター分走行したあとシエナのカンポ広場でフィニッシュする第9ステージへ向かう。

チームの実力が徐々に試されていく第1週の最後となるこのステージでは、GC(個人総合順位)バトルが一気に激化する可能性がある。

第2週ハイライト:個人TTと山岳

2回目の休息日明けに迎える第10ステージはルッカからピサまでの全長28.6kmの個人タイムトライアルで、1977年にヌット・ヌードセンが制した個人タイムトライアルルートを再現している。その翌日には、25年ぶりに復活した最大斜度20%の1級山岳サン・ペジェグリーノ山頂越えからカステルノーヴォ・ネ・モンティを目指す山岳ステージが設定されている。

そのあとは中難度だが複雑なステージが続く。モデナからヴィアダーナへ抜ける第12ステージはスプリンターたちのバトルが展開される可能性が高く、第13ステージはほぼ平坦だが、フィニッシュ地点のヴィチェンツァ市内からはアップダウンの大きな2周勝負が待っている。

次のトレヴィーゾからノヴァ・ゴリツまでの第14ステージはスロベニアへ抜ける国境越えとなる。休息日前の第15ステージは獲得標高3,900mの山岳ステージで、その中盤には難所として知られる1級山岳モンテ・グラッパが待ち構える。

第1週からログリッチたちには大きなチャレンジが待ち構える

第1週からログリッチたちには大きなチャレンジが待ち構える

© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool

第3週ハイライト:さらなる山岳とグラベル

最後の休息日を終えた翌日に迎える第16ステージは、ジロ・デ・イタリア2025最難関山岳ステージだ。

トレンティーノ地方を走るこのステージの獲得標高は4,900mで、5峰(うち3峰は1級山岳)を連続クライムしたあと、ガルダ湖を見ながらモンテ・バルドのサン・バレンティーノまでの上りでフィニッシュする。究極の山岳ステージとなるこの日は、個人総合の行方を決める天王山になる可能性が高い。

ボルミオまでの第17ステージには、ジロ・デ・イタリア名物クライムとして知られるモンティローロ峠が待ち構える。また、フィニッシュ手前までの長く厳しいクライムは、個人総合上位を狙うGCライダーたちに苦戦を強いる可能性が高い。

チェザーノ・マデルノまでの第18ステージは彼らにとって小休止と言えるステージで、ジロ・デ・イタリア2025最後のスプリントステージになる可能性が高い。しかし、ローマでの最終ステージ直前を受け持つ次の2ステージは全員にとって情け無用の高難度で、個人総合が最高の形で確定することになる。

まず、ビエッラからシャンポルクへ向かう第19ステージは166kmの短距離だが獲得標高4,950mの高地ステージで、サイクリストたちはフィニッシュまでひたすらアップダウンと格闘しなければならない。

そして、ベレスからセストリエーレまでの第20ステージは203kmのロングステージで、獲得標高も4500mを誇る。さらに、今年の最高標高地点(ジロ・デ・イタリアでは “チーマ・コッピ / Cima Coppi” と呼ばれる)コッレ・デッレ・フィネストレまでの斜度9%のグラベル8kmとフィニッシュ地点セストリエーレまでのクライムも待っている。

ローマでの第21ステージはジロ・デ・イタリア2025優勝者が表象されるセレモニアルライドとなる。誰が優勝しても、相応しい勝利として讃えられるだろう。

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ジロ・デ・イタリア2025優勝候補:プリモシュ・ログリッチ

レッドブル=ボーラ=ハングスローエのリーダーを務めるプリモシュ・ログリッチは、マリア・ローザ最有力候補のひとりとしてジロ・デ・イタリア2025を迎える。ジロ・デ・イタリア2023の個人総合優勝を手にしているこのスロベニア出身サイクリストは、2回目のジロ制覇を達成してからツール・ド・フランス2025を迎えたいはずだ。

現在35歳のログリッチは、ジロ・デ・イタリア開催前最後のビッグレースとなったボルタ・ア・カタルーニャ2025で優勝して好調なため、ティレーノ〜アドリアティコ2025を制して同じくマリア・ローザ最有力候補に数えられている若きスペイン人サイクリスト、フアン・アユソとの激しいタイトル争いが展開されることが予想されている。

ボルタ・ア・カタルーニャ2025でのログリッチは、バルセロナ市内を走る最終ステージでフィニッシュ手前20kmから仕掛けて逃げに成功。このステージを制したログリッチは、UAEチーム・エミレーツに所属する若きアユソを逆転して個人総合優勝を勝ち取った。

2回目のジロ制覇を狙うログリッチ

2回目のジロ制覇を狙うログリッチ

© Friesoooooo/Team Red Bull Bora Hansgrohe

仕掛けるしか選択肢はありませんでした。あのような瞬間のためにトレーニングを重ねてきました。アユソのような若手たちが台頭し、私たちにはレベルアップの必要が生じています

プリモシュ・ログリッチ(ボルタ・ア・カタルーニャ2025優勝インタビュー)

ログリッチとアユソの世代間バトルはジロ・デ・イタリア2025の特徴のひとつで、今年はグランツールのベテランサイクリストたちが、ハングリーな新世代サイクリストたちを迎え撃つ展開が多く見られることが予想されている。

そのため、ジロ・デ・イタリア2025が “ログリッチとアユソの一騎打ちになる” と予想するのは安直すぎる。まず、アユソには、ログリッチと同じく経験豊富なチームメイト、アダム・イェーツ(英国)とのバトルが待っている。イェーツはライバルたちの疲労がピークを迎えるタイミングで個人総合上位に進出できる実力を備えているワールドクラスのサイクリストだ。

ジロ・デ・イタリア優勝経験を持っている今年の優勝候補としては、2019年にジロを制しているEFエデュケーション・イージーポスト所属のリチャル・カラパス(エクアドル)や、2021年のジロを制したイネオス・グレナディアス所属のエガン・ベルナル(コロンビア)も挙げられる。

また、スーダル・クイックステップ所属のミケル・ランダ(スペイン)、ピクニック・ポストNL所属のロマン・バルデ(フランス)、グルパマ・FDJ所属のダヴィド・ゴデュもタイトル争いに加わる可能性がある。

そして、オリンピックMTBクロスカントリー連覇を達成し、2020年のジロ・ネクスト・ジェン(ジロのU-23部門)を制しているトム・ピドコック(英国)はジロ・デ・イタリア2025のダークホース筆頭として注目されており、チーム・ヴィスマ・リースアバイク所属のワウト・ファン・アールト(ベルギー)も、第1ステージを制してマリア・ローザを最初にまとうサイクリストの最有力候補に目されている。ワウト・ファン・アールトも出場

ワウト・ファン・アールトも出場

© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool

トム・ピドコックはジロデビューを飾る

トム・ピドコックはジロデビューを飾る

© Bartek Wolinski/Red Bull Content Pool

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レッドブル=ボーラ=ハングスローエ:イタリア人たちの活躍に期待

ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャで構成される2025年のグランツールは、昨年よりもワイルドカード枠が1増え(合計22チームから23チームへ)、出場サイクリスト数が176から184へ増えた。

また、国際自転車競技連合(UCI)が、プロサイクリング評議会(PCC)が提出した「2部チームをサポートすることを目的とした増枠案」を承認した。

これらの結果、ジロ・デ・イタリア2025にはワイルドカードが4枠となり、地元イタリア2チーム(チーム・ポルティ・ヴィジット・マルタ / VRグループ・バルディアーニ・CSF・ファイザネ)と、スイス2チーム(Q36.5プロサイクリングチーム / チューター・プロサイクリングチーム)が出場する。

ジロ・デ・イタリア2025はワールドツアーチーム(1部チーム)が18チーム出場する予定で、プリモシュ・ログリッチがキャプテンを務めるレッドブル=ボーラ=ハングスローエはトップチームのひとつに位置づけられている。

まず、2022年のジロ個人総合王者ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)と2024年のジロ個人総合2位のクライマー、ダニエル・フェリペ・マルティネス(コロンビア)が元ジロ王者ログリッチを支える。

他にも、ジョバンニ・アレオッティ、ジャンニ・モスコン、マッテオ・ソブレロのイタリア人サイクリスト3人がホームアドバンテージを提供し、ログリッチと同郷のヤン・トラトニク(スロベニア)と、チームと同郷のニコ・デンツ(ドイツ)がキャプテンとチームを全面的にサポートする予定だ。

イタリア人ライダーのひとり、マッテオ・ソブレロ

イタリア人ライダーのひとり、マッテオ・ソブレロ

© Sebastian Marko/Red Bull Content Pool

ジロ優勝経験を持つジャイ・ヒンドリーがチームを支える

ジロ優勝経験を持つジャイ・ヒンドリーがチームを支える

© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool

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ジロ・デ・イタリアの各賞とジャージ

ジロ・デ・イタリア2025にも例年通り4種類の賞とジャージが用意される。各ジャージは、各日終了時点でそれぞれのトップに立ったサイクリストが翌日着用する。

マリア・ローザ(ピンク):ジロ・デ・イタリアを象徴するジャージ。個人総合首位のサイクリストが着用する。

マリア・チクラミーノ(パープル):各日終了時にスプリントポイント1位のサイクリストが着用する(ポイント賞)。

マリア・アズーラ(ブルー):各日終了時に山岳ポイント1位のサイクリストが着用する(山岳賞)。

マリア・ビアンカ(ホワイト):個人総合25歳以下のカテゴリーで首位のサイクリストが着用する(新人賞)。

世界最高クラスのサイクリストたちがイタリアに集結する

世界最高クラスのサイクリストたちがイタリアに集結する

© Charly López/Red Bull Content Pool

各ステージの上位3名にボーナスタイム(1位10秒 | 2位6秒 | 3位4秒)が与えられる。また、中間スプリントポイントでも同じくボーナスタイムが用意されるが、今年は例年とは異なり、《レッドブルKM》というタイトルがつけられた全長1kmのスプリントとなり、ボーナスタイムも1位6秒、2位4秒、3位2秒とこれまでの中間スプリントポイントの2倍を獲得できる。

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