エールフランスのグレードアップされたファーストクラス・スイートの全長は、なんと窓5個分もある。エールフランスのグレードアップされたファーストクラス・スイートの全長は、窓5個分もある。 Claire-Lise HAVET/Courtesy of Air Franceエールフランスは、ライバルのルフトハンザやブリティッシュ・エアウェイズに続き、新しいファーストクラス・スイートを発表した。これらの航空会社は、コロナ禍後に大西洋を横断する旅行が急増したことを受け、アメリカ行きの路線を優先した展開をしているようだ。「アメリカ人がこちらに来るために支払っている金額は信じられないほどだ」とエールフランス-KLMのベン・スミスCEOは話している。

ヨーロッパの航空会社は、大西洋横断の旅行が急増する中、アメリカのビジネスをターゲットにしたと思われる形で、最上級のオプションをグレードアップしている。

2025年3月18日、エールフランス(Air France)は新しいファーストクラス「ラ・プルミエール・スイート(La Première suite)」を発表した。このスイートには、座席と長椅子があり、スライドドアよりもさらにプライバシーを守ってくれる床から天井までのカーテンが備えられている。

加えてこのスイートの全長は窓5個分あり、既存のファーストクラスよりも25%広いスペースを乗客に提供する。

2025年春、ラ・プルミエールはニューヨークのJFK空港行きの便でデビューの予定で、2025年4月の往復チケットの価格は約2万ドル(約300万円)だ。

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「アメリカ人がこちらに来るために支払っているのは信じられないくらいの額だ」と、エールフランス-KLMのベン・スミス(Ben Smith)CEOは2025年3月初め、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)に語った。彼は、パンデミック後にアメリカ人観光客が増えたことを背景に、1泊2000ドル(約30万円)するパリの高級ホテル、ル・ブリストル(Le Bristol)が宿泊料金を上げたことを例に挙げている。

エールフランスは、最も裕福な客層を狙ったアップグレードに投資したヨーロッパの航空会社の最新の事例であり、今後の競争に向けた準備を進めている。

ヨーロッパの航空会社は大西洋を横断する便を優先しているようだ。

「大西洋横断便は、ヨーロッパのほとんどの航空会社、いや、すべての航空会社が収益を得ている分野だ」と、アルバレス・アンド・マーサル(Alvarez & Marsal)のマネージング・ディレクター、ニール・グリン(Neil Glynn)はBusiness Insiderに語った。

「彼らは明らかに競争しており、サービスの基準が上がっている」

ルフトハンザドイツ航空(Lufthansa)は2024年11月、アレグリス(Allegris)という新しい個室のタイプのファーストクラスを発表した。これには天井まである壁と、43インチのテレビ、そしてダブルベッドが備え付けられている。エールフランスがスイートを発表した翌日、ルフトハンザはプレスリリースを発表し、夏の運航スケジュールではファーストクラスが主にアメリカ行きの便をターゲットにしていることを示した。具体的には、シカゴ、サンディエゴ、サンフランシスコ行きに加え、上海とインドのベンガルール行きの便も含まれている。

Lufthansa new Allegris first-class suites: Interior photo showing a double bedルフトハンザの個室タイプのファーストクラス、アレグリスは2025年夏、ドイツとアメリカの3都市間の便でサービスを提供する予定だ。Lufthansa

2024年11月、ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)はエアバスA380(Airbus A380)向けの新しいファーストクラス・スイートを発表しており、2026年に導入予定だ。最初の運航路線はまだ発表されていないが、現在、ブリティッシュ・エアウェイズの大型旅客機は主にロンドンとアメリカの都市間を結ぶ便で運航されている。

ヨーロッパの航空会社が、裕福な観光客やビジネス旅行者が多い世界最大の経済圏であるアメリカをターゲットにして、最も豪華なスイートを提供するのは驚くことではない。

欧州連合(EU)に加盟する国々の人口はアメリカより約1億人多いが、その国内総生産(GDP)は約3分の2だ。またアメリカの平均年収8万115ドル(約1205万円)は、ヨーロッパの3大経済国であるドイツ、フランス、イギリスの年収を大きく上回っている。

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アメリカ人の購買力が、新型コロナウイルスのパンデミック後の大西洋横断旅行者の急増とともにヨーロッパ経済を後押しした。アメリカ商務省国際貿易局(ITA)によると、2024年8月は、ヨーロッパを訪れたアメリカ人は5年前と比べて2倍以上に増加したという。

エールフランス-KLMとルフトハンザグループは、同じ期間に北米行きの旅客便において、収益が28%増加したと、それぞれの年次報告書に記載されている。ブリティッシュ・エアウェイズの親会社であるインターナショナル・アエロスペース・グループ(International Airlines Group)は、これらの数字の地域別内訳を公開していない。

「新型コロナウイルスによるロックダウンを経験した人々は、その経験を自分たちの旅行パターンに反映させており、2023年にはとんでもなく高級志向なレジャーの需要が見られた」とグリンは話している。

アメリカの航空会社も恩恵を受けている。ユナイテッド航空(United Airlines)とデルタ航空(Delta Air Lines)は、それぞれ2019年と比較してヨーロッパ行きの便を23%と13%増便しており、乗客1人あたりの利益も増加している。

しかし、アメリカの航空会社では長距離路線のファーストクラスは珍しい。各社のファーストクラス、デルタ・ワン(Delta One)やユナイテッド・ポラリス(United Polaris)はビジネスクラスに近いもので、アメリカン航空( American Airlines)のフラッグシップ・ファースト(Flagship First)においては、同社のボーイング777-300型機(Boeing 777-300)の20機にしか用意されていない。

「当然、アメリカには使えるお金が多く、経済全体が非常に裕福だ」と、アルトン・アビエーション・コンサルタンシー(Alton Aviation Consultancy)のディレクター、ロナン・マーフィー(Ronan Murphy)はBusiness Insiderに語った。

彼はさらに、「主要なアメリカの航空会社は、特典やサービスのプログラムやクレジットカードのおかげで多くの予約を獲得できているものの、プレミアムスイートに関してはヨーロッパの航空会社よりも劣っている」と付け加えた。

「もしお金があったら、旅行にもう少しお金を使うかもしれない。だって、何のために働いているんだ?」と彼は言った。

「それから周りを見渡して、『ああ、エールフランスは、デルタやアメリカンで得られるものよりずっと良いな』と思うだろう」

アメリカの航空会社はラグジュアリーよりも効率性を重視しており、例えば、より多くのエアバスA321XLR(Airbus A321XLR)を注文している。この機体は単通路型(客室内に通路が1本の飛行機)で比較的小型のため、より遠くまで飛行でき、あまり人気のない都市への新しい路線が開設できるのだ。

これに対し、ブリティッシュ・エアウェイズの新しいファーストクラスは、現在のサービスよりも明らかに豪華なアップグレードとなっている。

A collage of British Airways' new and old first-class cabins for the Airbus A380ブリティッシュ・エアウェイズのA380の新しいファーストクラス(左)と、現在のファーストクラス(右)。Pete Syme/Business Insider; JUSTIN TALLIS/AFP via Getty Images

ビジネスクラスは通常ファーストクラスよりも高い利益を得られるが、ヨーロッパの航空会社のファーストクラスの最高級のサービスは、最も多くお金を使ってくれる顧客たちをアメリカの競合他社から引き寄せる手段となるかもしれない。

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