青森県に縁のある現代アーティストたちの作品を紹介する展覧会「Made in 青森 ―自然と歴史の交差点」が1月24日、東京・表参道のOMOTESANDO CROSSING PARKで開幕しました。
会場外観
本展には、奈良美智さんら青森県出身の作家のほか、蜷川実花さんら青森で制作を行うアーティストら計10組が参加しています。
青森は、雄大な自然と長い歴史が織りなす独自の文化を誇ります。日本最古の土器が発見された三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡群があり、また北海道やロシアといった、日本各地や世界と繋がる文化的な交差点としての役割を果たしてきました。
キュレーターを務める「弘前れんが倉庫美術館」の木村絵理子館長は「展覧会のテーマとして、人が交差する場所としての青森を考えました。選んでいただいた作品は、何かひとつの方向性を示すのではなく、多様な人たちが多様な視点で、自然や歴史、人間そのものなどに目を向けます。それぞれは一見バラバラに見えますが、その土地を通じてつながり合っている展示にしようと思いました」と話します。
工藤麻紀子《春の山をあみこむ》(中央)
工藤麻紀子さん(1978年–、五所川原市出身)は13歳まで青森県に住んでいました。「冬が長く、春を待つのがすごい楽しみでしたが、春が来ると冬が恋しくなる気持ちもありました」と振り返ります。中央の絵《春の山をあみこむ》は、青森の春の山を描いた作品で、黄色い花などをセーターに編み込めたらいいなという気持ちが込められています。
奈良さんと《Girl from the North Country》(右)
世界的に活躍する奈良美智さん(1959年‐、弘前市出身)の《Girl from the North Country》は、今回が初お披露目です。現在、色を濁らせて、濁った色でどう描くかを追究しているそうで、これまでの作品と比べると彩度が落ちています。「(次に向けて)練習している今の自分を出すのもいいのかなと思って展示しました。赤はリンゴの赤かなと、さっき思った」と話しました。
桝本佳⼦《イカ/壺》
陶芸家の桝本佳⼦さんは、壺や皿といった器に、装飾という枠を超えた飾りを付け、「器がメイン、飾りがサブ」という常識を覆します。魚を捕らえているイカの躍動感には目を奪われました。
小林エリカ《春のをどり(愛の夢)》(左)、《桜 2024、2024、1945》
作家、漫画家としても活躍する小林エリカさん(1978年–)は父が弘前市生まれです。昨年出版され、毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞した『女の子たち風船爆弾をつくる』に連なるテーマの絵が展示されています。《春のをどり(愛の夢)》は、第二次世界大戦中に武器製造などを経験した宝塚歌劇団の少女たちが、戦後初めて舞台に立った時のフィルムをもとに描かれました。 右下は1945年と2024年の桜です。
蜷川さんとトレーラーハウス
生花と造花が入り混じります
蜷川実花さんは、弘前の桜が好きで何年も通い詰め、年に3~4度青森を訪れているそうです。外観は、トレーラーハウスのなかに組んでいる撮影セットのようです。その中には生花と造花が入り混じり、背景は弘前の桜の写真です。造花は変化しませんが、生花は時間の経過とともに満開に向かったり、枯れたりします。「生命の循環や、リアルとフェイクの狭間を表現した作品です」と解説しました。トレーラーの側面の壁には、日々撮影した写真が貼られ、作品の経過をたどることができます。
土偶の彫刻と、彫刻から取られたおでんの型
変わり種は、小田桐奨さん(1984年–、平川市生まれ)と中嶋哲矢さん(1984年–、静岡生まれ)によるユニットL PACK.の「彫刻おでん屋台」。土偶などの彫刻から取った型から、おでん種を作るプロジェクトです。
21世紀に入ってから、青森県内では現代アートの発信拠点が次々と誕生し、「青森5館」として知られる美術館群がアートを通じた新たな地域の魅力を発信しています。 本展のジャンルやテーマは様々ですが、どの作品からも、日本最古の土器が発見された青森に脈打つ、ものづくりの精神が伝わってきたように感じました。(美術展ナビ編集班・若水浩)
Made in 青森 −自然と歴史の交差点
会場:OMOTESANDO CROSSING PARK(東京都港区南青山5-1-1)
会期:2025年1月24日(金)~2月24日(月・祝)
休館日:会期中なし
開館時間:10:00-20:00
入場無料
出品作家:岩根愛、工藤麻紀子、小林エリカ、⽥附勝、奈良美智、桝本佳⼦、三村紗瑛⼦、吉田真也、L PACK.、蜷川実花 with EiM
ウェブサイト:https://anonymous-collection.jp/mia2025
