アジア時間5日午前、米国と中国のこれ以上ないほどの違いを世界中が見守った。北京では中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開幕。習近平国家主席が人民大会堂に入場する際、中国全土から集まった代表は一斉にゆっくりと拍手を送った。
ワシントンでは現地時間4日夜、トランプ米大統領が上下両院合同会議で施政方針演説を行った。議場はトランプ氏への称賛とやじで騒然とした雰囲気となり、与党共和党と野党民主党の対立が鮮明となった。

習氏を迎える全人代(3月5日)
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今、トランプ氏は米国がより多く生産することを望み、習氏は自国民により多く消費するよう求めている。
アジアソサエティー政策研究所中国分析センターで中国政治を担当するニール・トーマス研究員は、「トランプ氏のホワイトハウス復帰で地政学的不確実性が高まる時代において、消費の促進は中国政府が経済における外需への依存度を低減するのに寄与する」と指摘。
その上で「消費主導型経済への移行は非常に難しい。中国は所得を大きく増やし、社会のセーフティーネットを強化する必要があるが、大幅な増税や企業や国の多大な資源の再配分は望んでいない」と語った。

トランプ氏(3月4日)
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トランプ氏の演説中に党派間の緊張が露呈した米国と異なり、中国の政策を巡る論争は非公開で行われる。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校21世紀中国センター所長で、中国政治についての著書もあるビクター・シー氏によると、政策論争で最も影響力を持つのは、補助金を受け取ることに慣れている国有企業のリーダーたちであることが多い。「共産党内のエリート層を見ると、それは重工業であり、国有企業の経営陣だ」という。
S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏は、東アジアでは日本や韓国も消費中心の経済への移行で苦しんだと説明。
中国は2015年より前に、企業や業界への補助金削減により「かなりの進展」を遂げていたと同氏は述べたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)と対中輸出規制を強化した米国との緊張関係が高まったことから、中国当局は短期的に投資重視の景気刺激策に回帰した。
全人代で政府活動報告を行った李強首相は、逆境に直面しても自信を持つよう共産党に呼びかけ、「中国経済という巨大な船は、今後も波を切り、未来に向かって着実に進んでいく」と明言した。

人民大会堂前
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習氏(左)と李氏(右)
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原題:Trump’s Tariffs Push Xi to Overhaul China’s Ailing Growth Model (抜粋)
