ロシア政府、原油安などの経済リスクを強く警戒=報告書

 ロシア政府内部での議論のために用意された報告書は、ロシア経済が直面するリスクの上位として原油価格下落、予算の制約、企業の不良債権の増加を挙げている。経済発展省と中央銀行が今月4日のミシュスチン首相との会談のために作成したこの報告書の内容をロイターが確認した。写真はモスクワで昨年12月撮影(2025年 ロイター/Maxim Shemetov)

[ロンドン 13日 ロイター] – ロシア政府内部での議論のために用意された報告書は、ロシア経済が直面するリスクの上位として原油価格下落、予算の制約、企業の不良債権の増加を挙げている。経済発展省と中央銀行が今月4日のミシュスチン首相との会談のために作成したこの報告書の内容をロイターが確認した。

プーチン大統領と政府高官は、ウクライナ侵攻に対する国際的な制裁を受けながらもロシア経済が回復してきたことを自賛している。一方で約10%の高インフレが最大の課題となっており、トランプ米大統領がウクライナでの戦闘終結に向けてプーチン氏と会談したことを12日に発表する前から広い懸念があったことを浮き彫りにした。

経済発展省の報告書は「テクニカル・リセッション(景気後退)に及びかねない景気の減速が、インフレ率の鈍化よりはるかに速いペースで起こる可能性が高まっている」と言及した。

ロイターの調査によると、中銀は14日の会合でも政策金利を21%に据え置くと予想されている。報告書では、高水準の金利が融資や投資を抑制し、ロシアの経済成長の先行きを脅かしているとして「現在の乏しい投資は2―3年後の国内総生産(GDP)成長の不足(成長率の低下)につながる」と問題視した。

経済発展省と中銀はともに、原油価格下落が連邦予算に問題を引き起こす危険性があるとも指摘した。

中銀の報告書は、米国産原油が市場にあふれた場合には原油価格下落の「重大なリスク」があると強調し、石油輸出国機構(OPEC)加盟国の生産余力が過去最高に近く、ロシアの原油輸出量に匹敵すると分析した。

中銀は原油価格下落の潜在的な影響について「今後5―10年の予算の制約は、現在考えられているより厳しくなるかもしれない」と記した。

経済発展省と中銀は、ともにコメントの要請に応じなかった。

<企業コスト上昇>

経済発展省は報告書で、企業のコストが広範囲にわたって上昇することを覚悟していると言及。ノバク副首相は12日、連邦議会でこの懸念について発言していた。

2025年の企業の人件費、税金、関税、利払い費といったコストは前年より14兆8000億ルーブル(1639億ドル)増えると試算されており、これは24年の民間の固定資産投資額の約45%に相当するという。

報告書は、不利な外部環境と内需の減退によって企業が消費者に価格転嫁することが難しくなっているため、利益はさらに圧迫されるだろうとも指摘した。

これらは全て企業の財務安定性に重くのしかかり、不良債権が積み上がるリスクに拍車をかけると警告した。

<原油価格がリスクに>

ロシアのGDPは2022年に小幅なマイナス成長となった後、西側諸国の制裁に耐えながら急増する政府支出、軍事生産、石油・ガス・鉱物の輸出に後押しされてロシア政府や西側諸国の当初予想より力強い経済成長を示した。

一方、この数カ月は広範囲に及ぶ労働力不足、ルーブル安、過去20年超で最も高水準にある政策金利がロシアの経済成長の行方に影を落としている。

ロイターは今年1月、状況を知る5人の情報筋の話として、プーチン氏が戦時下のロシア経済のゆがみに対する懸念を深めていると報じた。

ヘグセス米国防長官は今月12日、エネルギー価格の下落がロシアをウクライナ和平交渉に参加させる手助けになると予測した。

エネルギー収入はロシアの歳入の約3分の1を占めている。原油価格上昇は、1月だけで1兆7000億ルーブルに膨らんだ財政赤字に対処する一助となっている。

ロシアの政府系ファンド「国民福祉基金(NWF)」は、現在も続いているロシアの財政赤字の主な資金源となっている。NWFの流動資産は375億ドルと、ウクライナ侵攻前の1127億ドルから約3分の1の水準に落ち込んだ。

中銀は報告書で「NWFは、長期にわたる歳入減を補うようには設計されていない」と訴えた。

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