宮崎駿監督が初めて演出を手がけたテレビアニメシリーズ「未来少年コナン」。1978年の放送から50年近くたった今も伝説的に語り継がれている傑作がイスラエルの鬼才インバル・ピントの演出で舞台化される。22歳の加藤清史郎が主人公のコナンに挑む。(小間井藍子)劇中でのお気に入りは空中要塞(ようさい)ギガントを表した場面。「稽古場で初めて見たときに『そう来るか』とびっくり。度肝を抜かれました」(写真・山本春花)劇中でのお気に入りは空中要塞(ようさい)ギガントを表した場面。「稽古場で初めて見たときに『そう来るか』とびっくり。度肝を抜かれました」(写真・山本春花) 最終戦争後、ポツンと残された島で育ての親と暮らすコナン(加藤)。ある日、島に流れ着いた謎の少女ラナ(影山優佳)が工業都市インダストリアの官僚モンスリー(門脇麦)に誘拐される。コナンはラナを取り戻そうとするが――。「明るい冒険活劇と見せかけて奥に潜むテーマが深い。人と人とのつながり、人と環境との関係性が描かれていて、その後の宮崎アニメにつながるモチーフがいくつもある」と加藤は言う。

 演出のほか振り付け・美術・衣装も担当するピントは佐野洋子の「100万回生きたねこ」(2013年)、芥川龍之介の「羅生門」(17年)、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」(20年)と日本の絵本や小説を次々に舞台化してきた。加藤も過去作品の映像を視聴して「驚きの連続でした。新しいものを見ていると思うと同時に本来、あるべき姿なのかもしれないと思う瞬間があった。舞台機構をシンプルに使っている印象を受けた」と語る。 ダンサー出身のピントの舞台では出演者たちにも独特の動きが求められる。加藤も2月ごろから体の使い方を学んだ。「『手は手であって手ではない』と、手を足のように使って動いてみるとか。どこか哲学的でもあり、固定観念を覆され続けた。最初はついていけるか不安がありました」
 その不安は、ピント作品には3本目の出演となる
成河(そんは)
を始めとする共演者たちと作品を練り上げていくうちに徐々に解消されたという。「インバルにとって稽古場はアトリエ。僕らの発言や動きを見て演出を考えたり、変えたりしていく。成河さんが『出し続けないと創作も止まるから』と率先して発信してくれるので、僕も遠慮なく提案していけた。今は楽しいです」
 1歳で芸能活動を開始し、ミュージカルの経験も豊富な加藤だが、ここまで出演者全員で作り上げる稽古場は初めての経験。日々、刺激となっているようだ。 砂漠を駆け抜け、長時間海に潜り、時には高所から真っ逆さま。人間離れしたサバイバル能力の持ち主であるコナンを「超人ですよね」と言う。「でも、前半と後半では違っていて。序盤のサメを持って走り回るコナンじゃ言えないセリフが終盤に出てきます」。そのセリフをどうやったら言えるか。「僕自身がコナンとして呼吸し続けること。遠いようで、それが一番近い道なんだと思います」 池袋・東京芸術劇場で6月16日まで。(電)03・3490・4949。