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女性への不平等や性的搾取に抗議する活動を半裸で行うウクライナ発の過激なフェミニスト団体「FEMEN」と、その創設メンバーのひとりであるオクサナ・シャチコについて、私も含め予備知識のない観客には不親切な作りの映画だと感じた。鑑賞後に調べたらFEMENもオクサナもWikipediaに項目があるので、もともと海外の女性運動に関心のある方にはお馴染みの名前だっただろうか。
ソビエト連邦時代の1987年にウクライナ西部の町で生まれたオクサナは、少女の頃からイコン(聖像)画で家計を助け、大学在籍時の2008年に学生仲間とFEMENを設立。当初は女性への性的搾取やセックスツーリズムに反対するデモを下着姿で行っていたが、ある時オクサナが胸を露出して注目度が上がったのをきっかけに、裸の上半身にメッセージを書いてアピールする抗議活動がトレードマークになる。
FEMENの活動はウクライナにとどまらず、モスクワでのプーチン非難やベラルーシでの政権批判を展開したことで弾圧が厳しくなりオクサナはパリに移住、2013年にフランス政府から政治難民の地位を与えられる。同年から翌2014年にかけてドキュメンタリー映画が一気に5本も作られ(製作国は仏、独、スイスなどで一部は合作)、欧州でFEMENとオクサナへの関心が相当高かったことがうかがえる。
ちなみに、最初のドキュメンタリー「Je suis FEMEN(私はFEMEN)」の公開に合わせたインタビュー映像「Je suis Femen : Interview Oxana Shachko」がYouTubeで閲覧できる。劇映画にオクサナ役で主演したアルビーナ・コルジも美人だが(当サイトのキービジュアルの画像では魅力的に見えなくて残念)、オクサナ本人もモデル体型のクール系美女。穏やかな表情で話す姿は、エル・ファニングや若い頃のダイアン・レインに似た雰囲気もある。
で、本作を撮ったシャルレーヌ・ファビエ監督の母国フランスをはじめとする欧州諸国ではある程度知られた事実のはずだが、2018年7月23日のパリで自身初となる個展を開催した夜、オクサナは自ら命を絶ってしまう。劇映画はこの日を基点として、過去と2018年を行ったり来たりして彼女の人生を振り返りつつ自殺の真相を探ろうとするのだが、予備知識がない観客にはこの構成がまずわかりにくい。情報ゼロの人にもオクサナの生涯を知ってもらうなら、シンプルに時系列で描いたほうが伝わりやすかったはず。脚本は監督を含む3人の共作だが、時代を行き来する構成がうまく機能せず、そのことがオクサナの内面を知ろうとする意識を邪魔するように感じた。
それでも、本作でのオクサナの生きざまを見て畏敬の念すら覚えるのは、まさに命を削るように抗議活動と芸術表現に取り組んだ意志の強さ、正義感と勇気。昨今の日本ではどういうわけか、芸能人や作家などが作品に政治的メッセージを込めたり政治的な発言をしたりするのを嫌う傾向が強まっているけれど、音楽アーティストであれ小説家であれフィルムメーカーであれ、作品や発言を通じて政治的な主張を行うことも立派な表現活動で、民主主義国家の憲法で保障された表現の自由なのだ。「OXANA 裸の革命家・オクサナ」を観たことが、政治的主張と表現について改めて考えるきっかけになればと願う。
