
県高校総体のバレーボールは30日から3日間の熱戦が繰り広げられる。男子はこの1年で勢力図が大きく動いた。県内主要大会を制してきた大分南が一歩リードする一方、大分工業、鶴崎工業も確かな成長を示し、王座奪還へ闘志を燃やす。そして躍進著しい竹田も、上位進出を狙う存在へと変貌した。総体シード4校の現在地と、それぞれが描く頂点へのシナリオに迫る。
県高校総体を前に、頭ひとつ抜け出している存在が大分南だ。昨年ほどの高さや圧倒的なパワーはない。それでも県高校新人大会、全九州バレーボール総合選手権(九州総合)県予選を安定して制してきた背景には、長い時間をかけて積み上げてきた技術力と組織力、そして層の厚さがある。
今年の県内勢力図は決して盤石ではない。実際にシード校同士の力関係にも変化の兆しが見え始めている。その中でも大分南が崩れない理由は、試合運びの再現性にある。柿原茂徳監督は「経験を積めたし、主力は予想以上の力を発揮してくれた」と語る。派手さよりも、勝ち切る力。その安定感が際立っている。
チームの核となるのはキャプテンでエースの嵯峨史都、巧みなトスワークに定評があるセッターの仲本路惟、守備の要であるリベロの大久保希音の3年生トリオ。仲本が冷静な判断と多彩な配球で攻撃を組み立て、大久保が安定したレシーブで流れを切らさない。そして、勝負どころでは嵯峨がエースとして決め切る。高さで圧倒するチームではないからこそ、3人を中心にリズムを整え、粘り強く得点を積み重ねていくスタイルが確立されている。
キャプテンでエースの嵯峨
さらに存在感を増しているのが、ミドルブロッカー白川優生(2年)だ。左利き特有の間合いと体の強さを生かしたブロックは相手にとって厄介な武器となる。九州総合予選決勝では終盤に何度も相手の強打を封じ、流れを引き寄せた。速いテンポの攻撃にも絡み、攻守両面でチームを支える存在へと成長している。
他にも攻守でチームを支える双子の森山鉄平と慎平(2年)、鳥居一真(1年)はアウトサイドヒッターとしてだけでなく、レフト側のブロック強化でも期待を集める。実力ある選手がポジションを争う環境が、チーム全体の底上げにつながっている。
県総体優勝後の先を見据える大分南
大分南の強さは技術だけではない。昨年の春高県予選決勝では、2セットを先取されながらも逆転勝利を収めた。その経験を支えているのが、継続して取り組むブレイントレーニング(脳トレ)である。劣勢でも感情に流されず、自分たちのプレーを冷静に遂行する力。流れに左右されやすい高校生世代にとって、大きな武器となる。
県高校総体の目標はもちろん、優勝。だが、そこで終わるつもりはない。本当に見据えるのはその先にある全国の舞台だ。掲げるテーマは「ジャイアントキリング(大番狂わせ)」。県内では追われる立場でも、全国では挑戦者である。高さで劣るなら、拾ってつなぎ、コンビで崩し、駆け引きで上回る。サイズを言い訳にしないバレーを磨き続ける。県高校総体を勝ち抜き、その先で自分たちの価値を証明するために。大分南の挑戦は、ここからさらに熱を帯びていく。
(甲斐理恵)
