【ニューヨークINPS Japan/ATN=アハメド・ファティ】
日本と韓国は、ドナルド・トランプ米大統領が北京で予定している中国の習近平国家主席との首脳会談を注意深く見守ることになる。両国にとって、この会談は中国だけをめぐるものではない。台湾、北朝鮮、エネルギー安全保障、そしてインド太平洋における米国の同盟体制の将来に関わる問題でもある。|ENGLISH|
両国はいずれも、米中間の緊張が管理されることを望んでいる。世界の二大大国の間で危機が起きることは、どちらも望んでいない。しかし同時に、中国との安定が、台湾に関する表現の軟化、北朝鮮への圧力の弱まり、あるいは米国の関与をめぐる不確実性と引き換えに得られるものではないかを見極めようとするだろう。
Ahmed Fathi.
日本にとって第一の懸念は台湾である。台湾海峡で危機が起きれば、日本の領土、日本国内の米軍基地、海上交通路、そして東シナ海に影響が及ぶ。日本政府は米中関係の安定を公には支持しているが、本当の試金石となるのは、米国政府がが抑止力を明確に保ち、同盟国に十分な説明を行うかどうかだ。
中国の見方は異なる。習近平政権は今回の首脳会談を関係安定化の機会と位置づけているが、台湾については引き続き主権に関わる核心的問題として扱っている。日本にとっては、米中双方が発表する会談後の説明文の一語一句が重要になる。中国で使われる曖昧な表現は、日本では安全保障上の懸念になり得るからだ。
韓国はこの会談を北朝鮮の文脈で読み解く。同国は米国との同盟に依存し、中国とは大規模な貿易関係を持ち、さらに核武装した隣国と向き合っている。その北朝鮮は立場をいっそう硬化させている。北朝鮮は、真剣な非核化交渉の軌道からさらに遠ざかる一方で、日米韓協力を敵対的な軍事ブロックだと位置づけている。
そのため、トランプ氏と習氏が朝鮮半島について協議する場合、その内容は極めて微妙なものになる。トランプ氏が北朝鮮問題で中国の協力を求めるなら、韓国はその代償が何なのかを知りたがるだろう。また、自国の安全保障が、韓国を傍観者のように扱う首脳間チャンネルで左右される事態も避けたいと考えるはずだ。
そして、ホルムズ海峡の問題がある。
日本と韓国は高度に発展した工業国だが、単純かつ重大な脆弱性を抱えている。エネルギーの多くを湾岸地域に依存していることだ。日本は石油供給のおよそ95%を中東に依存しており、通常、石油輸入の約70%がホルムズ海峡を通過している。韓国も同様に影響を受けやすい。AP通信によると、2025年には韓国の原油輸入の60%超、ナフサ輸入の約半分がホルムズ海峡を通過した。
つまり、イランもまた北東アジアの問題の一部なのである。韓国は最近、ホルムズ海峡付近で韓国のHMMが運航する貨物船への攻撃を非難した。一方、トランプ氏は韓国に対し、この地域の海上交通路を守る米国主導の取り組みを支援するよう求めている。日本とアラブ首長国連邦も、供給途絶への脆弱性をどう減らすかを日本政府が検討する中で、石油供給の拡大や共同原油備蓄について協議してきた。
したがって、トランプ氏が習氏とイランについて話し合うとき、日韓両国はその内容に耳を澄ませることになる。中国はイランと関係を持ち、湾岸地域に大きなエネルギー権益を有している。中国が危機の沈静化に貢献するなら、日本と韓国は利益を得る。だが中国がその役割を利用して他の分野で譲歩を引き出そうとするなら、中東問題はインド太平洋の問題へと変わる。
これらすべての問題の上に位置しているのが、同盟の問題である。
日本と韓国は、米国の戦略における脇役ではない。両国は、北東アジアにおける米軍態勢の要である。両国に駐留する米軍は、中国と北朝鮮に対する抑止を支え、米国政府がインド太平洋全域で戦力を展開するための基盤にもなっている。
トランプ氏の取引重視の同盟観は、すでに同盟国をより慎重にさせている。日本と韓国は、防衛費のさらなる増額を求める圧力には対応できる。しかし、ワシントンが同盟を長期的な戦略的コミットメントと見ているのか、それとも交渉可能なコストと見ているのかという不確実性には、容易に対処できない。
だからこそ、日本と韓国にとって最良の結果は、劇的なものではない。むしろ、規律ある結果である。すなわち、台湾に関する米国の明確な表現、北朝鮮に対する抑止力を弱めない姿勢、ホルムズ海峡を開かれた状態に保つための実務的な進展、そして同盟が引き続き米国戦略の中核であるという安心感である。
最悪の結果も明確だ。米国と中国では大きな見出しを生む一方で、米国の同盟国には、密かに何が取引されたのか分からないまま不安だけが残る首脳会談である。
日本と韓国にとって、トランプ・習近平会談は一つの物語ではない。そこには四つの物語がある。台湾、北朝鮮、ホルムズ海峡、そしてインド太平洋における米国の同盟体制の将来である。そのいずれか一つだけでも地域を揺るがし得る。これらが重なるからこそ、米国の同盟国は、トランプ氏が習氏に何を伝えるのかだけでなく、北京を後にしてから自分たちに何を伝えるのかにも、細心の注意を払うことになる。
アハメド・ファティは、国際的に配信されるジャーナリスト、国連担当記者、国際問題アナリスト、人権問題のコメンテーターである。外交、多国間主義、権力、公共の自由、そして世界の未来を形づくる政治について執筆している。
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