CNS(中枢神経系)は、長らく「難関領域」と言われてきましたが、ようやくその停滞期を抜け出しつつある兆しが見え始めています。一方で、オンコロジーのディールメイキングはより選別的になり、中国発のイノベーションを取り込むことも、もはや避けて通る話題ではなくなっています。

これらは、先週リスボンで開催された BIO‑Europe Spring に参加した際の、私なりの主な気づきです。会期中、当社メンバーは現地に入り、ディールメイキング、ポートフォリオ戦略、競合インテリジェンスに関するデータドリブンなインサイトを共有しました。複数のセッションに登壇する傍ら、ブースでは、バリスタによる驚くほど大量のコーヒーとともに、活発な議論が繰り広げられました。

会場にお越しいただいた皆さまが、チームとの対話をお楽しみいただけておりましたら幸いです。今回ご参加いただけなかった方にも、エバリュエートの専門家がモデレーターを務めたセッションの雰囲気や内容を、何らかの形でお伝えできれば幸いです。私たちは4つの治療領域別セッションに登壇し、限定データを基盤とした最新分析を用いて議論の背景と文脈を提示しました。

全体像をつかむ:治療領域のランドスケープ

週の幕開けとして開催したのが、「治療領域のランドスケープを読み解く:アナリストの視点」です。商業的・戦略的な全体像を示すことを目的としました。

エバリュエートのDaniel Chancellorが、治療領域別の過去および将来の成長分析に加え、M&Aの注目がどこに集まっているのか、またディールシェアが近年どのように変化してきたのかをデータで示しました。この分析を土台として、Novo NordiskおよびLilly Venturesのリーダーを迎えたパネルディスカッションが行われました。

Lilly VenturesのLaura Laneは、成功するディールメイキングは、もはや個々のアセットだけを評価するものではないと指摘しました。プラットフォームとしての価値、サイエンスの厚み、そしてそのイノベーションを支える「人」が、パイプラインとの長期的な適合性を見極める上で重要になっていると述べています。

オンコロジー:特許満了を前に選別が進む

次に取り上げたのはオンコロジーです。エバリュエートのEthan Smithが、ブロックバスター治療薬の特許満了(LoE)に直面する企業を含め、最新のオンコロジー市場データを紹介しました。

彼の言葉を借りれば、「オンコロジーのスーパーマーケットで買い物をしなければならない企業もある」状況です。エバリュエートのデータは、モダリティのトレンドやパイプラインの厚みが、次のディールの波をどこで生み出すのかを浮き彫りにしました。

希少疾患:依然として重要な地域差

続いて、エバリュエートのコンサルタントであるBen Folwellが、希少疾患に関するセッションをモデレートしました。直近で年次のオーファンドラッグレポートを発表したこともあり、非常にタイムリーなテーマです。

特に印象的だったのは、患者支援団体の役割が地域によって大きく異なる点です。米国では、患者支援団体が承認プロセスを前進させる上で中心的な役割を果たすケースが多い一方、欧州では規制当局の意思決定に対する影響力は依然として限定的です。この違いは、開発戦略、アクセス、上市戦略にも影響を及ぼします。

CNS(中枢神経系): 新たなモダリティが関心を喚起

最後の治療領域セッションはCNSで、当社アナリストWen Yu Huangがモデレーターを務めました。

Wen Yuは、「CNSの“墓場”は本当に過去のものになったのか」という大きな問いを投げかけました。明確な結論には至らなかったものの、アルツハイマー病治療薬の承認など、最近の成功事例がこの領域全体にポジティブな影響を与えている点では意見が一致しました。また、臨床試験におけるバイオマーカー活用の進展も、神経変性疾患・精神疾患の双方で信頼回復を後押しする重要な要因として挙げられました。

セッションのその先へ

会期中はこのほかにも、AIを活用したファーマのディールメイキングや、中国発のイノベーションといった業界横断的なテーマについて多くの議論が交わされました。これらは引き続き注視している分野ですが、1本の記事ですべてを網羅することはできません。より詳しいハイライトは、Scripの記事をご覧ください。

さらに深く知りたい方は、BIO‑Europe コンテンツハブをご覧ください。エバリュエートが登壇したすべてのセッションのスライドに加え、ディールメイキング、ポートフォリオ戦略、競合分析を支援するアナリストレポートや治療領域別インサイトを掲載しています。

次回、BIO‑Europeが11月にケルンで開催される際にも、私たちは現地に戻ってきます。皆さまとお会いできることを楽しみにしています。

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