
小川尊一「一人芝居」


全国規模の日展系洋画団体・創元会の「85周年記念 創元展」岡山巡回展が岡山市北区天神町の県天神山文化プラザ(086―226―5005)で開かれている。写実から抽象まで「新しき絵画」を追究した作品を展示。8年間務めた理事長職を6月に退く小川尊一(岡山大名誉教授)の画業をたどる自選展も同時開催されている。10日まで。
巡回展は東京本展からの選抜作品と岡山支部メンバーの計92点。小川が長年通う岡山市の離島・犬島を舞台に描いた「一人芝居」は、朽ちゆく建物を背景にしなやかに舞う女性2人がドラマを想像させる。会長守屋順吉の「驢馬(ろば)車」は、老人と子どもが女性に見守られ異国情緒あふれる街を行く。
小川が「力のある画家が育っている」と言う岡山勢は、会員林勇介がSOMPO美術館賞。ブランコに乗る2人の躍動感を色彩のコントラストで際立たせた。昨年の日展で会員賞を受けた理事池上わかなは、柔らかな日が差し込む部屋にたたずむ女性像が希望を感じさせる。会員田中MANはペリカンの群れの飛行を生き生きと表現した。松浦藍は準会員賞、関崎亜子、柳由紀子は会友賞を受けた。
小川の自選展は45点。岡山大〝特美〟の卒業制作「原型」をはじめ中近東や中国など海外で取材を重ねた初期作から、犬島で同大の教え子らをモデルに描いた近作までを並べる。建物の乾いた質感を巧みに表現した日展初入選作「窯跡」(1973年)、飛ぶ鳥と女性像を描き日展会員賞に輝いた「臨界」(2007年)も舞台は犬島だ。
異国や産業遺跡の風景に重ねるのは「きらきら光るものがたくさんあった」と語る戦後間もない郷里・笠岡の港町の記憶。大作の数々には、郷土画壇を率いてきた画家の原風景が息づいている。
岡山支部員と一般応募の作品展も併催している。
(中浜汐里)
