ルフトハンザ・グループは、地政学リスクに伴う航空燃料の価格高騰と供給不安を受け、欧州連合(EU)に対しての規制緩和を求める方針を明らかにしました。

 2026年第1四半期の決算発表において、カルステン・シュポアCEOは、燃料供給の安定化とコスト削減に向けた「3つの要求」を提示しています。中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇により、同グループの2026年通期の燃料コストは、当初予想を17億ユーロ(約2,850億円)上回る89億ユーロに達する見通しです。

 同グループによれば、現在欧州で消費される航空燃料の約25%を占めていた中東・湾岸地域からの供給が滞っており、現在は備蓄の取り崩しや米国・ナイジェリアからの輸入、欧州内での増産で補っている状態です。こうした状況下で、シュポアCEOは供給網の柔軟性を確保するための具体的な措置を求めています。

ルフトハンザが求めているのは、主に以下の3点です。

1. 米国規格燃料「Jet A」の輸入・使用認可
 現在、欧州では「Jet A-1」規格が標準ですが、米国で主流の「Jet A」を輸入する場合、欧州の基準に合わせるための再精製プロセスが必要となります。シュポアCEOは、両者の主な違いである「凍結温度」の差は夏季の運航において大きな支障にはならないとし、米国からの直接給油を可能にすることで供給不足を回避する「レバレッジ」にしたい考えです。欧州航空安全庁(EASA)からも、技術的な異論はないとの感触を得ているとしています。

2. 空港スロットルールの適用停止
 燃料不足や価格高騰によって運航を縮小せざるを得なくなった場合、一定の運航実績がないと発着枠を没収される「U/Lルール(ユーズ・イット・オア・ルーズ)」の適用を一時的に停止するよう求めています。これは、燃料情勢が悪化した場合に貴重なスロットを維持するための予防策であり、すでに英国が同様の措置を決定したことを受けての動きです。

3. 「アンチ・タンカリング」規制の一時解除
 現在、欧州では環境規制の一環として、CO2排出量を増やす「復路分の燃料を積んでの飛行(タンカリング)」が制限されています。しかし、就航先での燃料供給が不安定になるリスクに備え、自社のハブ空港から燃料を多めに積載して出発できるよう、一時的な規制解除を訴えています。

 燃料コストの激増という逆風がある一方で、ルフトハンザ・グループの経営陣は強気の姿勢を崩していません。第1四半期の売上高は過去最高の87億ユーロを記録し、特にアジアやアフリカ路線の需要が極めて好調であることから、2026年の通期利益目標(前年比10%以上の成長)は据え置いています。

 燃費効率の高い最新鋭機への更新を進めつつ、既存の規制にとらわれない柔軟なオペレーションを確保することで、地政学リスクによる不確実性を乗り切る構えです。Photo : Lufthansa

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