中国初の完全AI生成映画「霊魂擺渡・浮生夢」が2026年夏の公開を正式発表した。
中国初の“完全AI(人工知能)生成映画”として注目を集める「霊魂擺渡・浮生夢」が、2026年夏の公開を正式発表した。制作の全工程をAIで完結させた点が話題となる一方、演出の空洞化などを懸念する議論が巻き起こっている。
同映画は、14年に配信された現代サスペンスドラマ「霊魂擺渡」の派生作品。愛奇芸(iQIYI)と長信伝媒(G.H.Y Culture&Media)が共同制作し、「東洋怪異譚の新時代を切り開く実験プロジェクト」と位置付けられている。
制作陣には、「唐朝詭事録」のプロデューサーであるグゥオ・ジンユー(郭靖宇)をはじめ、脚本のシャオジーシアンティエン(小吉祥天)、監督のディン・クワン(丁寛)らが名を連ねる。キャラクター造形やシーンの特殊効果、ボイス、劇伴音楽、編集、場面転換に至るまで “完全AI化”した点が最大の特徴だ。
AIの導入により、実景撮影の制約を超えた幻想的な映像表現を効率的に実現でき、制作コストは60%以上削減されたとされる。ビジュアル面とコスト面のメリットから、ニッチなコンテンツの映像化に新たな道を切り開く可能性がある。
その一方で、AIは俳優の繊細な演技のニュアンスを完全に再現するには至らず、表情の動きが“不気味の谷現象”に陥りやすいという課題も指摘されている。リアルでありながら硬さが残り、キャラクターが「魂のない空虚な存在」になる懸念も拭えない。
視聴者からは「AIはアニメ作品に限定すればよいのではないか」といった声も上がり、74%の視聴者がAI作品に抵抗感を示すとのデータもある。人気コンテンツが“デジタル量産品”へと成り下がることを懸念する意見もあり、業界内でも「役者はAIに置き換えられ、制作がライン化する」との警戒感が強い。
映像業界がAI時代の入り口に立つ中、本作の成否は大きな試金石となる。成功すればニッチなコンテンツに新たな機会をもたらす一方、失敗すれば“工業的な量産コンテンツ”への反発を一層強める可能性もある。今後は「難易度の高い映像はAIで処理し、主演は実写俳優が担う」といったハイブリッド型制作が主流となるとの見方も出ている。(翻訳・編集/RR)
