【函館発・安木レポート】千島列島の観光振興どころではないロシア、択捉島ではなく日本本土に向かうロシア人観光客
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安木 新一郎
函館大学商学部教授/択捉島水産会理事
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2026.3.12(木)
ロシアは択捉島を観光地として売りだそうとしていたが……(写真:TASS/アフロ)
(安木 新一郎:函館大学教授)
2026年3月1日から、サハリン州(樺太・千島)に居住登録のない利用者に対し、樺太・豊原(ユジノサハリンスク)~択捉島・別飛(レイドヴォ)間の航空運賃が値上げされた。サハリン州の住民は片道9600ルーブル(約2万円。1ルーブル=2円)だが、非居住者は片道1万9200ルーブル(4万円)と2倍になる。往復では3万8400ルーブルだ。
択捉島の現地メディア「赤い灯台」紙は2026年3月1日付の記事で、島への訪問のキャンセルがいくつか見られるようだが、観光業に与える影響は今後明らかになるだろうと報じている。
ロシア連邦政府は軍事基地のある択捉島中央の瀬石温泉周辺の開発を進めるため、温泉やエコツーリズムを目玉とする観光業の振興を進めてきた。軍を駐留させるためにも民間人の集落が必要だからだ。
択捉島はサケマスの産地だが、昨年は記録的不漁だった。ニシンやイワシなどへの魚種転換も推進しているが、ギドロストロイ社が経営する択捉島の加工場はサケマスが中心である。高金利の中、新たな設備投資が難しいということを考えれば、観光業は水産加工業に代わる新産業として重要な柱だったはずだ。
ところが、ロシア連邦政府は、観光振興を放棄してしまったように見える。地方から人を集めてウクライナ戦線に送り込むことが優先されているからだ。北方領土の人口はますます減ることになるだろう。
実際にウクライナ戦争に志願したらどのような特典があるのか、サハリン州政府ウェブサイトに掲載された記事を見てみよう。
