高知県にとって深刻な課題である「人口減少」。その要因の一つが若年層の県外への流出です。流出を防ぐためには魅力ある地元企業の存在が欠かせません。若者に来てもらうには企業に何が必要なのか。専門家にポイントを聞きました。
1月11日に高知市で行われた20歳を祝う式典。人生の節目を迎えた若者たちに就職について聞いてみました。
■若者
「住み慣れているし、大事な人がいっぱいいる高知県で働きたい」
「美容看護師目指していて、(就職先が)県内はちょっと少ないから県外で頑張りたい」「高知に戻りたいけど、それが無理だったら京都の大学通っているので、京都で働きたい」
県内または県出身の大学生・専門学校生約1500人を対象にした県の調査では、就職先について「県内を希望」が36.5%、「県外を希望」が29.7%、「県内・県外の両方を検討」が33.8%となり、県外よりも県内での就職を考える若い人が多いように見えます。
しかし、県の調査では県内の企業・事業所約1380社のうち、従業員の採用について「計画通りにできなかった」、または「応募がなかった」という回答が50%を超えていました。人材確保に悩む企業の実態から、若年層が県内で就職せず、県外に流出する現状が伺えます。
高知大学大学院・修士2年の柳原伊吹さんは、去年発足した一般社団法人Conextureの理事として、県内の学生と地元企業をつなぐ交流イベントやインターンシップを企画しています。柳原さんから見た人材確保における県内企業の課題とは―。
■柳原伊吹さん
「県内企業・中小企業って、これまでの歩み含めて良いものを持っているはずなのに、いろんな企業と横並びになってしか見えない現象を作り出しているなと思っていて、それが一つもったいない」
若者の雇用確保に向けて重要な企業独自の魅力づくり。そのために欠かせない要素があるといいます。
■柳原伊吹さん
「”子育てがしやすいですよ””ワークライフバランスが整ってますよ””定時で帰れますよ”みたいな話ではなくて、その企業の文化だったりとか、どういうことにここからチャレンジしていったりとか、どういう世界を描こうとしているのかを出せるかっていう話が、かなり重要だと思う」
去年、市の人口では北海道をのぞき初めて1万人を割った室戸市。地元の製造メーカー「ISS富士鍛」では若者の雇用を確保するため新たな動きに取り組んでいます。
■髙橋武嗣常務
「(室戸高校の)女子野球部の生徒さんがインターンシップで来ていただいたっていうのもあって、その時に良い印象を持っていただけたということでしたので、いっそ野球部作っちゃえばみたいな話になったので」
会社が着目したのは室戸高校の女子野球部。部員が卒業した後も室戸で働きながら野球ができる環境をつくろうと、会社で女子野球部を創設し2027年から始動する予定です。社会人チームができれば将来の就職も見据えて、室戸市の外から室戸高校に進学してくる人も期待できます。すでに卒業後の入団を考えている選手も―。
■徳島出身 川澤茉央さん
「興味あります。室戸ですし。徳島にはないので女子野球チームが。入りたいですね」
会社では、女性社員の増加に備えて女子更衣室を新たに作り、受け入れの準備を進めています。高校生のインターンシップをきっかけに始まった室戸での取り組み。このような若者とのコミュニケーションが企業の魅力をアップさせるヒントにつながると柳原さんはいいます。
■柳原さん
「ターゲットにする方々とか、入社してほしい方々の声をちゃんと丁寧に聞いて、そこに必要なものを作っていくとか、あとは自分の会社とかがこれまで歩んできた、持っている魅力とか価値ってなんだっけって改めて問いかけた上で、もう1回それを再提起するみたいなものが結構重要なんじゃないかと思っている」
人口減少が進む高知県にとって若者の流出を防ぐカギとなる地元企業の魅力づくり。都会とは違う、地方ならではの学生と企業のつながりが重要になりそうです。
