公開日時 2025年07月18日 10:33更新日時 2025年07月18日 10:33
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イラストを掲載した冊子を手にする鳥取大の佐々木友輔准教授
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共同通信社
鳥取県内にあった映画館やレンタルビデオ店、自主上映の取り組みなど、地域の映画文化を未来に残そうと、研究者とアーティストによるプロジェクト「見る場所を見る」が進む。かつては身近な場所だったが、資料が乏しく風化を懸念。イラストで紹介する「イラストレーション・ドキュメンタリー」という手法でまとめる。
打ちっ放しのコンクリートの壁に上映作品のポスター。鳥取市のイラストレーターClaraさんが手がけた映画館のイラストだ。2006年まで鳥取駅近くにあった「シネマスポット フェイドイン」。ピンクと黄色のしま模様からは当時のにぎわいが伝わる。
プロジェクトは映像作家で鳥取大の佐々木友輔准教授(39)が21年度に開始。県内の映画館数は全国的にも少ないが、全盛期には鳥取市内だけで9館があったという。建物やパンフレット、自主上映の取り組みなど映画文化をまとめようとしたが、古い映画館の資料は乏しく「自分で入手できたのはチラシ4枚ぐらい」。当時を知る人からの提供写真も著作権が不明で活用できなかった。
悩んだ佐々木さんはある時、Claraさんの展覧会に足を運ぶと映画館を描いた作品が印象に残った。映画館でアルバイトをし自主上映会も行った経験があったといい、プロジェクトに誘った。学生1人も加わり3人で進めた。
かつての映画館やレンタルビデオ店などを新聞や本、インターネット上の画像などで調べ、Claraさんによる手描きのイラストで「再現」。見る人の記憶が喚起されればと、特徴的な部分を強調した。展示会や冊子などで公表すると、新たな証言や資料が得られるという循環が生まれ、研究の進展につながった。
プロジェクトは最終の5年目となり、佐々木さんらは成果を書籍にまとめる。タイトルは「『見る場所』のメディア考古学」。イラスト約60点に加え、映画館の意匠や役割の変化に関する論考も掲載する。佐々木さんは「鳥取の事例を基に全国でも取り組みが広まってほしい」。刊行に向けて50万円を目標としたクラウドファンディングを8月12日まで実施。9月の出版を目指す。
(共同通信)
