インド証券取引委員会(SEBI)は、米自己勘定トレーディング会社ジェーン・ストリート・グループに対し、インド証券市場へのアクセスを一時的に禁止した。同社は昨年、インドで株式デリバティブ取引によって23億ドル(約3300億円)余りの純収益を上げており、今回の措置は同社にとって大きな打撃となる。
SEBIは、ジェーン・ストリートによるデリバティブ取引について、一部の市場関係者から操作の疑いが指摘されたことを受けて調査を進めていた。
SEBIのウェブサイトに掲載された命令文によると、ジェーン・ストリートによる不法な利益の総額が484億ルピー(約820億円)に上るとし、この全額を差し押さえる。
また、詳細な調査が行われている間、ジェーン・ストリート・グループ各社は「証券市場へのアクセスが制限され、さらに直接・間接を問わず、証券の売買やその他の取引が禁止される」という。
取引件数ベースで世界最大のデリバティブ市場であるインドには、近年、ケン・グリフィン氏が率いるシタデル・セキュリティーズやオプティバーなど、グローバルな高頻度取引(HFT)業者が参入している。
個人投資家主導のブームにより、オプションの取引高は2025年3月までの5年間で11倍に拡大。これにより、アルゴリズムを活用する国内外の業者が恩恵を享受し、SEBIの調査によると、24年3月までの1年間で得た粗利益は合計で70億ドルという。
オプション取引で損失を出した個人投資家は90%に上り、こうした状況下で、SEBIは昨年11月、個人投資家保護を目的にオプション取引に関する最低投資額の引き上げなど複数の制限措置を導入。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降に高まった熱狂ぶりは今年に入り沈静化している。

今回の命令では、同グループの単体または共同名義の法人口座について、SEBIの許可なしに引き出しが行われないよう、各銀行にも指示が出された。
ジェーン・ストリートはSEBIの判断に異議を表明。「世界中で事業を展開する地域のあらゆる規制を順守して事業運営を行うことにコミットしている」とし、インドの「規制当局とさらに協議していく」とコメントした。
サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は、「今回の措置は、デリバティブ市場で多額の利益を得る海外機関投資家の動きに対し、SEBIが監視を強化し、統制を強める意思を示したものかもしれない。特にその取引手法が、巧みなトレーディングと市場操作の境界を曖昧にする場合はなおさらだ」と述べた。
原題:Jane Street Curbed in India Markets After Alleged Illegal Gain、Jane Street Disputes Indian Regulator’s Interim Order Findings(抜粋)
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