広島県は、2024年、DXの推進と地域の課題解決に取り組むため、県内の14市町とスタートアップをマッチングする「The Meet 広島オープンアクセラレーター Gov-Tech-Challenge2024」を開催した。広島県内の自治体が抱える地域課題や、住民サービス・行政事務に関する課題を解決すべく、革新的なアイデアや技術を持ったスタートアップとの協業を支援している。本記事では、2024年度の成果発表会で語られた内容をお届けする。



広島県の挑戦――自治体とスタートアップの共創で地域課題を解決
広島県が描くGovTechの未来|「The Meet」オープンアクセラレーターとは?

スピーカー
広島県商工労働局
イノベーション推進チーム 地域産業デジタル化推進担当課長
崎本龍司
広島県では2018年からひろしまサンドボックスを推進し、共創を通じた実証実験の場を提供してきました。本事業では、地域が抱える課題とスタートアップ企業が持つ技術を結びつけ、協業による課題解決と地域実装を目指して取り組んでいます。
その成果の一例として、昨年度呉市で採択された事業承継のマッチングプラットフォームでは4市4町による共同調達へと発展しました。また、今年度採択されたプロジェクトの中には、すでに複数の市町で来年度の予算措置が講じられているものもあります。各市町においては、スタートアップの技術やサービスの導入効果を検証していただき、翌年度以降の本格導入につなげていただければと考えています。
今後も、「The Meet 広島オープンアクセラレーター」の取組を通じてスタートアップとの協業が進み、地域の発展が加速することに期待しています。
Crewwが語る共創の仕組みと成果|選考プロセスと支援体制の全貌

スピーカー
Creww株式会社
オープンイノベーション事業部シニアアカウントエグゼクティブ
田中健策
本プログラムの特徴は2つあり、1つは協業の可能性を最大化するために、段階的に選考したことです。世の中には書類選考の段階から実証実験に進むプロジェクトもありますが、検討期間をしっかり取っていることが特徴です。もう一つは、円滑に実証実験に移行できるように活動支援金があること。上限100万円の支援金を活用することで、最終選考から実証開始までスムーズに進められました。

今回、14の市町が提示した40件の課題に対して326件のエントリーが集まり、最終的には13の市町で34件の協業案が実証実験に進んでいます。スタートアップからのエントリーは一市町当たり平均23件あり、一次選考で9件、2次選考で4件、最終選考を通過して実証実験に進んだのが平均2件という結果になりました。

昨年度と比較して、参加市町の数は減ったものの最終選考まで進んだ件数は増えています。その要因として考えられるのは、この取り組みの周知が進んだことと、テーマ数が多かったことです。今回は採択されて実証実験に進んだ34のスタートアップから成果発表をしてもらいます。
【共創事例1】北広島町 × milab:防災備蓄管理システムBxLinkを活用した防災備蓄管理のDX化

スピーカー
milab(ミラボ)株式会社 代表取締役社長 狩野貴史
ミラボ株式会社は、2019年にベルグループで防災備蓄をテーマにした新規事業としてスタートし、2023年に子会社化しました。
弊社は、すべての人に必要な備蓄を届ける防災備蓄管理システム「BxLink(ビーリンク)」を提供しています。特徴は、100を超える自治体や企業の備蓄担当者、棚卸事業者の声を結集して開発していること、官民連携機能が充実していること、そしてお客様の要望に合わせて導入できるセミオーダーメイド型システムであることです。このサービスは防災備蓄関連業務として、備蓄計画から入出庫、在庫の期限管理、棚卸管理、集計・報告まで細かくカバーしています。
今回、北広島町とは「地域・企業との連携による循環型防災備蓄マネジメントの実現」を目指しました。北広島町には地域防災計画の立案と構想をリードしていただき、弊社は防災備蓄のプロフェッショナルとして、管理ノウハウやシステムの提供、棚卸等の業務支援をしております。
令和6年度までに、実態に合わない台帳や業務マニュアル・備蓄計画がない現状を把握し、基本的な業務の標準化が完了したので、今後は業務の高度化を目指し、地元企業の巻き込みや連携スキームの構築、データ連携などを実現させる予定です。

具体的にはシステムを導入し、ビーリンクを活用した備蓄管理業務も設計しています。設計したオペレーションに合わせて作成したマニュアルを用いて、職員にトレーニングを実施しました。市内14カ所の倉庫を棚卸し、倉庫を4グループに分けてシステムにデータを登録。備蓄品についても300を超える品目で登録し、命名ルールも決めました。
ここまでが2025年3月までに実施した内容で、4月以降は自治体の備蓄を小売や流通などの地元企業に一部預かっていただこうと考えています。自治体の抱える備蓄と企業が抱える備蓄をビーリンクで統合管理し、企業には備蓄品の賞味期限が切れないよう、平時は市民の皆様に販売してもらい、災害時にはその備蓄品を市民や避難者に活用いただくことを想定しています。
現時点での実証からの学びは、弊社のシステムを導入したもののさらなる効率化が必要だとわかったことです。北広島町は職員数が少なく業務を兼務している状況の上、備蓄品の種類も多様のため、登録作業の効率化として生成AIの活用などが必要ではないかと考えています。また、地元企業の巻き込みについても改善が必要で、ビーリンクのデータ連携機能やフロー拡大などの工夫を凝らすことで、より参加しやすい機能を提供したいと考えています。
<協業スタートアップ>
Milab(ミラボ)株式会社
代表:狩野貴史
設立:2023年
所在:東京都新宿区
事業内容:milabはBELLグループの社会課題解決型新規事業創出の取り組みの中から生まれました。防災に関する新しい価値を創造し、地域の安心と事業に関わる一人ひとりが輝く場となることを目指し、防災関連の新規事業を展開しています。
【共創事例2】広島市 × 日本XRセンター:VR防災体験で市民教育を革新

スピーカー
株式会社日本XRセンター プロジェクトマネージャー 春川司苑
日本XRセンターは日本とアメリカ、インドの三拠点で主にVRコンテンツを開発しています。実績としては、大手スーパーのベルクや日本航空、東京ドーム、清水建設など日本の大手上場企業と直接取引をしております。
今回は、企業向けに提供していた「震災VR」、地震発生時にお客様をどのように避難誘導すればいいのかを学べるVRコンテンツを評価いただき、広島市に採択されました。
広島市の課題は、広島市総合防災センターの老朽化により「消火体験設備」の更新が必要であることと、その更新には多額の費用がかかる見込みがあったことです。その解決策として、スクリーンを必要としないVRゴーグルを活用した費用対効果の高い消化体験コンテンツを提案しました。

実施内容は、消化器の使用方法を屋内で習得できるVRアプリを作成し、それを試験導入してもらって継続可否を検討していただきます。特徴は、VRゴーグルとコントローラーだけで簡単に操作できることと、フルCG映像ではなくゴーグルをつけた状態で自分の身の回りの映像が見えること、そして周囲にある実際の机から炎が上がるといったリアルな火災現場を体験できることです。
体験時間は5分ほどですが、消化に失敗してしまうと消化器の使い方を学ぶコンテンツに進むことができるため、防災センターを利用する皆様に広く活用いただいて、有事に備えてもらえたら嬉しいです。
<協業スタートアップ>
株式会社日本XRセンター
代表:小林大河
設立:2020年
所在:東京都中野区
事業内容:サンフランシスコ、日本、インドの3拠点で、最先端の成功事例を研究し、グローバル表彰受賞品質のVRアトラクションとVRトレーニングをリーズナブルに提供します。
【共創事例3】広島市 × ホーン:西国街道を舞台にした観光DX「西国街道クエスト」

スピーカー
株式会社ホーン 代表取締役 松本直樹
弊社は“ソロ領域特化型企業”で、社会的な役割を脱いで素になる時間、素で楽しむ時間が必要だと信じ、一人の時間を大事にしたい人向けのサービスを提供しています。その背景にあるのは、一人だからこそ地域のニッチな魅力とマッチするのではないか、一人だからこそ生じる余白を通じて、ゆるく地域のファンになる可能性があるのではないかという思いです。
具体的には、月間200万PVのひとり旅に特化したWebマガジンとインスタグラム「ソロトリマガジン」による魅力発信事業、ミッションクリア型周遊促進サービス「Trip Quest」による周遊促進事業、関係人口創出プログラムなどの地域活性化事業の3つを展開しています。

今回、広島市と連携し、弊社が提供するTripQuestを活用した“ミッションクリア型の周遊促進サービス”の展開を進めています。TripQuestは、地域にちりばめられた「ミッション」をクリアしていくことで、街の魅力を体験的に再発見できるサービスです。マップ上で気になるミッションを探し、実際に現地を訪れて達成するというシンプルな仕組みで、達成後にはSNSでのシェアや、地域産品のEC購入・ふるさと納税といった消費アクションにもつなげられることを目指しています。
クエストの種類もさまざまで、
「教会の銅像の右手にあるものは?」のように静かに街と向き合うもの
「女将さんに合言葉を伝えて秘密のメニューを食べる」といった人とのゆるやかなつながりを生むもの
「名産のジャガイモを収穫してポテチにする」など、地域体験や消費につながる有料コンテンツと、多様な関わり方を提案できる点が特徴です。
現在は、西国街道沿いの10市町と連携し、地域ごとに個性あるクエスト開発を進めています。単なる観光地巡りではなく、西国街道をきっかけに「隣町を知るきっかけ」「地域を深く知る体験」を通じて、周遊や再訪につながる導線をつくっていく計画です。
私たちが目指しているのは、観光の分散化と、地域ごとにファンとの関係を育てていくこと。賑わいを一点に集中させるのではなく、各地の小さな魅力が、それぞれの形で光るような観光のあり方を目指しています。
<協業スタートアップ>
株式会社ホーン
代表:松本直樹
設立:2018年
所在:東京都中央区
事業内容:豊かなひとり時間をカタチにするために、メディア「ソロトリマガジン」、回遊システム「TripQuest」、データビジネスなど多面的に取り組んでいます。
【共創事例4】庄原市 × Thee moment:庄原市の多機能デジタル観光マップで誘客強化

スピーカー
株式会社Thee moment(ジ モーメント) 代表取締役 志気公介
弊社は福岡市のシステム・デザイン会社で、地域や企業の課題、社会問題をクリエイティブとテクノロジーの力で解決しています。主な取引先は自治体や福岡県観光連盟、まちづくり団体で複数の実績があります。今回は庄原市との実証実験にあたり、弊社の多機能デジタルマッププラットフォーム「UNLOCKS(アンロックス)」をご利用いただきました。
UNLOCKSは管理画面から簡単にマップベースのメディアを作れるサービスで、いくつかの特徴があります。たとえば、管理画面から多言語デジタルマップを簡単に作って公開できること、デジタルマップからマーケティングデータを収集してデータ解析ができること、スタンプラリーやポイント、デジタルガチャ、ロゲイニングなど多様なイベントを実施できることなどがあります。
他にも、長期運用できる業界最低コスト&多機能を提供しており、PV数やユーザー数、ユーザーの端末の言語、人気スポット解析のほか、「タビマエ・タビナカ・タビアト解析」として、観光客がどこから来たのか、滞在中どこからアクセスをしているのか、実際どこに行ったのかなどの解析が可能。活用する観光客からしても“タビマエ”から旅の指標として使える便利なツールとして、地域にもお店にも観光客にも便利な多機能マップを目指して開発しています。

今回庄原市には、観光客を呼び込むための観光資源が多くあっても、観光分野の人手不足によって認知や誘客が不十分という課題がありました。そこで庄原市のデジタル観光マップを360スポット・3コース・6言語で開発し公開しました。デジタルマップが目指すのは、観光客とお店・市民、自治体に三方よしの観光情報システムにすること。
観光客は自分のスマホで観光地を確認できますし、多言語対応もしているので訪日外国人観光客も使えます。お店は自身で営業時間の変更などができますし、インバウンドを含めた観光客への認知拡大にもつながります。市民の皆さんも地元の魅力を再確認でき、誰かに町をおすすめする際に役立つでしょう。運営する自治体にとっても業界最低コストでリアルタイムの情報発信ができ、アンケートやデータ収集によって次の施策に生かせます。
今回はそれらに加えて特別なカスタマイズをしており、ある場所に行くと広島弁で音声を聞けるコンテンツを搭載しました。今後は、地域のバスの時刻表との連動なども想定しています。目指すのは、単に観光マップを作って公開するだけでなく、持続可能な観光情報システムを構築し、庄原市に関わるすべての人が幸せになること。そんなロードマップで進めていきたいと考えています。
<協業スタートアップ>
株式会社Thee moment(ジ モーメント)
代表:志気公介
設立:2013年
所在:福岡県福岡市
事業内容:多機能デジタルマッププラットホーム「UNLOCKS」を開発・提供しています。
【共創事例5】尾道市 × LOOVIC:音声ナビガイドの導入による地域と観光の新しい可能性

スピーカー
LOOVIC株式会社 代表取締役 山中享
私たちは、自分たちの声と知識、経験で作る、土着性を活かした“SNS的”発信ができる誰もがガイド役になることができる『ナビガイド』というアプリを開発している会社です。これにより実現するのは、目的地や観光地まで付き添いたいけれど付き添えないと感じる自治体さんおよび、ガイド役になりたい人が主人公のまったく新しいアプリです。移動しながらつぶやくと、自分の存在が、自分の存在を、位置情報に紐づき、“声”という形でバーチャルになったコエをとして、誰かに付添ってあげられるようなコエとして届けることができます。
これは、結果的に、その音声アプリを使う側からすると、一緒に付添ってくれるような感覚になります。従来の地図アプリやナビサービスの多くはスマホ画面を見ながら音声スポットを探すことが多いですが、この技術は、LOOVICは画面を見る機会を減らしながら目的地に到着できるような仕組みを設けています。さらに現場で収録し、さっとシェアすることが出来るこの技術は特許を取得しており、関西・大阪万博には、NICT総務省推薦企業として2025年9月に出場を予定しています。
尾道市には、情報発信手段に対する課題がありました。観光客だけでなく地域住民にも広く情報を届けられる仕組みを求めていました。そこでその両方を解決するサービスを開発しました。
これは、どこかから誰かを呼び寄せて対応してもらうのではなく、地域住民の寄り道や発見、人の温かさなど、普段から知っている地域の知識や経験が集まった、情報共有プラットフォームです。
有名観光地だけでなく、私たちは自分たちが暮らしている地域の情報をたくさん持っています。目の前にある日常が他の人が知らない魅力だと分かれば、つい自慢したくなるはずです。その個性はコンテンツになるため、それをうまく発信するためにSNS的な発想を盛り込みました。

たとえば、尾道市のホテルに宿泊している観光客から「おすすめのサイクリングコースを教えて欲しい」と言われ、紙のチラシを渡して参考にしてもらうことはよくあるケースです。でもこの技術を活用すれば、ホテルのオーナーは付き添えないけれど、音声でナビゲーションすることが可能になります。ここで、このホテルのオーナーが。という部分が重要で、このような肉声を取得しておくと、それは、観光客にとっても、あのオーナーがつくってくれた。といった愛着なども大きな安心材料につながります。
地図を見ながらの移動は素晴らしい景色を見落としてしまうことにもなりますし、何より目的地に到着するだけで精いっぱいになっていたら勿体ないです。周りを見渡す歩き方を楽しんでいただくと、結果的にウェルビーイングになるといった、そんな世界観を実現させたいと考えています。
地元の人は地域に対してさまざまな思い入れがあります。「この町の良いところを教えて」と聞かれると「ないよ」と答えがちですが、一緒に歩いて訪問者が何かを見つけると「実は昔はこういう建物だったんだよ」といった会話が次々と生まれますよね。それこそが訪問者にとって魅力的なコンテンツになるんです。
現在は準備を進めている段階で、2025年前半から実証を開始してデータ分析を行い、2026年の本格導入に向けて取り組んでいます。
<協業スタートアップ>
LOOVIC株式会社
代表:山中享
設立:2021年
所在:神奈川県横浜市
事業内容:位置属性型音声SNS移動支援技術を活用した、じぶんがつくるコエのナビ&ガイド「LOOVIC」を法人向け・個人向けに提供しています(当社特許技術)。
【共創事例6】竹原市・三原市・三次市・世羅町×朝日織物:ガチャ×データで観光客と住民が周遊 地元企業が活性化する仕組みづくり

スピーカー
朝日織物株式会社 取締役 門脇規博
弊社は戦後すぐに創業した歴史ある会社で、IT部門をスタートアップとして分社化する準備を進めています。IT部門で展開しているのは、カプセルトイ(ガチャガチャ)を使ってクーポン券などのインセンティブを消費者に配布する事業です。単にクーポン券を配布するだけでなく、誰がどこでどんな消費をしたのかがわかり、実店舗やECサイトに誘引するシステムを開発しました。
事業領域としてはリアルなカプセルトイとデジタルのiOSアプリの二つがあり、前者は主に観光客を指定した地点へ誘導すること、後者は地元住民が閑散期の観光地に訪れるような広範囲の周遊を実現させることで、地域全体を遊びの場にするリアルとネットのサービスを展開しようとしています。

協業の背景にあった課題は、観光客は観光地から外に出ない特性があり、地元住民はわざわざ観光地で積極的な消費をしないこと。そこで、クーポン券などのインセンティブを消費者に配布することで人の行動を変容させるべく、各市町には地元企業とのマッチングと住民への広報をお願いし、私たちはクーポンの管理システムやWebシステムを開発しました。目指すのは、観光客は観光地周辺に周遊する動きを創出し、地元住民は閑散期の観光地を利用した賑わいを創出することです。
ビジネスモデルとして提案したのは、ご支援いただいた資金をクーポン券の原資として活用し、地元商店に還元させる仕組みです。ただ、不正利用の懸念があったため、偽造防止のクーポン券や換金確認用のWebサイトも作りました。
このクーポン券を活用することで、クーポン券の利用実績やクーポン券を活用した際の平均購入額、男女比率や平均年齢などのデータを得られるため、次回のクーポン券配布やマーケティング活動などに活かすことが可能です。
<協業>
朝日織物株式会社
代表:門脇敏勝
設立:1953年
所在:兵庫県多可郡
事業内容:繊維製品の製造加工および販売、実証実験で得た知見を元に「TeBOX」(https://te-box.net/)を構築中。
【実証事例7】竹原市 × GATARI:空間が語り出す、新しいデジタル音声体験「没入感のある観光コンテンツ創出」

スピーカー
株式会社GATARI ディレクター 菅原悠貴
私たちは、Mixed Realityプラットフォーム「Auris(オーリス)」を開発・運営するスタートアップ企業です。「Auris」は現実空間に対応したデジタルツイン上に音声データを配置、再生でき、没入感ある体験を可能にします。体験者がスマホアプリ「Auris」を起動した状態であらかじめ設定された範囲を歩くと、ナレーションや効果音が聞こえたり、行動にあったストーリーが展開されるなど、まるで物語の世界に入りこんだかのような体験ができます。聴覚にアプローチする体験のためVRゴーグルなどは不要で、スマートフォンとイヤホンだけで新しい没入感を得られるのが特徴です。
今回竹原市とは、「没入感のある観光コンテンツの創出により、市内回遊性の向上、観光消費の拡大、および地域の事業活性化」を目指して実証を進めてきました。
具体的には「Auris」を活用して、歩きながら映画の中に入っていくようなコンテンツ体験を制作し、町並み保存地区にある旧松阪家住宅と酒蔵交流館で、イマーシブガイド®︎「音で竹原の歴史を感じる 旧松阪家住宅・酒蔵交流館めぐり」を開催。さらに、竹原観光まちづくり機構と株式会社Sallyが企画する偉人登場型周遊マーダーミステリー『バイ・タケハラ〜幽能探偵事件簿〜』とのコラボも開始しました。

イマーシブガイド®︎のナビゲーターには地元ケーブルテレビのアナウンサーを起用。地域の魅力を地元メディアとともに発信することで、産業や経済の活性化にもつなげています。今後は、施設内でのイマーシブガイド®︎だけでなく、ホテルとの宿泊パッケージも予定しており、町並み保存地区全域の回遊性をより高めたいと考えています。
この取り組みは2024年12月中旬からスタートさせたため、現在データ収集の最中ではありますが、現在までに体験された方の9割から「大変満足した」、残りの1割から「満足した」というアンケート結果を頂けている状況です。新聞やメディアへの露出も多く、ありがたいことに注目を集めています。今後もMixed Reality技術を通じて文化財の魅力を次世代に発信することで地域活性に貢献していきます。
<協業スタートアップ>
株式会社GATARI
代表:竹下俊一
設立:2016年
所在:東京都千代田区
事業内容:XRサービスの企画開発・運営。現実に没入する未体験の感覚として、耳から始めるMixed Realityプラットフォーム「Auris(オーリス)」を提供しています。


