
開業110周年を祝うヘッドマークを掲出して走る北陸鉄道石川線の電車=白山市鶴来本町で
金沢市の野町駅と白山市の鶴来駅を結ぶ北陸鉄道石川線が22日、開業から110年の節目を迎えた。前身の石川電気鉄道が、新野々市(現在の新西金沢)−鶴来(11・7キロ)で開業したのが始まりで、合併による延伸や一部区間の廃止を経て、現在は13・8キロで通勤、通学など地域の利用者の足として活躍している。(泉竜太郎)
1915年の開業時は線路幅が狭く、当初の計画では現在より東寄りの山麓を走る予定だったという。翌年1月、野町−新野々市で別会社の金野(きんや)軌道が馬が客車をけん引する馬車鉄道を開業し、同年中に西金沢(後の白菊町)まで延伸した。
両社で線路幅が違い、新野々市での乗り換えが不便なため、21年と22年にそれぞれ現在と同じ線路幅に改め電化し、直通運転を開始した。27年に金名鉄道が鶴来−神社前(後の加賀一の宮)を開業させ、43年には戦時統合で各社が合併し北陸鉄道石川線になった。72年に野町−白菊町が、2009年には鶴来−加賀一の宮が廃止され現在の営業路線となった。
1982年に同鉄道に入社した河崎浩二鉄道部長(62)は石川線で駅員、車掌と運転士を経験。その頃の先輩職員は「利用者と親しく、線路沿いのどの家のカキが甘くておいしいなど、地元の情報通で驚いた」と話す。
2018年2月の豪雪では「除雪しても雪が降り続き、復旧に苦労した。線路は確保できてもホーム上に1メートルほど積もるなど、浅野川線は運休しなかったが、石川線は2日間全面運休した」ことが忘れられないという。
「幼稚園のころ、父と白山比咩神社へ初詣に行くのに乗ったのが石川線の一番古い記憶」と話すのは、鉄道友の会北陸支部長の西脇恵さん(86)=金沢市。子どものころは白菊町や野町の駅で電車を見て過ごし、金沢美術工芸大に入学すると鉄道写真を始めた。
鶴来駅などに撮影に通ううち、駅員とも顔見知りになり「ようこそ。どうぞ、どうぞ」と敷地内に招き入れられるように。「あれはうれしかったなぁ」と笑顔を見せる。
赤字が続く石川線では、今年4月から沿線自治体が計画に基づき鉄道施設の維持管理費を負担する「みなし上下分離」を導入するなど、存続への努力が続く。河崎部長は「本年度中のタッチ決済導入など、利用者に愛される鉄道線を目指している」と力を込める。
また「数年後に入る予定の新型車両は、入社以来初めての新造車で期待している」と話し、西脇さんも「次に入る電車は必ず見たい」と、石川線の明るい話題に目を輝かせた。
