東西に長い高知県にはその土地土地で育まれた自然や文化、特産品があります。そしてそれぞれにその風土を感じる“香り”というのがあります。
特集は「香りで地域おこしを」と奮闘する男性の思いに迫ります。
仁淀川が流れる日高村本村。
清流を見下ろすこの場所にエッセンシャルオイル(精油)の蒸留工房・和悠香LABOがあります。
作業していたのは代表の岡村征治さん。ここで精油が作られています。
蒸されて出た蒸気を冷やすと液化され、このガラスの装置に蒸留水となって落ちてくる仕組みです。蒸留水が出始めてから精油を取り出すまでに1時間半蒸さなければいけません。
この日は和ハッカを蒸留していました。約9キロの葉を使いましたが、精油となる上澄みの部分を取り出してみると。
9キロの葉からとれる精油はわずか10ミリリットルほど。気の遠くなる作業です。
「精油」は植物から100%天然の香り成分を抽出したもの。岡村さんの精油は果物を搾ったあとの果皮や規格外の作物などを有効活用しています。使いたくてもなかなか高知県内にないハーブなどは工房の敷地内で栽培もしています。
こだわっているのは新たに二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルで持続可能なものづくり。燃料になる薪もそのひとつです。
燃料になるのは地元でいらなくなった間伐材や建築資材。蒸留するときに使う水は錦山から水を引いてきて使用。
すべて高知のもので賄っています。
京都出身の岡村さん。もともとは通信関係の仕事をしていて、約4年間高知で発電や農業のIoT化に尽力してきました。その後、自身のセカンドライフを考える中で以前から興味のあった香りの世界に飛び込みました。
そうして作り上げた高知由来の精油は土佐清水のシークワーサーや東洋町の100年ゆずなど柑橘類のほかにも、嶺北の山でとれるクロモジなどの木も素材になりこれまでに84種類。今年中には100に達しそうだということです。
「和悠香」と名付けたこの精油。
素材の希少性によって2300円から1万1000円と、販売価格には幅があります。
いま岡村さんが目指しているのは、県内全市町村それぞれの素材を使って地域の香りを作ること。現在15の市町村分は完成しています。
さらに、この日は新しい取り組みを始めるため工房に意外な来客が。
パリパラリンピック車いすラグビー金メダリストの池透暢選手。高知を代表するアスリート、池選手のイメージを元に香りを調合して商品化しようという企画です。
高知のために地域に誇りを持てる活動をしたいという共通認識をもつ両者の思いが重なりました。
試合と試合の間にリカバリーできる香り、長い飛行機移動の時にリラックスできる香りなど様々なシーンを想定して好きな香りを選んでいきます。気になるものを次々に香って、池選手だいぶお悩みの様子です。
これだけ悩めるというのは種類の多さがゆえ。それはいかに高知が豊かな素材に恵まれているかを表しています。
高知を香りの聖地に。
地域の香りを表現し高知を盛り上げる精油「和悠香」は、ウェブサイトのほか県内各地の道の駅やこうち旅広場などで販売しています。
