撮影:後藤勝

 
 FC東京は6月18日、味の素スタジアムで天皇杯 JFA 第105回全日本サッカー選手権大会2回戦に臨み、石川県代表のツエーゲン金沢と対戦する。

 金沢はJ3第16節終了時点で13位と、J2昇格プレーオフ圏に届いていない。6月1日に伊藤彰前監督との契約を解除、辻田真輝強化部長が新監督に就任したばかりで、強い危機感を抱いている状態は、東京にとっては厄介だ。

 松橋力蔵監督は金沢の印象を「非常に手堅い」と述べた。

「手堅くもありながら、前にはJ1で活躍したような選手(パトリック)もいますし、侮れない。ちょっとでも隙を与えればやっぱりやられるだろう、そういう個人の力を持ってる選手もいるので、そこはしっかり警戒しながら、彼らのウイークを衝いていければ」

 金沢のフォーメーションは3-4-2-1。パトリックはこの頂点に入るが、大木武監督体制となってからのロアッソ熊本に在籍していた土信田悠生もヘディングが強く得点力のあるフォワード。今シーズンはここまでで4得点とキャリアハイを更新中で、後半2トップにするなど変化をつけてきた状態で土信田に空中戦を挑まれると脅威になる。パトリックも6得点。6月14日のJ3第16節栃木シティ戦では土信田が先発、パトリックが途中出場だったので、この天皇杯ではパトリックが先発に回る可能性もある。いずれにしろ、J3で中位だからと侮れる相手でないことは確かだ。「相手は5枚でしっかり固めてくる(ミドルゾーンの辺りで5-2-3気味、引いてくると5-4-1気味)というチームでもありますし、そのトランジションはすごく大きなキーワードになると思います」と、松橋監督。ボールを持たされた時の警戒、リスク管理が重要になってきそうだ。

 相対的には金沢がカウンターを狙う構図になるのかもしれないが、栃木シティ戦の1点目はゴールキーパーからボールを動かし、左サイドの外を使い、2本のグラウンダーの長いパスで最後のクロスまで持ち込み相手のオウンゴールを誘発したもの。伊藤前監督時代の蓄積が息づいている可能性もあり、東京としては金沢の出方を決めつけすぎず、様々な攻撃がありうるという想定で臨みたいところだ。

 一方、東京は6月14日のJ1第20節セレッソ大阪戦で見せた戦い方がベース。5連戦の2戦目とあってフレッシュなメンバーになりそうだが、しかしそうした顔ぶれだとしても明日の30度近い試合開始時点の暑熱は堪えるはず。だが急激に気温が上昇してきたなかでも、高い強度で闘う姿勢を変えるつもりはないようだ。

「お互い厳しいなか(暑熱下)での戦いだと思いますし、ひとつ、ふたつ、三つと(寄せを)重ねていくことによって、相手の足を止めることは出来るかな、と」

 セレッソ戦で得たものに関しては、明日の金沢戦に出場予定のメンバーにも共有済みだという。

「フィードバックに関しては、まずは自分たちの攻撃。見る場所に関してはしっかりと共有してやれている部分もありますし、どう攻撃に繋げるかというトランジションのところも非常にすばらしいところがたくさんあったので、あとはこれを決めきれれば、というところはフィードバックは出来ています。それと同時に、前節はリスクの管理をする人間はたくさんいながらも、1対1の局面での個の対応の甘さも出てしまった。ゲームの流れのなかでゲームをどう読むか、この時間帯はどういう対応をするか、当たり前のことですけれども、そのジャッジがしっかり出来るようになっていくことが大事だと思うので、そういうところはしっかりと詰めながらやらなくてはいけないと思っています」

 良い奪い方をして良い攻撃をしたいという意図から来る守備とすばやい切り替えに関しては、取り組みの成果がセレッソ戦でもある程度見てとれた。ただそのあと、相手を崩してチャンスを創出のところに関してはまだまだ向上の余地がある。松橋監督は次のように続けた。

「自分たちの保持に対して相手がどう対応してくるかはある程度想定出来る部分でもあるので、そこで出来るどこのスペースを見て、誰がそういうところに入っていくのか、どういうタイミングでそのボールを受けに行くのか。必ずズレが生じるので、そのズレをうまく使っていくところが、攻撃力を上げるためにもすごく大事なポイントだとは思っています」

 オープンな状態になっていたこともあるが、同点ゴールの場面を含め、セレッソ戦の終盤はビッグチャンスが頻発した。この決定力を上げていくことももちろん課題になる。

「全部が入っていたら4点、5点、6点。それは100パーセントの確率になるので難しいかもしれないですけど、でも得点の確率が非常に高いシーンだったと思うんですよね。エヴェ(エヴェルトン ガウディーノ)のシュートはちょっと距離がありましたけど、ヤンのあれはもうほぼほぼゴール、8割、9割決まってもおかしくないというところが、相手の執念に抑えられてしまったというところもあると思いますし……シュートの精度によるものなのか、そこはちょっとわかりませんけれども、でもそこを決めきるということはやっぱり大事です」

 11日開催分の2回戦でも上位カテゴリーのクラブが敗れるケースが多かったが、自分たちの拙さや慢心は敗戦に繋がる要素。松橋監督は「大工のけがで一番多いのは基礎づくりのところ」と言い、あらためてカップ戦初戦の難しさを念頭に、気を引き締めた。

「基礎を固めていく、その作業の時に足を掬われると思います。レベルがどうのこうのというよりも、相手は十分戦う力を持っていると思いますし、こっちが何か計算高くやろうと思えば、そこで掬われてしまうと思うので。しっかりやらなければいけないと思います」

 上記のフォワード陣以外にも金沢には西谷兄弟、RB大宮アルディージャから移籍加入の大澤朋也、昨年加入の熊谷アンドリュー、FC岐阜からベガルタ仙台に移籍したキャリアを持つ長倉颯など、上位カテゴリー経験者が揃う。5連戦のうち4試合目と5試合目に待つ順位が近い横浜F・マリノスおよび横浜FCとの対戦に力点を置きたい状況ではあるが、最後はACL2に繋がる天皇杯の金沢戦も勝利がマスト。アジアへの切符の可能性を残すためにも負けられない一戦となる。

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