2025年6月11日 午前7時30分

 【論説】福井空港(坂井市)の利活用に向け、県が再整備構想案をまとめた。エプロン(駐機場)の拡充や空港ビル建て替えによる防災拠点の機能強化と観光・ビジネス目的の需要拡大が柱となる。北陸新幹線が県内に延伸し、定期便のない空港の価値はより実感されにくくなっている。「地域に開かれ、親しまれる」将来像の実現に知恵を絞るべきだ。

 福井空港は現在、ターミナルビル東側の約8600平方メートルがエプロンとなっている。小型機なら最大11機が駐機できるが、大型化している防災ヘリコプターの場合は最大6機になる。昨年1月の能登半島地震では重要な拠点となり、被災地の支援や情報収集に当たる全国各地の警察、消防、自衛隊、報道機関などのヘリが利用し、エプロンが埋まる時もあったという。

 再整備構想案は、築59年のビルを現在の西側に建て替え、跡地などを利用しエプロンを1・5倍に拡張し防災ヘリ10機分を確保する。新たなビルは、災害派遣医療チーム(DMAT)の十分な活動エリアを用意し、指揮本部設置などに使えるスペースも備える。

 平時の観光・ビジネス目的の需要拡大は、空港機能の維持に不可欠だ。小型ジェット機などの定期的な利用が進まなければ、現在は国が遠隔で行っている管制業務が廃止される可能性もあるからだ。県が自前で管制官や機器を確保し独自に管制業務を担う場合、初期の設備投資に数億円、その後の運用に最低でも年間5千万円かかる試算もある。

 運航費補助もあり、2024年度の小型ジェット機の着陸回数は18回で、前年度比2・5倍となった。将来的には補助金がなくても持続的に利用される空港を目指す必要がある。構想では富裕層やチャーター機のニーズに対応できる機能を重視。エプロン拡充を生かしたハイヤー横付けによる乗り継ぎ、プライバシーを守る待合室やビジター格納庫の確保、空港外の観光地に近い場所でのヘリ離着陸場整備などを掲げた。

 防災拠点の機能強化にせよ、観光・ビジネス目的の需要拡大にせよ、地元の理解がなければ進まない。再整備構想案の策定過程で、地元住民を交えたワークショップが行われ、「地域に親しまれる空港」という視点の重要性が示された。

 ハード整備とともに、イベントなどを通して県民が足を運ぶ機会を増やし“距離”を縮める必要がある。周辺のまちづくりの観点から民間で利活用策をさらに練ってもらえば、「県民の財産」として存続させる意義の理解も深まるはずだ。

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