米雇用統計、4月予想上回る17.7万人増 失業率4.2%で横ばい

米労働省が2日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、ロイター調査によるエコノミスト予想の13万人増を上回った。ニューヨーク市内の雇用フェアで2021年撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly/File Photo)

[ワシントン 2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、ロイター調査によるエコノミスト予想の13万人増を上回った。

トランプ大統領はこの日も自身のソーシャルメディアに投稿し、「米連邦準備理事会(FRB)は金利を引き下げるべきだ!」と改めて求めた。ただ、不確実性が高まる中でも労働市場が耐性を見せているため、FRBは来週開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を4.25%─4.50%に維持する見通しだ。

雇用者数の伸びは4月に小幅鈍化した。雇用主は労働者の確保を続けているが、トランプ大統領の保護主義的な貿易政策が経済の不確実性を高めているため、労働市場の見通しはますます暗くなっている。 雇用者数増の予想レンジは2万5000人ー19万5000人だった。

3月は22万8000人増から18万5000人増に下方修正された。2月の雇用者数も1万5000人下方修正され、10万2000人となった。

失業率は4.2%で前月と変わらず。予想も4.2%だった。第1・四半期の国内総生産(GDP)が縮小したことを受けて浮上した景気後退懸念が和らいだ。しかし、トランプ大統領の二転三転する関税政策の影響が労働市場に現れるには時期尚早だとみられる。

フィッチ・レーティングスの米国経済調査責任者、オル・ソノラ氏は「今回の雇用統計が示しているのは耐性であり、決して景気後退ではない」としながらも、「経済の足かせとなる可能性が高い貿易政策を背景に、今後の期待は抑えるべきだろう」と警戒感を示した。

失業率の算出元となる家計調査によると、雇用は43万6000人増加し、労働力に加わった51万8000人の大部分を吸収した。経済的な理由からパートタイムで働く人は減少した。

ヘルスケア部門が引き続き雇用増加の大部分を占めた。病院と外来サービス全体で5万1000人の雇用が増加した。運輸・倉庫業の雇用は2万9000人増加。その多くは倉庫保管、宅配便・メッセンジャー、航空輸送だった。

金融部門の雇用者数は1万4000人、社会扶助部門の雇用者数は8000人、政府部門の雇用者数は全体で1万人増加した。

製造業の雇用者数は、自動車組み立て工場やコンピューター・電子製品工場での雇用減少により1000人減少した。工場における雇用の減少は今後加速する見込みとなっている。

A bar chart that ranks the number of jobs added or lost in the most recent month by sector.A bar chart that ranks the number of jobs added or lost in the most recent month by sector.

一方、連邦政府の雇用者数は9000人減少した。1月以降では2万6000人減少している。これは、実業家イーロン・マスク氏が率いる政府効率化局(DOGE)が主導する前例のない政府規模大幅縮小策が影響したとみられる。

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政府機関における大量解雇の報道にもかかわらず、連邦政府職員の給与総額の減少は比較的緩やかとなった。これは、裁判所の判断で復職を認められ、その後有給休暇を取得した職員は雇用されているとみなされるためだ。エコノミストは、多くの職員の退職金がなくなる9月以降、連邦政府職員の給与総額が大幅に減少すると予想している。

労働市場は今のところ持ちこたえている。4月の平均労働時間は34.3時間だった。3月は34.2時間だった。エコノミストは、企業が大量解雇に踏み切る前に、まず労働時間を削減すると予想している。

時間当たり平均賃金は前月比0.2%上昇した。3月は0.3%上昇だった。前年比では3.8%上昇と、前月から伸びは横ばいとなり、当面は消費支出と経済を支えるのに十分な水準となった。

A bar chart that tracks the average hourly earnings over the past 13 months.A bar chart that tracks the average hourly earnings over the past 13 months.

こうした中、長期にわたる失業状態を経験する人は増えている。失業期間の中央値は3月の9.8週間から4月は10.4週間に長期化し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以降で最長の水準に達した。複数の仕事を持つ労働者の数も増加した。

パンデミック以降、労働者の確保に苦労した雇用主が解雇に消極的だったことが労働市場の耐性の主因となっていることから、一部のエコノミストは、雇用報告はもはや経済の基盤状況を示す良い先行指標ではないと指摘。景況感が悪化し、 企業が2025年の業績予想を撤回したり、第2・四半期の利益見通しを低く設定したりしていることを、労働市場の急激な減速が迫っている兆候だと指摘している。

サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「経済にとって最もあり得る軌道は、夏が最悪の時期になることだ。その頃には4月に課された関税の影響が完全に出ている可能性が高い」と述べた。

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