希代のポピュリストと自由原理主義者のチームは斜陽の超大国を救えるか。
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米大統領選でトランプの「応援団長」を務めた大富豪イーロン・マスクが、政府効率化省(DOGE)を率いてアメリカの政治・社会を混乱させている。その強引な手法への反発が強まったことでトランプ側が「足かせ」と感じるようになり、数カ月以内に退任するとも報じられた(4月初頭)。だが仮にマスクが政権中枢を去ったとしても、シリコンバレーで巨富を築いた「テクノ・リバタリアン」が第2次トランプ政権で大きな影響力をもつ構図は変わらないだろう。
人類の「自由」を宇宙へ
リバタリアニズムは「自由」を至上のものとする原理主義で、テクノ・リバタリアンはAI(人工知能)、ブロックチェーン、生命科学などのテクノロジーの指数関数的な進歩をさらに「加速」させることで、人類すなわち自分たちの「自由」の領域を全宇宙にまで拡大しようとしている。
イーロン・マスクの奇矯な言動を理解する鍵は、「救世主」思想だろう。どれほど技術が進歩しても、いまだに宇宙に知的生命体の痕跡すら見つけることができない。だとしたら、生命への進化はある種の奇跡で、この広大な宇宙に「意識」をもつ生物は人類しかいないのかもしれない。
人類が絶滅すれば、宇宙に「意味」を与える者が存在しなくなるのだから、すべてが無意味になってしまう。マスクはこのSF的な未来を心の底から恐怖しており、意識をもつ生命を存続させるために人類を火星に移住させたり、脳のデータをコンピューターにアップロードさせたりしようとしている。
あらゆる救世主思想に共通するのは、自分は絶対的な正義だとの意識である。なにしろ「人類を滅亡から救おう」としているのだ。当然、それを阻もうとする者は絶対的な悪になる。
マスクはもともと政治にさしたる関心はなく、リベラルな民主党支持者でオバマのファ…
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週刊エコノミスト
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