何かと篭りがちな時間が続くと、だんだんホームシックのような気分に。不慣れな環境に立たされるという意味では、これは新生活と言えるかも。わくわくする反面、心細い日々のはじまりもある。映画を処方箋として日々の暮らしを楽しみませんか。それは、映画を通じて自分の“ホームタウン”を新たに作ること。インテリアとして学ぶべきは、カラー? アイテム?観賞の視点が変わると一度見たことのある映画でも、また新しい魅力に気づくことができるはず。「こんな家に住みたい、暮らしをしたい」映画から自分らしい部屋づくりのヒントを学ぼう。
MOVIE:『お早よう』

東京郊外の住宅地。 幼い兄弟の目を通して、 大人たちのどこか滑稽な世界が軽快に描かれる。
日本/ 1959年
監督:小津安二郎
出演:佐田啓二、久我美子、笠智衆
小津監督はとにかく赤がお気に入りだったらしい。『お早よう』で主人公一家が住む平家建ての一軒家でも、台所のホーロー鍋から、茶碗やハタキ、ワインのボトルまで、あらゆる場所に赤い色が顔を覗かせる。ただし幼い兄弟が抱えているヤカンは、赤ではなく淡い緑色。そのコントラストがさらに画面を輝かせる。 彼らの近所に住む若夫婦の部屋はもっと現代風。アントニオーニ『欲望』の真っ赤なポスターや、赤い洋風ランプなど、同じ差し色でも使い方はずいぶん違う。
onKuL vol.15(2021年4月売号)より。
illustration : Nobuko Uemura
text : Rie Tsukinaga
edit&text : Naoki Kuroda
re-edit : Saki Katayama

