バイデン前米大統領が立法化に尽力した高速インターネット普及計画を巡り、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」が参入する可能性が出てきた。
共和党内でスターリンク参入へ門戸を開き、光ファイバーと競合できるよう求める動きが出ており、実現すればマスク氏に多額の資金が流れる可能性がある。
2021年に成立した超党派のインフラ投資法では、全米での高速ネット接続に向けて420億ドル(6兆2900億円)を投じることが盛り込まれた。バイデン氏は光ファイバー回線の敷設による実現を目指したが、この決定はマスク氏をいらだたせた。
スターリンクの方が、より低いコストで迅速に農村地域に高速ネットを普及させることができるというのがマスク氏の立場だ。光ファイバーを巡る意見の対立が両氏の亀裂を深める一因となり、マスク氏は2024年の大統領選で、巨額の資金を投じてドナルド・トランプ氏の返り咲きを支援することを選んだ。

ウクライナの戦場で利用されているスターリンクの受信端末
Photographer: Scott Peterson/Getty Images
スターリンクは自然災害や戦争などで壊滅的な被害を受けた地域のネット接続手段として注目されるようになった。ピザの箱ほどの大きさの数千の端末が、洪水に見舞われたノースカロライナ州西部の丘陵地帯やウクライナの戦場、山火事に見舞われたロサンゼルス近郊でネットサービスを提供している。
光ファイバーは高速通信が可能で耐久性にも優れているが、大規模な敷設には何年も要する。光ファイバーに批判的な向きは、衛星通信や第5世代(5G)ワイヤレス通信網は、地上インフラが少なくて済み、遅延も少ないため、遠隔地へのウェブ普及に一段と適していると述べている。
上院商業委員会のテッド・クルーズ委員長ら共和党議員は、バイデン氏の高速ネット計画を批判。「大型ハリケーン『ヘリーン』と『ミルトン』では、スターリンクが孤立した地域社会において迅速なネット復旧を実現できることを示した。これは代替技術の必要性を裏付ける」と話す。
ラトニック商務長官も自身の人事公聴会で「衛星もワイヤレスも光ファイバーも使い、最も安く、効率的にやろう」と述べていた。
スペースXの担当者はコメントの要請に応じなかった。
原題:GOP Wants Starlink to Get Cut of $42 Billion Biden Internet Plan(抜粋)
