月フライバイは、ispaceが目指す低エネルギー遷移軌道による深宇宙航行に移行するために重要なマイルストーンであり、目標通過点に対して数十キロの範囲にランダーを通過させるため、精密な軌道計画と運用が求められる。
今後RESILIENCEランダーは予定通り低エネルギー遷移軌道を使って深宇宙を航行する。その後、太陽の重力を使って、5月初旬に月重力圏に到達し、軌道投入を行う予定だ。
ミッション2のRESILIENCEランダーは、2025年1月15日(水)15時11分(日本時間)に打ち上げられたSpaceX社のFalcon9により、所定の軌道に投入され、同日、午後4時44分(午前7時44分24秒 協定世界時)にロケットから分離された。
その後、2025年1月17日(金)午前4時40分(日本時間)に、地球から250,000kmの地点でおよそ16秒間メインエンジンの噴射を行い、初回の軌道制御マヌーバを実施し、RESILIENCEランダーを予定軌道へ投入するとともに、主推進系および誘導制御系の動作の確認した。

株式会社ispaceの代表取締役CEO&Founderである袴田武史氏は次のようにコメントする。
マイルストーンを着実に達成し成功させるRESILIENCEランダー、そして綿密な準備をし、今回ispaceとして初挑戦となった月フライバイを成功させた従業員を非常に頼もしく感じています。この後、低エネルギー遷移軌道を航行しながら、地球から遥か110万キロの深宇宙を通って月を目指すRESILIENCEランダーの旅路を引き続き一緒に見守っていきたいと思います。
ミッション2 マイルストーン
ispaceは打ち上げから月面着陸まで、10段階のマイルストーンを設定。各マイルストーンには基準を設け、達成を目指すという。基準に基づき評価された結果は、後続する開発中のミッションに適宜フィードバックされる。なお、各マイルストーン達成の進捗状況等は適時に公開を予定している。

マイルストーン
クリティア
Success 1: 打ち上げ準備の完了(完了)
・RESILIENCEランダーすべての開発、製造を完了
・打ち上げ用ロケットへの搭載が完了
・世界の多様な地域で柔軟にランダーを利用できることが出来る能力の実証
Success 2: 打ち上げ及び分離の完了(完了)
・ロケットからランダーの分離が完了
・ランダーの精密な打ち上げ時の過酷な条件に耐えられること、および発射の安全性を再確認することをもって、将来の開発費を抑えた上でのミッションを評価
Success 3: 成功した新行軌道の移行(完了)
・ランダーを目的地に向けて分離し、軌道の修正を伴う新行軌道への移行が完了
Success 4: 初回軌道制御マヌーバの完了(完了)
・初回の軌道制御マヌーバを成功し、ランダーを予定軌道に投入
Success 5: 月フライバイの完了(完了)
・打ち上げられた月探査機、月フライバイを完了
・深宇宙飛行を開始
Success 6: 軌道制御マヌーバの完了
・ispaceの深宇宙におけるランダー運用能力と新行軌道飛行を再確認
・最初の月周回軌道投入マヌーバによるランダーの月周回軌道投入の完了
Success 7: 月周回軌道への到達
・ランダーとペイロードを月周回軌道に投入する能力を再確認
Success 8: 月周回軌道上でのすべての軌道制御マヌーバ完了
・最終シーケンスの前に計画されている全ての月軌道制御マヌーバを完了
Success 9: 月面着陸の完了
・ランダーが着陸シーケンスへの間隔操作が出来ていることを表示
Success 10: 月面降臨後の安定状態の確立
・着陸後の月面での安定した通信と電力供給を示す
ミッション2で輸送するペイロードについて
ispaceはミッション2のRESILIENCEランダーに6つのペイロードを搭載し、輸送する。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
株式会社ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
ispaceの欧州法人ispace EUROPEが開発したマイクロローバー”TENACIOUS”
スウェーデンのアーティストによるムーンハウスと呼ばれる赤い小さな家
また、RESILIENCEランダーには、人類の言語と文化遺産を保護したユネスコのメモリーディスクも搭載している。
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてきた。2025年1月15日に日本法人が主導するミッション2、続いて2026年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していく計画だ。
また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション6を予定している。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供するとしている。
▶︎ispace
