エリック・シム氏(54歳)は2017年に銀行員としてのキャリアから引退した。UBSの元常務取締役である彼は現在、若い職業人のためのトレーニング機関を運営している。Eric Simエリック・シム氏は20年間銀行に勤め、経済的自由を達成したのち、2017年に退職した。しかし、かつて投資銀行で常務取締役を務めた彼は、FIRE的ライフスタイルは好きになれないと語る。シム氏は2017年に銀行を去ったのち、プロの講演者そしてエグゼクティブ・コーチになった。
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以下のエッセイは、銀行に勤めたのち、著作家、講演者、キャリア・コーチに転身したエリック・シム氏との対話にもとづいている。長さとわかりやすさの観点から編集を加えた。Business Insiderは以前にもシム氏の銀行員としてのキャリアに関するエッセイを発表した。
銀行でのキャリアをスタートさせたころ、早期退職について考えることはほとんどなかった。
65歳で引退して、クルーズに行ったり旧友と親交を深めたりなど、典型的な余生を過ごすのだろうと考えていた。
しかし、UBSで常務取締役になったことで、考え方が変わった。数年間同行で過ごし、年に数回のボーナスを得たのち、自分が経済的には自立できる状態であることに気づいたのだ。
そのため、「誰かのために働く必要がないのなら、何がしたいだろう?」と考えるようになった。
何の計画もなしに仕事をやめることはできないとわかっていた。自分のエネルギーを捧げるにふさわしい有意義な何かを見つける必要があった。
あれこれと思い悩んだあげく、銀行をやめて若い職業人のためのトレーニング機関を立ち上げることにした。そして実際2015年に、若い人々を職業と人生における成功に導くことを使命として、インスティチュート・オブ・ライフ(Institute of Life)を創設した。
FIREは思うほどすばらしいものではない
シム氏は銀行を去り、講演者およびエグゼクティブ・コーチになった。2021年、キャリアのガイドブックとして書籍『スモールアクションズ(Small Actions)』を共著した。Eric Sim
私は経済的な自由こそ手に入れたが、個人的にはFIREムーブメントこと「経済的自立・早期退職」のファンではない。
FIREを達成したければ、職に就いている期間に得られる収入の大部分を貯蓄に回さなければならない。しかし実際のところ、多くの人は、自分にとって引退後の生活がどのようなものになるのか、その生活を楽しめるのか、はっきりとわかっていない。FIREを目指して悪戦苦闘しているときは、そのようなことを考えることは特に少ない。
もちろん、引退してしまえば、自分のやりたいことができるようになる。外国に旅行をするもの、スパやゴルフを楽しむのも自由だ。
10年や20年ほど苦労して働いたあとに、初めて重責から逃れて自由になるのは、最初の3カ月に限って言えばすばらしい気分だ。しかし、そんな生活にはすぐに飽きてしまう。
働いているときは、自分のやりたいことを計画する必要なんてない。仕事を通じて、やることはいくらでもあるからだ。
しかし、経済的に自立し、守るべき日々のスケジュールがなくなれば、自分で時間を埋める方法を探さなければならなくなる。探さなければ、無為に日々を過ごすことになってしまう。
退職後の満足と銀行の貯蓄額は関係ない
引退生活を満足できるものにするには、3つの資本が必要になる。時間をむだにしたくなければ、経済的な意味での資本だけでなく、人的資本と社会的資本も欠かせない。
人的資本とは、あなたが所有する知識のことだ。人的資本はキャリアや副業、あるいは趣味を通じて構築できる。自分の関心やスキルを伸ばすことで、自分が退職したあとにやりたいことが明らかになってくるだろう。
社会的資本は他人との関係において蓄積する善意のことを指す。他人に施すちょっとしたサポートが、のちに退職したときに、大きな波となってあなたのもとへ戻ってくるだろう。
とどのつまり、日々の仕事をやめたあとに何がしたいか、自分で知っておかなければならない。やってみたいとずっと思っていた何かがあり、それが有意義なことであるなら、それを目指せばいいだろう。
しかし、将来の楽しみが何も思い浮かばず、自分の使命がわかっていないのなら、今の仕事にとどまったほうがいい。仕事をやめなくても、興味を追い続けることはできるのだから。

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