カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門に次ぐ「ある視点」部門に選ばれた日本映画「ぼくのお日さま」。19日(現地時間、以下同)に行われた公式上映では28歳の奥山
大史(ひろし)
監督と若いキャスト陣がカンヌの熱烈な歓迎を受けました。日本メディア向けの囲み取材とあわせ、その模様をお伝えします。(文化部 松田拓也)
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◆5分超のスタンディングオベーション
上映後、場内の大きな拍手に感極まる越山敬達さん(右)と池松壮亮さん(中央)、中西希亜良さん(19日、フランス・カンヌで)=松田拓也撮影
「ぼくのお日さま」の舞台は、雪が降る日本の田舎町。
吃音(きつおん)
をもつ小学6年生のタクヤ(越山
敬達(けいたつ)
さん)、フィギュアスケートを学ぶ少女さくら(中西
希亜良(きあら)
さん)、元選手で、さくらを指導するコーチの荒川(池松
壮亮(そうすけ)
さん)の3人の視点から描かれる、淡く切ない恋の物語です。
公式上映には奥山監督と越山さん、中西さん、池松さんが参加しました。約1000人を収容するドビュッシー劇場は超満員。奥山監督が「エンドロールでこの映画にインスピレーションを与えた音楽が流れます。どうか最後まで見ていただきたい」と壇上で呼びかけて、上映が始まりました。 内気な性格で、苦手なアイスホッケーの練習中にケガをしてしまったタクヤ。ある日、練習に励むさくらに心を奪われたことを機に、リンクの端でフィギュアのステップをまねてみますが、何度も転んでしまいます。そんな姿を見かけた荒川は、彼の恋を応援しようとスケート靴を貸し、練習に付き合い始めるように。しばらくして荒川はタクヤとさくらにペアでアイスダンスを練習するよう提案します。
上映後、ルーカス・ドン監督(右手前)と言葉を交わした奥山監督(19日、フランス・カンヌで) 観客は、さくらのそばでタクヤが見せるキュートなしぐさに笑いを漏らしつつ、くしくも上映劇場にゆかりが深いクロード・ドビュッシーの「月の光」が時折流れる中、氷上、白銀の世界で展開するドラマにじっくりと見入っていました。そしてエンドロールが始まると万雷の拍手が起き、しばらく鳴りやみません。エンドロールが終わって場内の照明が付き、奥山監督らが退出を促されるまでの約5分間、スタンディングオベーションが続き、感極まった越山さんが涙をぬぐう姿が印象的でした。 ◆越山さん「伝えたいこと伝わった」 初長編作の「僕はイエス様が嫌い」(2019年)でスペイン・サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞に輝いた奥山監督。広告会社の社員でもあり、米津玄師さんの「地球儀」など数々のミュージックビデオも手がけています。
別会場で行われた囲み取材で笑顔を見せる(左から)奥山監督、中西さん、越山さん、池松さん(19日、フランス・カンヌで)=松田拓也撮影 長編2作目で、商業映画デビュー作となる「ぼくのお日さま」は、奥山監督が幼少期に7年間、フィギュアスケートを習っていた経験をきっかけに「雪が降り始めてから雪が解けるまでの少年の成長を描きたい」と思ったのが始まりでした。 ただ、個人的な経験だけでは映画にできないと思い悩む中で出会ったのが、佐藤良成さんと佐野遊穂さんの夫婦デュオ「ハンバート ハンバート」が吃音をもつ少年の心情を歌った「ぼくのお日さま」です。この曲からインスピレーションを受けて脚本を書き進めました。なお撮影と編集も奥山監督が担っています。 公式上映後の囲み取材で越山さんは「すごい反応をいただけてうれしかった。カンヌという素晴らしい場所で、この映画で伝えたいことが伝わったんじゃないのかな」と感無量の様子で話しました。エンドロールで流れる「ぼくのお日さま」を聞きながらすでに涙していたといい、「『こういうふうに撮影したな』『こういうことを言われたな』とか。曲に当てはめていく中で、すごい『あああ』って、来たんです」と明かし、とびきりの笑顔を見せていました。 1 2
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