【著者に聞く】『狭間国家の地政学』の廣瀬陽子氏が語る、ロシア近隣国の4つの生き残り戦略

ロシアのプーチン大統領(右)とベラルーシのルカシェンコ大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まり、ロシアと欧州の睨み合いが厳しさを増しているが、両国の間には、軍事的圧力や紛争、ハイブリッド攻撃のリスクにさらされる数多くの小国が存在する。そうしたいわば「狭間」にある国々は、どのように立ち振る舞っているのか。『狭間国家の地政学 ロシア近隣国に学ぶ4つの生き残り戦略』(東洋経済新報社)を上梓した慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──本書のタイトルは『狭間国家の地政学』です。「狭間国家」とは何ですか?

廣瀬陽子氏(以下、廣瀬):これは私の作った言葉で、英語では「In-Between States」と表現しています。狭間国家は、単に地理的に複数の大国の間に位置する国というだけではありません。複数の大国から軍事、経済、エネルギー、情報、文化などの面で圧力を受けながらも、国家としての選択肢を維持している国を指しています。

 大国の狭間で翻弄される弱い国という印象を持たれますが、実際にそうした国々を観察してみると、必ずしも大国にやられているばかりではなく、狭間にいるからこそ大国同士を競わせたり、複数の国の制度を使い分けたりして、しなやかに、したたかに生きている面があります。そうした国を狭間国家と名づけました。

──旧ソ連諸国が、ロシアに対してどのような態度を取ってきたのかという点を、「離反型」「バランス型」「依存型」「中立型」という4つのタイプで分類しています。

廣瀬:「離反型」は、明確にロシアから離れ、西側の制度や社会の中に自らを当てはめた国々です。バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)が当たります。

「バランス型」はロシアとの関係を絶妙に維持しながら、中国、欧米、トルコなどとも関係を広げている国で、顕著な例はカザフスタンです。ある程度の資源も持ち、ある程度自立しながらも、資源を外に売らないと生きていけないので、さまざまな国々と交友関係を持ち、上手に生きています。

 ロシアに依存する「依存型」は、ベラルーシが顕著な例で、経済や軍事などの面でロシアに頼っており、何かと守ってもらうという関係です。

 かつては欧米にも接近し、プーチン大統領を苛立たせることもあったベラルーシですが、2020年の大統領選後に大規模な抗議活動が起こり、政権の存続が危ぶまれました。その時にロシアから治安・経済面の支援を受けて政権を維持して以降、対ロ依存を決定的に深めました。

──プーチン大統領に海水浴を勧められ、ルカシェンコ大統領が冷たい黒海で泳いだエピソードが本書で紹介されていましたが、あれは印象的でした。

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