現地『ガーディアン』紙などで健筆をふるう英国人記者が三笘薫の負傷離脱前後の様子と、現地での日本人選手のリアルな評価を寄稿する。〈NumberWebレポート/全2回。翻訳・構成:井川洋一〉
日本に敗戦後、イングランド代表批判は起きなかった
イングランドのフットボールファンにもっとも知られている日本人選手といえば、三笘薫だろう。リバプールに所属する日本代表キャプテン遠藤航や、クリスタル・パレスで昨季のFAカップ制覇に貢献した鎌田大地もその名を広く知らしめているが、好調時の三笘が見せる華やかなパフォーマンスは多くの人々を虜にしてきた。
前編でも述べたように、ゴール数こそ、常に多産とは言えないものの、印象深い得点シーンはいくつもある。今シーズンも4月のトッテナム・ホットスパー戦で、1988年の欧州選手権決勝でマルコ・ファンバステンが決めたボレーシュートを彷彿とさせる見事な一撃を沈めている。
また三笘はウェンブリー・スタジアムでのイングランド戦でも唯一の得点を決め、歴史的な勝利の立役者となった。
ADVERTISEMENT
この試合の後、イングランドではヒステリックな批判や反応が、ほとんど起きなかった。通常、スリーライオンズ(イングランド代表の愛称)が敗れると、大袈裟な論調や批評が展開されるものだが、この時は相手がクオリティーの高いチームだと認識されていたからか、そうしたものはあまり見聞きしなかった。
トゥヘル監督がズバリ「タフな相手だった」
加えて、イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督のW杯本大会へ向けたプロセスが、信頼されていることもあるだろう。あの日本戦に彼が並べた先発メンバーは実験的な要素が強く──実際、フィル・フォデン、コール・パーマー、ベン・ホワイトは最終メンバーから外れた──、ハリー・ケインやデクラン・ライス、ブカヨ・サカといった主力はプレーしていない。敗因について、現在52歳のドイツ人指揮官は次のように話した。
