【5月16日 CNS】4月19日に行われた北京亦荘ヒューマノイドロボット・ハーフマラソン大会で、蛍光グリーンの塗装をまとい、警号「JQR001」を付けた「ロボット交通警察」がスタート地点近くの交差点に登場した。標準的な左折の手ぶりを示し、ロボットランナーを正確に認識して曲がる方向へ誘導した。「ロボットがロボットを指揮する」この光景は、まるでSFの世界に入り込んだようで、中国の身体性AI技術が公共サービスや都市ガバナンスに活用される革新的な試みを示した。

公式発表によると、これは北京で初めて正式に勤務に就いた交通警察ロボット「天軼」だ。2025年亦荘ロボット・ハーフマラソンで優勝した「天工」ロボットと同じシリーズに属し、研究開発と設計の段階で、超大都市である北京の実際の交通状況が十分に考慮された。今後は亦荘地区の実際の交差点で勤務し、信号の状態に合わせて、通行車両に対して手ぶりによる誘導と交通案内を同時に行う。

同じころ、江蘇省(Jiangsu)無錫市(Wuxi)の街頭に登場した二足歩行の「ロボット交通警察」も、無錫市民の微信(ウィーチャット、WeChat)モーメンツで「新たな人気者」となり、中国外交部の毛寧報道官が投稿を転送したことで、海外のSNSでも注目を集めた。

この「ロボット交通警察」は、中国の大手ロボット企業、魔法原子(MagicLab)が開発したもので、身長1.75メートル、体重70キロ。フル充電で5時間連続稼働できる。高精度の関節モジュールによって車両の指揮や誘導ができるほか、先進的な感知技術と対話能力により、信号無視やヘルメット未着用などの交通違反を自動で識別し、音声で注意することもできる。車両の年次検査などの手続きに関する質問にも答えられるため、市民からは「かなり専門的だ」と評価されている。さらに、近づいて一緒に写真を撮ろうとすると、この「ロボット交通警察」はお茶目にピースサインをしてくれることもあり、親しみやすさも十分だ。無錫の「ロボット交通警察」は今後も継続的なテストを通じて安定性と柔軟性を高め、本格的な導入と全域展開に向けたデータを蓄積していく。

これを単なる公共サービス分野における一体のロボットの試験運用と見るなら、見方としては狭い。魔法原子は、完全自社開発のヒューマノイドロボットや四足歩行ロボット犬などの製品群、AI技術体系を基盤に、現地機関とともに防犯、監督管理、サービスなどの業務シーンをめぐって共同研究開発と実用化を進める方針だ。単一設備の供給から、公共サービスのあらゆる場面に対応するカスタマイズ化、実戦化への高度化を目指している。

これより前にも、湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)、江蘇省(Jiangsu)常州市(Changzhou)、安徽省(Anhui)蕪湖市(Wuhu)、湖北省(Hubei)荊州市(Jingzhou)などの都市が交通管理分野でロボットの活用を進めてきた。導入場面はスポーツイベント、都市の街頭、コミュニティ、高速道路、トンネルでの試験運用、春節(旧正月、Lunar New Year)輸送期の鉄道駅など多岐にわたる。各地の「サイバー交通警察」の形態もさまざまで、人型の「メカ交通警察」、車輪型巡回点検ロボット、四足歩行ロボット、固定式AI注意喚起ロボットなどがある。都市によっては、「ロボット交通警察」とドローンや無人巡回車を組み合わせる方式を採用したり、「ロボット交通警察中隊」を配置したりする例もある。各地で進む「ロボット交通警察」の試験運用の背後には、膨大なデータの高速処理があり、中国の強力な5Gミリ波技術が確かな通信基盤を支えている。

中国各地の具体的な取り組みを整理すると、「ロボット交通警察」は主に、反復性が高く、頻度が高く、リスクも高い勤務やサービス業務を担っている。これにより、現場の警察官の負担が大きく軽減され、「人間の警察官」は突発事態や複雑な警情への対応に集中できる。こうした「人と機械の協働」という考え方は、中国の都市交通管理のスマート化を示すものだ。「夏の猛暑や冬の厳寒のとき、ロボットが現場の交通警察の仕事を分担できる」といったネット上の声には多くの共感が寄せられており、技術進歩の背後にある人間味も映し出している。

浙江工業大学公共管理学院の呉偉強教授は、現在のAI交通管理ロボットの多くはあらかじめ設定されたプログラムに従って動いており、複雑な場面への対応能力には限界があると指摘する。一方、ネット上では「ロボット交通警察」は執法者といえるのか、反則切符を切ったり飲酒運転を調べたりできるのかといった議論も起きている。こうした関心は、この種のロボットが今後進化していく方向を示すと同時に、技術発展の境界にも関わっており、技術、社会、法律、倫理などの面で模索と調整が必要になる。

現在、中国では身体性AIやロボットの発展に向けた機運が高まっている。「ロボット交通警察」はAIの一つの担い手として、「AI+交通」「AI+都市ガバナンス」の融合を進める存在であり、中国らしいテクノロジーを示す新たな名刺にもなっている。最近、安徽省蕪湖市で「ロボット交通警察」に偶然出会ったスペインの若者は、その正確な姿勢と機能に感心し、急いでスマートフォンを取り出して「一緒に写真を撮らなきゃ。すごくかっこいい!」と話した。これは、中国の「ロボット交通警察」が実験室から大きく一歩を踏み出し、街頭へ進出していることに対する、外部からのうらやましさと評価を示しているのかもしれない。(c)CNS/JCM/AFPBB News

 

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