
「足りなかったものは何なのかを考えるオフシーズンに」
シーホース三河はレギュラーシーズンで西地区2位となり、実に8シーズンぶりとなるチャンピオンシップのホーム開催権を勝ち取った。しかし、琉球ゴールデンキングスとのクォーターファイナルはゲーム1を65-79、ゲーム2を79-82でそれぞれ落とし、シーズンが終了した。
レギュラーシーズンで三河は琉球に3勝1敗で、天皇杯でも勝っており相性は良い相手だった。だが、『チャンピオンシップは全く別の戦い』という定説を、4年連続ファイナル進出中とチャンピオンシップで無類の強さを見せる琉球に望まない形で証明されてしまった。
ライアン・リッチマンヘッドコーチの下、1年目の36勝から2年目は39勝、3年目は43勝と勝ち星を着実に伸ばし、3年連続でチャンピオンシップに出場。西田優大、ダバンテ・ガードナーを軸にコアメンバーは3年間で変わらず、チームの完成度は確実に増していた。だが、結果として3年続けて、クォーターファイナルで敗退。大舞台で勝てない厳しい現実を突きつけられてしまった。
チームリーダーの須田侑太郎は、次のようにクォーターファイナル2試合で感じた思いを明かす。「どれだけレギュラーシーズンで積み上げてきても、ここ一番で自分たちのパフォーマンスを発揮し切れなかった。チームに対して、どういうアプローチをすればCSで自分たちの力をしっかり出せるのか。それが何なのかを考えるオフシーズンになりそうです」
クォーターファイナルで感じた課題を整理するには時間が必要だ。一方で、大舞台で勝ち続けてきた琉球と自分たちの違いを痛感させられる部分はある。「自主性といったらすごく大雑把なものになってしまいますが、自分たち自身をもっと強く突き動かす力が必要だとは思いました。琉球さんは、レギュラーシーズンに上手くいかないこともあったと思いますが、CSの本当に勝たないといけないところでの『腹のくくり方』で違いを感じたところはあります」
「技術とか戦術云々ではないところで、琉球さんは目の前のルーズボールに対して、どれだけ地べたを這いつくばって食らいついていけるか。そういう泥臭いところがチーム全員に浸透しています。根性論になってしまいますが、結局はそういう部分が勝利を左右するとなった時に、僕たちはディフェンス、リバウンド、ルーズボールの執着心で負けてしまった。そこを痛感します」

古巣へのエール「ぜひ、ここまで来たら優勝してほしい」
須田にとって琉球は、Bリーグ2年目から2シーズン在籍した古巣だ。勝率5割以下に終わったBリーグ初年度から一転、須田も加入した琉球は地区優勝、チャンピオンシップセミファイナル進出と大きなステップアップを遂げ、今日に繋がる常勝軍団の基盤を作った。
試合後、当時のチームメートだった岸本隆一、佐々宜央らとしっかりと抱擁していた須田は、「Bリーグになって、キングスが強いチームをあらためて作るところに2年間関わらせてもらいました。当時から色々な思いがありましたし、今回は特別な気持ちを持って臨みました。この2試合戦って、4年連続ファイナルは流石だなと感じさせられました」と、古巣への思いを明かす
選手、コーチだけでなく、須田にとっては昨年7月に就任した仲間陸人社長、そしてチーム誕生から琉球を支える安永淳一GMも旧知の仲だ。須田は、大切な戦友が中心となっている古巣にエールを送る。
「僕が沖縄に引っ越してすぐにユニクロに行ったら、たまたまそこに仲間さんもいて、『須田さんですか?』と声をかけられて『よろしくお願いします』となったことは今でも鮮明に覚えています。そして友人として、同じ年の彼がずっと一生懸命やっている姿を近くで見てきました。そこから今、社長になられました。淳さんは僕がいた頃からずっとチームを支えていて、ずっと情熱は変わっていないです。そういう自分だからこそキングスへの強い思いはあります。ぜひ、ここまで来たら優勝してほしいです」

「積み上げてきたものは間違いないと感じました」
連敗という結果に反省が先行してしまうが、今シーズンの三河がリッチマン体制の3年間で最も高いチーム力を備えていたのは事実だ。須田も「去年の宇都宮(ブレックス)とのCSは本当に圧倒されただけでしたけど、今回は勝利まであと少しで、積み上げてきたものは間違いないと感じました」と手応えも得ている。
「去年からすると組織力はすごく成長していて、もう一つの大きな壁を乗り越えるまであと少しまで来ていると思います。それは簡単なことではないと思いますが、ここを乗り越えられた時、より強固な組織になれる。チームの成長をレギュラーシーズンから感じてきたので、『やりきった』と『不完全燃焼』の両方が今の自分の気持ちとしてあります」
来シーズンからBリーグは、B.プレミアとなり新たなフェーズに入る。この10年間、須田は初年度に栃木ブレックス(現・宇都宮)でリーグ優勝を経験。ここから琉球、A東京、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、三河とプレーを続けていく中、複数のチームでCSに8回出場(CSは10年間で9回行われている)と見事な実績を残している。
日本代表での活躍も含め、素晴らしいキャリアを歩んできた彼が今欲するのは栄冠のみ。A東京時代にはアジア王者にもなり、今シーズンは彼にとって唯一残されたタイトルである天皇杯も決勝で敗れる悔しさを味わった。ハニカミながらだが、須田は「本当にタイトルが欲しい。マジで今回優勝したら引退してもいいかなと思うくらいの感じでした」と強い思いを語る。
そしてタイトルを求める須田は、引き続き自己研鑽を続けていく。「技術のところもそうですし、今一度自分のバスケットに何が必要なのかをまた考えて、次のシーズン向かえたらいいなと思います」