愛媛県宇和島市の株式会社空庵は、独自通貨を活用した次世代モビリティコモンズ「Comove」の実証実験を開始したと発表した。
車や自転車を地域共有資産として運用し、若者の地方移住支援と高齢者の外出支援を両立する新たな地域インフラ構築を目指す。

独自通貨で動く移動共有モデル

2026年5月11日、空庵は、4月1日より開始していた次世代モビリティコモンズ「Comove」の実証実験について発表した。
Comoveは、自動車やマウンテンバイクなどの移動手段を“個人所有”ではなく、地域全体で共有する「コモンズ」として再設計する取り組みである。
愛媛県宇和島市石応エリアを中心に、軽乗用車10台、マウンテンバイク8台、小型自転車、電動三輪車を導入し、社員や関係者向けに共同利用を開始した。

最大の特徴は、移動サービスの決済に独自通貨「パラレルコイン」を採用している点だ。パラレルコインは法定通貨へ換金できず、外部市場での売買も想定していない。
パラレルコインは発行日から180日間有効で、期間経過後はブロックチェーン上のスマートコントラクト(※)に基づき、自動的にバーン(消却)される仕組みだ。
利用範囲をComoveや空庵が指定するサービスに限定することで、閉じた経済圏における循環性を検証する。

同社は、車両清掃や送迎、点検、メンテナンスなどの“地域貢献行動”に対してパラレルコインを付与することで、地域内の助け合いを可視化・循環させる狙いだ。
背景には、地方移住の障壁となっている自家用車の維持費問題がある。

また、Comoveでは電動アシストではないマウンテンバイクをあえて採用した。
単なる効率移動ではなく、宇和島の自然や地形を体感する“移動のウェルビーイング”を重視している点も特徴と言える。

※スマートコントラクト:ブロックチェーン上で、あらかじめ定めた条件に応じて送金やトークン消却などを自動実行するプログラム。

移動・買い物・介護などを支える地域基盤 

Comoveのような共有型モビリティが定着すれば、地方移住の大きな障壁だった自動車維持費を抑えられる可能性がある。
さらに、地域貢献と独自通貨を結びつける仕組みによって、従来は見えづらかった助け合いを可視化し、地域コミュニティの担い手不足を補う動きにつながることも期待できる。
Web3技術を地域運営基盤として活用する発想は、地方インフラの新たな形として注目されそうだ。

一方で、地方では依然として「自家用車を自由に使いたい」という意識が根強く、共有利用が広範囲に浸透するまでには時間を要する可能性がある。
また、独自通貨の運営では、不正防止や公平性の維持、参加者間の納得感づくりなど、利用者増加に伴う課題も顕在化しやすい。
善意や地域参加に依存しすぎれば、心理的負担や同調圧力が強まる懸念も残るだろう。

今後は、Comoveの仕組みが移動支援だけにとどまらず、買い物代行や介護、観光、地域配送などと連携し、“地域OS”のような生活基盤へ発展する可能性がある。
人口減少が進む地域では、行政だけで維持しきれない生活インフラを、コミュニティとデジタル技術で補完する動きが広がるかもしれない。
地域内で価値を循環させる仕組みとして、他自治体へ波及する展開も考えられる。

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