洞泉寺と源九郎稲荷神社(奈良県大和郡山市)
豊臣秀長が整備した奈良県大和郡山市の城下町の一角。隣り合わせの洞泉寺と源九郎稲荷神社では、秀長にまつわる逸話が語り継がれている。
寺に収められている「垢抓浴槽」(奈良県大和郡山市で)
愛知県の洞泉寺住職・
宝誉(ほうよ)
上人は諸国行脚の際、同市に草庵を結んだ。ある夜、夢枕に白髪の
翁(おきな)
が現れ、「我は寺を守り、城を守り、人々を守護するなり」と、この地に寺を建てるよう言い残した。郡山城主・秀長はこの話を聞き、土地を上人に寄進した。
寺でまつられている「垢抓地蔵大菩薩」(奈良県大和郡山市で)
郡山城の石垣の整備では、各地から石が集められたことで知られる。1586年、秀長と宝誉上人は同じ夢を見る。「郡山城大書院西庭の履脱石を掘れ」。すると、出てきたのは「
垢抓地蔵大菩薩(あかかきじぞうだいぼさつ)
」。かつて光明皇后が病に苦しむ人たちのために設けた「垢抓浴槽」も見つかり、ともに安置されている。
秀長関連の地として来訪者が増えている。木上豊彦住職(48)は「秀長公は仏教をあつく信仰していた。手を合わせていってほしい」と願う。
源九郎稲荷神社(奈良県大和郡山市で)歌舞伎役者がこぞって
すぐ東には、源義経ゆかりの源九郎稲荷神社がある。「義経千本桜」を演じる歌舞伎役者らがこぞって訪れる。秀長は城の整備の際、吉野川のほとりから城内に移し、江戸時代の1719年に洞泉寺町に置かれた、といわれる。
毎年春の「お城まつり」では、子どもたちが白
狐(ぎつね)
の面をかぶって練り歩く「
白狐(びゃっこ)
渡御」が名物だ。語り部の中川圀昭さん(85)、ヤス子さん(81)夫妻が、神社と祭りを長年支えてきた。
「秀長さんは郡山の街の守護神なんです」
ヤス子さんは何度もそう語る。秀長と白狐が描かれた御朱印とともに参拝者を出迎える。(河部啓介)

近鉄郡山駅、JR郡山駅からいずれも徒歩約10分。洞泉寺(大和郡山市洞泉寺町15の1、0743・52・2893)の境内参拝は自由。本堂拝観は要予約(300円)。午前10時~午後4時。源九郎稲荷神社(同町15、0743・55・3830)。参拝は自由。午前10時~午後5時。
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