
韓国の電子入国申告書で台湾が「CHINA(TAIWAN)」と表記されていた問題を巡り、韓国政府が該当項目を削除しました。 台湾側が不当表記だとして修正を求めてきた案件で、外交的な摩擦が一定程度緩和された形です。
この問題は、韓国が導入したオンライン電子入国申告システムで、「国・地域」欄では「TAIWAN」と表記しながら、「直前の出発地」や「次の目的地」の選択肢では「CHINA(TAIWAN)」としていたことに端を発しています。 台湾外交部は、台湾を中国の一部と誤解させる表現だとして表記是正を繰り返し要請し、2025年末以降、韓国側に対し公式・非公式の場で修正を働きかけてきました。
協議の結果、韓国政府は「直前の出発地」と「次の目的地」の2項目自体を削除し、台湾からの渡航者が「CHINA(TAIWAN)」を選択せざるを得ない状況は解消されました。 台湾外交部は、旅行者の利便性の向上とともに、不適切な表記がなくなった点を評価し、今後も既存の枠組みの下で韓国との関係深化に期待を示しています。
一方で、台湾は韓国の表記問題に対する対抗措置として、台湾に居住する韓国人に発行する居留証(ARC)の国籍欄の表記を、2026年3月1日から「韓国」から「南韓」に変更しています。 韓国が長年、各種書類やオンライン申請で台湾を「中国(台湾)」と記載してきたことを踏まえ、台湾側が「相互主義」の観点から講じた措置と位置づけられています。
韓国側が電子入国申告書の表記を見直したことで、台湾の対応変更の可能性も焦点となっていますが、外交部は今回の措置を歓迎しつつも、居留証の表記については現時点で修正の予定はないとしています。
台湾、相互主義を理由に「南韓」表記維持 呼称問題は今後も外交上の火種に
台湾外交部は、韓国人向け居留証の国名表記を「南韓」とした理由として、相互主義と制度全体の整合性を挙げています。 韓国側の「中国(台湾)」表記に対し、一方的に是正を求めるだけでなく、自らも名称を変更することで対等な立場を示す狙いがあります。
2025年末には、韓国が台湾を「中国(台湾)」と扱う姿勢に対する不満が高まり、台湾側から「関係見直し」にも言及する強い表現が出ていました。 その後、韓国が電子入国申告書の表記問題に対応したことで、対立はやや和らいだものの、呼称や表記を巡る根本的な認識の差は残っています。
台湾は、韓国が2026年3月末までに問題の表記を是正しない場合、自国の電子入国カードでも韓国の表記を変更する方針を示していましたが、韓国政府の対応を受け、この追加措置は当面見送られています。 一方で、すでに施行済みの居留証における「南韓」表記については、外交上のメッセージ性や他制度との整合性を重視し、維持する方針です。
韓国は中国と国交を持つ立場から、台湾の扱いを巡って慎重な対応を迫られています。 他方、台湾は自らを主権国家と位置づけ、国名や地域名の表記問題を、自らの地位に関わる重要な外交課題とみなしています。 電子入国申告書の項目削除により、当面の摩擦は緩和されたものの、双方の呼称や表記を巡る問題は、今後も外交関係の行方を占う指標の一つとなりそうです。
