米ハーバード大学主催の国際会議HPAIRが昨年8月に東大で開催された。本会議は「ヤングリーダー版ダボス会議」とも呼ばれる大規模な国際会議で、20年振りの東大開催となった。参加した十河翔さん(学際情報学府・修士2年)に体験談を寄稿してもらった(寄稿=十河翔さん、写真は全て十河さん提供)

 

 

 昨年(2025年)の夏に東京大学で開催された、「HPAIR 2025 東京大会」に参加しました。HPAIR(Harvard College Project For Asian and International Relations)は「ヤングリーダー版ダボス会議」とも呼ばれる、ハーバード大学主催の世界最大規模の国際会議です。東大では実に20年ぶりに開催された、かなり大きな規模のもので、5日間という短期間ではありましたが、視野の広がる実りのある時間だったと感じています。

 

 私は社会人学生として参加したため、仕事の都合もあり、開会式やゲストスピーカーとのランチセッションや講演など、イベントやプログラムの実施時間により、参加が難しいものもありました。そのため、参加することができたプログラムは交流イベントやグループワークなどが中心ではありましたが、この場を有意義なものにしたいという気持ちから多くの方々とコミュニケーションを取ることもでき、なかなか他では体験できないような貴重な機会だったと思っております。

 

 参加に向けた選考は、これまでの経験や志望動機などをハーバードカレッジに提出し、のちにハーバードのスタッフの質問にオンライン形式で答えるというもので、要点をコンパクトにまとめつつ、自分らしさを表現することの大切さを感じました。

 

 選考を通過した各国の学生たちが東京での開催を前に、WhatsAppやInstagram、LinkedInなどを通じて挨拶や自己紹介をしていました。日本滞在中に東京をはじめとした全国の観光スポットや、本郷キャンパスを訪れることをとても楽しみにしている様子が伝わってきました。

 

 初日のホテルイースト21で行われた開会式には、小池百合子・東京都知事や小巻亜矢・サンリオエンターテイメント代表取締役社長などが登壇されました。夜の立食形式のディナーパーティーは参加者同士が交流をしたり、「International Night」と称した、参加者が自国の文化を紹介する企画 では国際色豊かな演奏や舞踏を鑑賞しました。

 

 

 2日目の夜に情報学環・福武ホールで行われた「Cultural Night」では、インドやパキスタン、フィリピンや日本など、アジア各国の名産品やお土産を持ち寄ってみんなで交流するなど、さまざまな国の文化を知る機会にも恵まれたと思います。

 

 

 4日目の「Delegate Networking」では、鉄門記念講堂に集まった多くの参加者がお互いに自己紹介をし合う楽しい時間で、たくさんの言語が飛び交っている中で親睦を深めていく情景がとても印象的でした。

 

 最終日の「Impact Challenge」は、いくつかのグループに分かれて、さまざまな社会課題への解決策をプレゼンするといった内容でした。私たちのチームでは「難民の受け入れ」というテーマに関して、多様なメンバーで現状を分析し、ひとつの方向性に導いていく経験をしました。それぞれの視点からたくさんの意見を交わしていくことで、各メンバーの価値観やバックラウンドが反映された発表につながり、各チームの発表を傾聴することも、とても学びもあるものになったと思います。

 

 

 そして、フィナーレとして安田講堂で行われた閉会式では、日本最年少市長である兵庫県芦屋市長の高島崚輔氏の講演やプログラムごとの学生表彰も行われ、会場全体でHPAIR 2025 東京大会の一体感を味わいながら、心地よい疲れとともに最後の時間を楽しむことが出来ました。

 

 

 37度を超えるとても暑かった最終日でしたが、世界中から集まった多くの学生が、炎天下の安田講堂の前で、別れを惜しみながらも、充実感を感じながら修了証とともに記念撮影をしている姿は、大学の入学式や卒業式とはまた違ったような光景でとても印象に残っております。

 

 

 本郷キャンパスを舞台として、世界中の学生が集まって交流するイベントでしたが、参加者の皆さんが東京の街やキャンパスの雰囲気、そして日本の真夏という季節(とても暑かったですが)を楽しんだり、それらをSNSでシェアし合ったりといった、思い出に残る楽しい期間でした。

 

 在学生として、普段から東京で生活していると意識しなかったような些細なことや日常の習慣の中にも、海外から訪れた学生には面白い発見や楽しみがあり、そのフィルターを通して、東京大学のキャンパスや街の魅力を改めて気づかせてくれるものでした。

 

 東大には交換留学など国際交流のプログラムもたくさんあると思いますが、その時々の状況によって、国際情勢や期間や費用がネックになることもあると思います。留学という選択肢に限らず、このような海外大学主催の国際会議に参加することも有意義な機会だと感じました。また、短期間なので、仕事との両立をされている社会人学生なども参加しやすい側面もあるかと思います。

 

 たとえば、留学以外の国際交流の機会として数日間から数週間といった短期間で開催される、講義や授業中心の海外大学のサマープログラム、研究発表をメインとした国際学会などもあります。その中でも、HPAIRは講演の聴講だけでなく、交流イベントや協力して取り組むワークショップが豊富でした。5日間のなかで多岐にわたる経験ができたということも、振り返ってみれば充実感のあった理由だと思います。

 

 また、HPAIRの運営に携わっていたハーバードの方々や、日本開催の誘致を行った学生団体である東京大学Diligentの方々の、期間中の段取りや説明、細かい質問への快い対応には、いち参加者としては、とても助けられ、大変ありがたかったです。

 

 入学式や新年度の始まりの春ですが、東大の国際色豊かなプログラムを通じて、世界にアクセスして、学生時代の思い出にもなるような、さまざまな経験をしてみるのもいかがでしょうか。

 

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