本展は、そんな建物の室内装飾に表現された「動物」のモチーフに注目するもの。鳥や魚、ライオンなど、朝香宮家と縁の深い動物たちの姿を、当時のデザイナーたちがどのようにデザインとして取り入れ、モダンな空間を彩ったのか。その実践を造形美とともに観察できる機会となっている。

 まず来館者を迎えるのは、玄関に鎮座する鉛青銅の唐獅子だ。この一対の唐獅子は、朝香宮家が高輪南町御用邸(現在のグランドプリンスホテル高輪周辺)に住んでいた頃から所有していたもので、朝香宮夫妻が店先で気に入り購入したものだという。白金台へと引っ越す際に、いまの位置に設置された。

 思わず笑みがこぼれるのが、次室に佇むペンギンの陶磁器だ。朝香宮鳩彦王・允子妃が1920年代に滞欧した際にが購入したロイヤル・コペンハーゲン製のもの。収納箱の蓋は夫妻の帰国後に製作されたとされており、ペンギンではなく「丁抹國製陶器
三羽揃ペリカン」と書かれている。これは当時の日本ではペンギンの存在が一般的ではなく、長いくちばしなどの特徴から、ペリカンと間違って記されたためだという。未知の動物をどうにか既存の知識に当てはめようとした、当時の日本人の初々しい眼差しが透けて見えるようだ。

文・撮影=橋爪勇介(編集部)