天黙山高岳禅寺―Montanha do SilêncioTemplo Zen das AlterosasKogakuzenjiは、ブラジルのミナスジェライス州ベロオリゾンテ市にあります。当寺は、高祖承陽大師と太祖常済大師によって開かれた曹洞宗の根本教義に基づき、道元禅師の只管打坐を中心として坐禅の実践を何よりも大切にしております。坐禅会、摂心、各種法要、法話、葬儀、仏前結婚式など、曹洞禅の伝統に則った活動を行っております。
ブラジル・ベロオリゾンテ市 高岳禅寺
私は、かつて日本に22年間住んでおりましたブラジル人僧侶、ソブリーニョ黙元(73)です。名古屋市威音院の中村道雄老師により得度と伝法を賜りました。威音院では長年、坐禅堂において毎日朝夕の坐禅に励み、摂心の修行も重ねてまいりました。時には、通常の40分間坐禅ではなく、50分間坐禅を続ける摂心も行いました。
また、師匠に随身し、福井県の大本山永平寺において、臘八摂心や涅槃摂心の修行に何度も参加させていただきました。当時は師匠の指導を厳しいものとして受け止めておりましたが、年月を経た今、そのすべてが慈悲に基づく教えであったことを深く感じ、ただ感謝するばかりです。
大本山永平寺の他、長谷寺専門僧堂において、5年半にわたり安居修行を重ねました。その間に、名古屋市大黒寺の大洲久典老師の晋山結制において第一座を務めさせていただきました。2013年に南アメリカ国際布教師として帰国し、2017年には南アメリカ国際布教総監部賛事に任命されました。2023年には晋山式を行じ、その際には西堂として、名古屋市地藏寺の神野哲州老師を拝請し、日本人を含めた多くの法友に、ご随喜いただきました。
ブラジルにお寺を建てることを目標として、日本の皆さまよりお布施をいただきながら、日本において約14年間、托鉢の修行を続けてまいりました。名古屋をはじめ各地のさまざまなイベントにおいて托鉢を行い、今日、その親切な日本の皆さまのことを、喜びと懐かしさ、そして涙とともに思い出しております。修行の成果として、日本人の温かいご支援によって集められた浄財は、高岳禅寺(Templo Zendas Alterosas Kogakuzenji)の建立に至り、深い喜びを感じております。仏法のおかげで、人との交流を通して多くの友人もできました。
例えば、約6年間、1月末日まで雪が降る日もある中、妙厳寺の当時の住職・福山諦法禅師から許可をいただき、豊川稲荷の境内で托鉢修行をさせていただきました。また、イベントがある場所には必ず網代笠をかぶって出向き、名古屋駅や金山駅の構内、日泰寺や知立市の弘法さん(弘法山遍照院)、御園座前、そして毎月末の岐阜県・千代保稲荷神社など、名古屋市内や近郊の多くの場所で托鉢を行いました。
たとえ小さくても、お寺を建立するという夢を実現した後は、ブラジルの人々と共に坐禅を行うことが最大の目標です。禅の最高の教えによる修行に加え、ブラジルに美しい高岳禅寺の存在を可能にしてくださった寛大で絶え間ない精神的・物質的なご支援に対し、日本の皆さまに深甚なる感謝の意を表したいと思います。仏法のご縁を通して多くの友を得られたことも、何よりの宝です。
お寺では、日本の曹洞宗寺院に倣い、日分・月分・年分の行事を整えております。毎年、涅槃・臘八摂心を行じ、年4回、一日中の土曜参禅会を開催しております。毎週日曜夜の一般坐禅会、毎週月曜のオンライン坐禅会、毎週火曜の初心者向け坐禅会も継続して行っております。もちろん、提唱・法話や独参も行っております。
高岳禅寺での坐禅会
高岳禅寺での法要の様子
高岳禅寺で行われた法戦式
2013年に日本から帰国したとき、幸運にも小さな、ざらざらした紙の本を持ち帰ることができました。この本は、後に私に深い印象を与えることになります。パラパラとページをめくるうちに、大本山永平寺の高僧である佐藤泰舜禅師が83歳のときに著された、大変貴重な書であることが分かりました。本の題名は『参同契・宝鏡三昧解説』です。
朝課諷経において、毎日この経典を読誦し、すでに暗記していたにもかかわらず、その内容はほとんど理解できていませんでした。しかし、この本を通して、この経典の持つ深い意味に強く魅了され、ポルトガル語に翻訳することを決意しました。佐藤泰舜禅師の文章は非常に高尚な長文であり、また用いられている文字もかなり古いため、この2つを翻訳するには7年という歳月を要しました。そして2023年、『参同契・宝鏡三昧』を、詳細な解説とともにポルトガル語で出版することができました。
さらに喜びを深めた出来事として、同じ2023年に大本山永平寺へ拝登し、この本の美しい序文を書いてくださった南澤道人禅師を拝問し、感謝の気持ちをお伝えすることができました。現在、南アメリカ国際布教総監部において、2024年より毎月1回オンライン坐禅会を担当し、この2つを用いた提唱を行じております。
ブラジルはカトリック教徒の多い国ですが、近年、健全な心身を求めて坐禅に関心を寄せる人も増えております。禅は、執着から離れ、本来の自己を明らかにする道であると信じ、坐禅を勧めています。お寺のウェブサイト(www.zen.org.br)には 「ConcentraçãoVisceral no Zazen(坐禅における丹田集中)」という拙文も掲載しております。
願わくは、すべての人が菩提心を発し、本来の本質を顕現できますように。長きにわたり私を受け入れてくださった日本の僧侶や寺院、国民の皆さま、そして尊い修行の機会をお与えくださった仏縁に、心より深く感謝申し上げます。正法眼蔵にあるとおり、「況や正法眼蔵無上大法の大恩これを報謝せざらんや」。
南アメリカ国際布教総監部賛事特別寺院高岳禅寺 ソブリーニョ黙元