4季ぶりに復帰したスラッガーが王座奪還へのカギを握る。4月10日に女子ソフトボール「ニトリJD.LEAGUE」5年目のシーズンが開幕する。初代女王で、昨季準優勝のビックカメラ高崎ビークイーンは、強打の捕手・山内早織が2022シーズンぶりに復帰するなど、補強を敢行した。日本代表に名を連ねる山内に、古巣復帰への思いを聞いた。

 

――高校卒業後、5シーズン(2018~22年)プレーしたビックカメラ高崎に戻ってきました。

山内早織: 久々に高崎に来て、“帰ってきたな”という実感があります。ただ4年前とは違う立場になりました。私たちの代が主体となり、チームを引っ張っていかなければいけないと思っています。

 

――改めて移籍の理由をお聞かせください。

山内: ビックカメラから日立に移籍する時、すごく悩みましたが、今回も相当悩みました。私は勝ちに飢えていて、もう一度、この強いビックカメラで日本一を目指したいという思いが一番の決め手となりました。以前、在籍した時には肩のケガを抱えており、自分の力不足もあってビックカメラの力になれなかったという思いがあります。その心残りがあったのも理由です。ビックカメラの外に出て、いろいろなことを学ばせてもらった3年間。そこで成長した自分をビックカメラで遺憾なく発揮し、みんなとチーム一丸となって日本一を目指していきたいと思っています。

 

――日立の監督やスタッフから引き留められたのでは?

山内: そこに関しては、私のキャリアは私でしか決められないと言ってくれました。私自身、日本だけではなくて世界を目指したかった。村山修次監督からは「山内が決めた道なら」と背中を押していただきました。日立では3年間、試合に起用し続けてもらった。最後の2年間に関しては、調子が良くても悪くても4番を任してくれた。このまま出て行っていいのか、という葛藤もありましたが、自分が目指す選手像に近づくためには、厳しい環境に追い込むことが必要だと思い、決断しました。

 

――日立のホームページには<女子TOP日本代表として活躍する姿を期待して送り出したい>と綴られていました。

山内: 私自身、日立には自分を拾ってもらった恩があります。4年前、ビックカメラ高崎を出ると決めた時、私を取ってくれるところがなければ、ソフトボールを辞めるつもりでした。それぐらいの覚悟を持ってビックカメラを出ました。この3年間、本当にたくさんのことを学ばせてもらいました。どういう形であれ、日立に恩返しをしたいなと思っています。日本代表で活躍する姿を見せることが、少しでも恩返しになる。自分にしっかりと目を向け、頑張っていきたいと思っています。

 

――日立での3年間で、成長した部分とは?

山内: 日立は選手の自主性に重きを置くチームです。自分たちで考え、行動し、それを体現しようというスタイルでした。常に自分と向き合い、足りないものがあれば手を貸してもらう。例えばバッティングにしても、毎日動画を撮り、自分で見返して、試行錯誤を繰り返してきました。それを365日続けていくことで、自己分析しながら修正を図っていくことができた。ビックカメラにいた時は、言われたことをただやるだけだった。自分と向き合い、取り組んでいく力は、この3年間で成長した部分のひとつだと感じています。

理想は大谷翔平

――ビックカメラは東京オリンピックの金メダルメンバーで、正捕手の我妻悠香さんが引退しました。山内選手は捕手のほかに一、三塁手、外野など複数のポジションをこなせることが強みですが、キャッチャーにこだわっているのでしょうか?

山内: キャッチャーは大好きなので、こだわっているポジションです。日立に行った時も、「キャッチャーがしたい」と希望して移籍しました。ただ与えられたところで全力を注ぐだけと思っているので、他のポジションを任されれば、そこで頑張りたい。

 

――日本代表の宇津木麗華監督が、兼任というかたちでビックカメラ高崎の監督に復帰しました。

山内: 私がビックカメラ高崎に入った18年は、麗華監督はチームの部長でした。麗華監督は勝負師で、勝つこと、1球への執念を強く持っている方です。4年前にも指導していただくことはありましたが、当時は何を言っているのかわからなかった。それほど理解するのが難しかったんです。今、年齢を重ねてきて、自分の中でのバッティング理論もある程度、固まってきた中で、監督の話を聞くと、“そういうことなんだ”と理解できるようになってきました。ソフトボールの知識、スキルに関してすごいものを持っている方なので、本当に毎日勉強させてもらっていますし、今はそれがすごく楽しいです。

――今シーズンの目標は?

山内: 私、あまり計画を立てるのが得意ではなく、毎年具体的な数値目標は立てません。ただ今年は昨年以上にホームランを打ちたいと思っているので、まだ達成していない年間10本以上のホームランを目指して頑張ります。

――選手としての理想像は?

山内: 一番わかりやすく言えば、大谷翔平選手のようになりたい。一球で、たくさんの人を魅了できる技術。勝つことはもちろん大事なことなんですが、見ていて“面白いな”“すごいな”と思ってもらえるような選手になりたいと思っています。

 

――ホームランに対するこだわりは?

山内: 野球もソフトボールも、一番の醍醐味はホームランだと思っています。単純にホームランを打ったら嬉しいし、感触もすごく気持ちがいい。私の理想のホームランはアウトコースのボールを逆らわず、反対方向(レフト側)に打った時です。

 

<山内早織(やまうち・さおり)プロフィール>

1999年9月3日、広島県出身。父と兄の影響で、小学1年でソフトボールを始める。広島・清水ケ丘高校を経て、18年、ビックカメラ高崎に入団。同年、日本代表として世界選手権銀メダル、アジア大会金メダル獲得に貢献した。23年、日立サンディーバに移籍。移籍後1年目から活躍し、打率3割8分8厘、6本塁打、20打点で自身初となるベストナイン(指名打者)を獲得した。24年には主に4番打者として、チームの東地区初優勝に導いた。ダイヤモンドシリーズセミファイナルで2本塁打を放ち、準優勝に貢献した。26年にビックカメラ高崎に復帰。身長168cm。右投げ左打ち。背番号25。

 

(取材・構成/杉浦泰介、写真/ビックカメラ高崎提供)

 

 BS11では「ニトリJDリーグ2026」第1節ビックカメラ高崎ビークイーンvs.ホンダリヴェルタ戦を4月10日(金)18時半から生放送します。是非ご視聴ください。

※放送内容は中止、または変更になる可能性がございます。