
著作権侵害の責任をISPやプラットフォームにも求めるかという議論について、アメリカでは「著作権侵害の疑いのある加入者にサービスを提供し続けたという理由だけで、著作権侵害の幇助(ほうじょ)責任を負うことはできない」という最高裁判決が2026年3月に下りました。一方、フランスでは加入者が海賊版サイトにアクセスできないようサイト遮断をISPに義務付けるのが一般的で、CloudflareやGoogle、CiscoはDNSブロックを義務付けた裁判所命令に反発していますが、2026年3月末には5件の控訴すべてが却下となりDNSブロックが義務付けられました。
Google, Cloudflare, Cisco Lose Pirate Site DNS Blocking Appeal in France * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/google-cloudflare-cisco-lose-pirate-site-dns-blocking-appeal-in-france/

アメリカでは、電話通信会社のコックス・コミュニケーションズが「著作権侵害を繰り返すユーザーを完全に排除できず、海賊行為から利益を得ている」として2018年に大手レコード会社グループに提訴され、「加入者の権利侵害については、ISPに責任はない」と反論していましたが、「共犯的および間接的に責任がある」と認定されて総額10億ドル(約1500億円)の損害賠償が命じられました。ISPに責任を問う判決にコックス・コミュニケーションズは異議を唱え、上訴の結果、2026年3月26日に最高裁判所は「コックス・コミュニケーションズは海賊版利用者の著作権侵害行為について共同責任を負わない」と判断しました。
著作権侵害の責任をISPにも求めた裁判で最高裁判所が「サービス提供だけでは幇助にならない」と判断 – GIGAZINE

一方で、全米レコード協会(RIAA)は「著作権法はクリエイターと市場を有害な著作権侵害から守るものでなければならない」と批判したほか、一部の最高裁判事は「ISPに対し著作権侵害の停止を義務付ける『セーフハーバー条項』を時代遅れにし、ISPが自社のサービス内で行われる海賊行為に対して何らかの措置を講じる動機がなくなってしまう」として判決を批判しました。このように、著作権侵害や児童ポルノ法違反などのオンライン犯罪において、サービスを提供するISPやプラットフォームに責任を求めるべきかどうかは意見が分かれています。
フランスでは、加入者が海賊版サイトにアクセスできないようにするために、ISPにサイト遮断を義務付ける従来型のサイト遮断措置が長年にわたり一般的となっています。しかし、多くの海賊版ユーザーがサードパーティのDNSリゾルバを利用することでサイト遮断を回避したため、この対策は部分的な効果しかありませんでした。そこでサッカーとラグビーの放映権を保有するフランスの有料テレビ局であるCanal+が、DNSブロックを回避する抜け穴を防ぐよう裁判所に要請。パリ司法裁判所はCloudflare・Google・Ciscoに対し「自社のDNSリゾルバを通じて海賊版サイトへのアクセスを積極的に遮断する」ことを義務付けました。
フランスの「スポーツ法第L.333-10条」には、「権利保有者は、自らの利用権に対する重大かつ繰り返しの侵害を証明できる場合、特定の海賊サイトに対してブロッキング措置を要求できる」と定めています。この適用範囲は広範に及びますが、DNSリゾルバへの適用にはCloudflare・Google・Ciscoが反発し、裁判所に控訴しました。

裁判所は5件の控訴をすべて棄却した上で「DNS遮断措置は技術的に実現可能であり、かつ妥当である」との結論を下しました。2026年3月末に下された5回目の裁判所命令では、CloudflareとCiscoは「自社のサービスは中立的かつ受動的な機能のみであり、侵害行為の送信も参加もしていない」と主張し、自社の役割はドメイン名をIPアドレスに変換してその結果をユーザーに返した時点で関与は終了すると説明しました。しかし、この主張は裁判所に受け入れられず、裁判所は「DNSリゾルバの『中立的かつ受動的な性質』はL.333-10条とは全く無関係であり、この法律は責任について規定するものではなくサービスが海賊版サイトへのアクセスを遮断するのに役立つかどうかであり、DNSリゾルバは明らかにそれが可能である」と述べました。
またGoogleは、サードパーティのDNSサービスを介して海賊版サイトをブロックすることは、VPNを使用したり別のDNSリゾルバに切り替えたりすることで回避できるため、効果的な抑止力にはならないと主張しました。控訴裁判所はこの主張も退け「フランスの法律では、海賊版サイトへの訪問者の一部を阻止できれば十分であり、遮断措置が完璧である必要はない」「いかなるフィルタリング措置も回避される可能性があり、この可能性によって問題となっている措置が無効になるわけではない」と結論付けています。
今回の判決で、フランスの控訴裁判所で初めてL.333-10条に基づきDNSブロッキング方式が承認され、「DNSリゾルバに対し海賊版サイトをブロックするよう義務付けることができる」と命令書では繰り返し強調されています。
Canal+は控訴審判決を受けた声明で「これらの判決は単なる勝利以上のもので、IPブロッキングを含む補完的な措置の段階的な展開によって強化されるグローバルなアプローチの一部を形成するものです」と語りました。
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